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(更新: ORICON NEWS

三池崇史監督&伊藤英明 SPECIAL INTERVIEW ふだん感じない興奮を覚えつつ… 真っ当な人間の感情なのか考えてもらいたい

壮絶な悪意の物語を凄惨な映像表現をともなって描き切る。今の世にあふれる毒も刺激もない“ぬるいもの”を笑うかのような尖がった、つきぬけた戦慄のエンターテインメント『悪の教典』。“海猿のヒーロー”からサイコキラーへと姿を変えた主演の伊藤英明、愛の積み重ねから暴力表現を生み出す三池崇史監督が、惨劇の物語から伝えるべきこと、感じてほしいことを語りあうスペシャル対談!!

ホラーではない人を殺しまくる映画[三池崇史監督]

──たしかに共感はできないんですが、伊藤さんがおっしゃるように蓮実を応援してしまっている瞬間がありました。
【三池】 人を殺しまくる映画ですけど、ホラーではないんですよ。人間って恐いよねっていう捉え方をしてほしいですね。ひどい話なんだけど、どこかで蓮実のことを応援してしまうとか、いたらぜひ会ってみたいなとか。そのなかで気付いてほしいのは、こんなわずかな時間見ているだけでも、(映画の中に)観客として殺していいヤツができているはずなんです。「よし、よくやった蓮実」と。でも、その殺された人の人生をそんなに知らないですよね?映画的な効果によって、その人は死んでもいいと感じるようになっただけで。たとえば、山田孝之(演じる柴原)はもう死んでいいよっていう(笑)。余談ですけど、これは我ながらいいキャスティングだったなぁと思いますね……。ふだん映画では感じない興奮を覚えつつ、こいつは殺してもいい、この子はかわいそうだと差別しちゃっている、それが真っ当な人間の感情なのかっていうのを考えてもらえればいいなと思います。

──死に様にその人の本性が表れると思うんですが、もし伊藤さんがあの生徒たちの状況だったら、どうしますか?
【伊藤】 潔く腹を斬って……話を三池監督の『一命』につなげようと思ったんですけど、うまくつなげられなかったです(笑)。……僕だったら、最初は先生がそんなことするとは思わないだろうから、とりあえず真っ先に見に行くでしょうね。で、調子に乗って「警察でも何でも呼んできてやるよ」って言って、最初に殺されちゃう(笑)。死に際に「だろ?」って言いたいですね。本当に僕はお調子者なので(笑)。

三池監督は蓮実だなと思った[伊藤英明]

──この映画は「R15+」指定になりましたが、殺戮シーンを描くときに年齢制限は意識しましたか?
【三池】 今までいろいろと撮ってきた経験から、この原作で「PG-12」にするには、だいぶ印象を変えないといけないと思いました。バイオレンスシーンを見せたいから蓮実を暴れさせたっていう見え方だと、成人映画になってしまうなと。だから、蓮実に対しても、子どもたちに対しても、きちんと向き合って作ることだけを意識しました。初めて映画に出たような子なんて、自分がどこにいてどう映っているかもわからないままということもあると思うんですよ。でも、きちんと役として死ねれば、やるべきことをまっとうしたことになる。だから、そこを隠しちゃうわけにはいかないんですよね。逆にいうと、役を演じている人たちをきちんと見せてあげたいという愛情からバイオレンスが生まれてくる。愛情の積み重ねから暴力が生まれるという結果に行き着くんですよ。でも、昔だったら「R15+」も無理だったんじゃないかと思います(笑)。

【伊藤】 子どもたちのことで言うと、この世界って本当に新人からベテランまで同じフィールドで戦うわけじゃないですか。新人に近い子が今回蓮実に殺されるというのは、ものすごいプレッシャーですよね。三池監督はそういう子に対して怒鳴ることもあれば、やさしく諭す場合もあって、相手によって態度を変えているんです。監督は人を見抜く力がものすごいと思うんですよね。そういうのを見て、監督は蓮実だなと思いました。痛みも苦しみも喜びもわかっている。人間をわかっているから、見透かされている気がして監督と話すのが恐いんです。だから逆に僕も裸になれたと思います。5年ぶりに一緒にやらせてもらって、多くの役者が監督と一緒に撮りたいと言うのがあらためてわかった気がします。愛があるんですよね。だからスタッフも童心に帰って映画を楽しんでいるし、そこにはお客さんに観てもらおうという熱意もある。演技がうまくなったかどうかはわからないけど、ものの捉え方とか、人との関係とか、三池塾で叩き直してもらった気がします。
(文:岡 大/撮り下ろし写真:片山よしお)

⇒ 前のページへ【伊藤英明がもつ説明のつかない引きの強さ[三池崇史監督]】

⇒ 二階堂ふみ&染谷将太&浅香航大インタビューへ
【特別な存在だった!? 恋愛感情とは異なる3人の関係性】

映画情報

悪の教典

 蓮実聖司は、生徒から“ハスミン”という愛称で呼ばれ、絶大な人気を誇る高校教師。学校やPTAの評価も高く、いわば「教師の鑑」とも呼べる存在だったが、それはすべて仮面に過ぎなかった。彼は他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)だったのだ。

 蓮実は自らの目的のためには、それが最善の策であれば、たとえ殺人でもいとわない。学校が抱える様々なトラブルや、自分の目的の妨げになる障害を取り除くために、いとも簡単に人を殺していく。そして、いつしか周囲の人間を自由に操り、学校中を支配しつつあった。だが、すべてが順調に進んでいた矢先、小さなほころびから自らの失敗が露呈してしまう。それを隠滅するために考えた蓮実の解決策。それは、クラスの生徒全員を惨殺することだった…。

監督:三池崇史
出演:伊藤英明 二階堂ふみ 染谷将太 林遣都 浅香航大 水野絵梨奈 山田孝之 平岳大 吹越満
【OFFICIAL SITE】
2012年11月10日(土)全国東宝系ロードショー (C)2012「悪の教典」製作委員会

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二階堂ふみ&染谷将太&浅香航大インタビュー
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