加藤登紀子、歌手人生50年!激動の半生を振り返る

常に自分を更新していく原動力は“やり残し感”から

――そのパワーはどこから出てくるんですか?
加藤 やり残し感ね。“これ、やってないじゃん、何でやってないんだろう?”って思っちゃう(笑)。しかもそういうときに、いい具合でアフリカのことを知ってる人に出会ったり、ウィーンから来たプロモーターと話をできたり、タイミングよくやりたいことをできちゃう出来事が起こるから、やらずにいられない。2002年に夫が他界したときも、彼がやっていた千葉の「鴨川自然王国」を私が受け継ぐことになって、どっさりやらなきゃいけないことができたから、ぽっかり心に穴が空くっていう感じではなくて。しかも歌手になった娘(yae)がここの主になったので、若い人たちがどんどん集まってくるようになって、この時期からですよ。若い世代のミュージシャンとたちの出会いが増えたのは。みんなテクニックがあるし、音楽をよくわかってる世代だから、ここから音楽的にさらにおもしろいことができるようになったんですよね。

――この頃からゴスペラーズなど、加藤さんよりもずっと下の世代のアーティストと意欲的に交流していますが。環境の変化によって、新しいものを取り入れたいという欲求が高まっていた時期でもであるんですか?
加藤 やっぱり夫が他界したことは衝撃で、結婚のときもそうだったけど、大きな変化があるとその前の曲って歌いにくくなるんですよ。特に夫との思い出が絡むような歌はどうやって歌ったらいいんだろう?って、しばらく歌えなかった。そんな状態で2005年にデビュー40周年を迎えて。このときゴスペラーズとの出会いもあったんだけど、ここで奮起しよう、新しい曲で再起しようっていうのはありましたね。そういう意味でゴスペラーズの存在は大きかった。実は彼らがまだ学生のときに、私の会報誌に出てもらったことがありまして。まだ村上くんがグラサンを掛ける前ですよ(笑)、その2年後ぐらいには彼らは売れっ子になり超忙しくなってしまったんだけど、村上君に正式に曲作りをお願いしたら素晴らしい曲を書いてくれて。彼なりのリズムの掴み方も教えてもらって、すごく楽になりました。

――加藤さんでも“教わること”ってあるんですか?
加藤 本当は言いたくないんだけど、このとき作った「花筐」っていうアルバムのレコーディングが大変で(苦笑)。その間に夫が他界したりとか、精神的な大変さもあったんだけど、新しい曲の挑戦が多かったんです。THE YELLOW MONKEYの「球根」とかMr.Childrenの「花―Memento-Mori-」とかそれまで歌わなかったジャンルのカバーにも挑戦したんだけど、村上君から「登紀子さんは16ビートのノリがまだちょっとできてない、甘いですね」って言われまして。私はいつも一発録りか楽器と同録(同時録音)が多いんだけど、このときはじっくり時間をかけて録って、しっかりリムズを掴むようにしたんです。だから村上君は私の師匠ですよ(笑)。

――さらに2006年には『FUJI ROCK FESTIVAL』にも初出演。話題になりました。
加藤 最初の年は最年長とか、年齢のことばっかり言われてね。今はもう誰も言わなくなったので大成功です(笑)。

――加藤さんはそうやって、常に自分を更新していく。その原動力はどこにあるんでしょう?
加藤 さっきも言いましたけど、やり残し感ですね。私は歌手とソングライターと両方やっているから、歌手としてやりたいこともあるし、ソングライターとしてまだ歌にしてないなってこともある。さらに今まで作った曲の中にはまだステージで歌っていない子たちもいるし、シャンソンの世界も無尽蔵におもしろい世界だったりもして。やり残していることがね、まだまだたくさんあるんです。

――そんななか、さらに今年はツイッターで500日間、1曲ずつ曲をあげるという500曲マラソンも達成しましたね。
加藤 これは思い立ったとき、スタッフがうんざりした顔してましたよ(笑)。誰にも迷惑かけずに自分でやるからって言ってやったんだけど、おもしろかった〜。ここで紹介した500曲から365曲を厳選して、来年は“50周年加藤登紀子カレンダー”っていうのもやる予定なんですよ。

――さらに50周年イヤーのイベントとしては、年末まで続く恒例の「ほろ酔いコンサートの」も開催中。今回は50年を網羅する、2部構成になっているとか。
加藤 当初は12月だけやる予定だったんだけど、結局11月もやることになって。ちょっと恥ずかしいけどね、やる気あり過ぎで(笑)。しかも1部で60年代70年代80年代90年代それぞれの時代の代表曲5曲を選んで、さらに2部では21世紀からの曲を歌うっていう内容なんだけど、最初にメドレーをやったとき、嗚咽しそうになっちゃったんですよ。そんなつもりじゃなかったのに。

