(更新:)
ORICON NEWS
橋本愛 SPECIAL INTRVIEW 苦しいことも含めて 幸せを感じる
あのときほどの感覚はもう得られない!?
【橋本】 正直、初めは大丈夫かな?と思いました(笑)。ピアノは少し触ったことがある程度だったので。撮影に合わせて必要なパートを覚えて、撮影で出し切ったらすぐ忘れるっていう、その繰り返しでしたね。楽譜も、最初は見るたびに「音符多くない!?」って驚いていたくらいです(笑)。
──演奏に感情を乗せるお芝居というのも、また難しそう。
【橋本】 そうですね。ただ、私が気持ちを作りやすいように利重監督がいろいろと助けてくださいました。だからしっかり向き合いながら演じることができたと思います。演奏と心がマッチしたお芝居をできた瞬間は、本当に気持ちよかったですね。「クラシックってこんなにすごいものなんだ」と実感できた瞬間でもありました。普段でも時々クラシックを聴いたりするんですけど、あのときほどの感覚はもう得られないというくらい、撮影時は音楽に浸っていましたね。
──遥という役柄はいかがでしたか?
【橋本】 この子が人生で背負ってきたものが壮大すぎて……。自分にも同じだけの重荷を課せられるかというのが、ひとつのテーマでもありました。限られたスケジュールのなかで、自分の状態をどう役へ近づけて行くかというコントロールも大変でしたね。その作業をしてる時期はもう頭がパンパンで、自分で自分をどう扱ったらいいかわからなくなっていました(笑)。
今振り返って考えると恥ずかしいことだけど…
【橋本】 祖母が、ミステリーが大好きで家にたくさん本があったので、その影響で私もずっと好きでした。実はこの物語の原作本とも2年前に出会っていたんですけど、まだ読めていなかったんです。でも今回こういった形で再会できて。最初に台本を読むときは「どんなお話なんだろう?」と、純粋な読者の気持ちで楽しみました。
──今回、映画全体から橋本さんのお芝居にこれまでと異なる雰囲気を感じたのですが、女優として心境の変化があったのでしょうか。
【橋本】 うーん……当たり前のことをちゃんとするようになった、ということかもしれません。以前は、お芝居がどういうものかわかっていなかった部分もあったと思います。極端にいってしまうと、“せりふをただしゃべっていた”。そこに自分の持っているものをプラスして演じる、そういう感覚でした。今振り返って考えると恥ずかしいことなんですけど、前はお芝居がわからないことに対しても、“わかりたい”と強い気持ちで向き合えていなかったんですよね。だけど今は違います。「お芝居って何なんだろう」という欲とか、演じることへの義務や使命感、意味を自分なりに感じられるようになりました。
──自分に求めるものが増えた。
【橋本】 お仕事に対する温度や愛情が高まったと思います。苦しいことも含めて、幸せだと感じられるんです。もちろん、より好きになれたからこその新たな悩みも出てきましたけど、“この仕事が好き”という土台が自分のなかに築けたので、悩んでいるときでも「ちゃんと悩めている」というある種の安堵感といいますか、そういう気持ちになることができるんです。
──仕事で悩んでいたとしても、仕事がモチベーションでもある。今の橋本さんの心がまっすぐ仕事と向き合っているんですね。
【橋本】 前は土台がなかったので、どうしても仕事以外のところにモチベーションを求めてしまっていたんですよね。家族が喜んでくれるからがんばろう、とか。でも今はお芝居と一直線に繋がっている感じです。
(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
⇒ 次のページへ【1年の変化の層をさらに厚くできたらいいな】
⇒ 芸人ジェントルの直撃動画インタビュー【やりたいことをやっていそうな17歳!!】
映画情報
関連リンク
・映画予告編
・『さよならドビュッシー』公式サイト