――思わずこみ上げてくるものが。
加藤 そう。昔の曲はいわば50周年のファンサービスのつもりで歌う気持ちでいたのに、順番に歌っていたら胸がいっぱいになってしまって“うー”って、歌えなくなってびっくりした、自分でも(笑)。50年間の中でいろいろあったけど、それを積み重ねてきて、熱くなっちゃう自分がいるんだなって改めて実感しましたね。あと11月に50周年記念の4枚組ベストを出したんですけど、何10年も前の曲や映像とかも出してきて。それも感慨深いものがありましたよ。

トンネルを抜けた感じ――50年はふと振り返るとちゃんと道がついている感覚

――20代30代の頃の映像とか、いま観るとどんな感じですか?
加藤 あ、いい女だな〜って思った(笑)

――(笑)。50年やってきたからこそ見えたこと、感じたことってどんなことですか?
加藤 若いときってトンネルを潜ってるような感覚ってないですか?先が見えなくて前に向かうしかない、とりあえずまっしぐらに進むけどさっぱり結果がわからないみたいな。それがね、トンネルを抜けたっていう感じになるんですよ。あ、出口あったんだ、ちょっとゆっくり見渡してみるかって。それまでは種を撒いてるだけだから、花が咲くかどうかわからないんですよ。でもそこを過ぎてふと振り返ったとき、後ろにはちゃんと道がついている………ってそんな感覚ですね、50年は。

――なるほど。
加藤 だからジグゾーパズルみたいなものかもしれない。最初の頃はどういう絵が出てくるのかわからないけど、フィニッシュに近づくと「あ、ここが象でここはキリンだった!」みたいな、バラバラだったものが急激にひとつの絵として繋がっていくっていう感じ。だから50年やってきて良かったなと思いますよ。楽になります、ここまでくると。

――でもそれは常に挑戦したり全力で生きてきた人だからこそ、見える風景のような気もします。
加藤 私は元々チャレンジ精神なんてないんですよ。行き当たりばったりで、そのときおもしろいと思うことをやってきただけだから(笑)。 例えば1998年にカーネギー・ホールでやったときも、自分からやったわけじゃないんですよ。たまたま私の歌を聴いたアメリにいる日系人の女性が「日系の人達を勇気づけるために、カーネギー・ホールでやりましょう」って言ってくださって実現したんです。「紅の豚」も、宮崎(駿)さんから声をかけていただいたお話だったし。

――出会いによって道ができていくと。
加藤 そう。そういう偶然の出会いがあるのは、本当に嬉しいことだなと思いますよ。

――出会いの度に生れ変わっていくような感覚もありますか?
加藤 生れ変わるというか、常に初めての一歩っていう感じではあります。実はいまから30年ぐらい前、新曲のためにキャンペーンをやろうとしたら「まだキャンペーンなんてやるんですか?」って言われて、びっくりしちゃったことがあるんですよ。だって新しい曲を出したら、新人さんが始めましてって言うのと同じで、やっぱり“始めまして”じゃないですか。それは年月を重ねても、何曲出しても変わらない。もちろん積み重ねてきたものはありますけど、それはとりあえず横に置いておいて、新たな気持ちで一歩ずつというか。新しい仕事をするときは初めてやる人と同じ気持ちでやりたいし、つねに“何がやれるかな?”って楽しみながら取り組みたいですね。

(文:若松正子/撮り下ろし写真:鈴木かずなり)

歌手デビュー、学生運動、結婚、出産……激動の半生(外部サイト)

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加藤登紀子 ほろ酔いコンサート2014

11月26日(水) 宮城・仙台電力ホール 18:30〜
【お問い合わせ】ノースロードミュージック 022-256-1000
11月29日(土) 沖縄・ミュージックタウン音市場 17:30〜
【お問い合わせ】琉球新報社 098-865-5200
12月3日(水) 神奈川・関内ホール 18:30〜
【お問い合わせ】トキコ・プランニング 03-3352-3875
12月7日(日) 福岡・キャナルシティ劇場 16:30〜
【お問い合わせ】BEA 092-712-4221
12月12日(金) 大阪・梅田芸術劇場 17:00〜
12月13日(土) 大阪・梅田芸術劇場 14:00〜
【お問い合わせ】梅田芸術劇場 06-6377-3800
【お問い合わせ】サマーズプランニング 0797-71-8831
12月14日(日) 京都・祇園甲部歌舞練場 16:00〜
【お問い合わせ】アクティブKEI 075-255-6586
12月22日(月) 愛知・中日劇場 16:30〜
12月23日(祝) 愛知・中日劇場 14:00〜
【お問い合わせ】中日劇場 0570-55-0881
12月26日(金) 東京・よみうりホール 17:00〜
12月27日(土) 東京・よみうりホール 15:00〜
12月28日(日) 東京・よみうりホール
【お問い合わせ】トキコ・プランニング 03-3352-3875

加藤登紀子 公式サイト(外部サイト)
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