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家入レオ『いまの自分だからこそ伝えられるメッセージ―― 17歳、等身大の叫び』

 「サブリナ」でメジャーデビューを果たし、ドラマ『カエルの王女さま』(フジテレビ系)の主題歌となった2ndシングル「Shine」がスマッシュヒット。17歳の現役高校生シンガー・ソングライター家入レオの1stアルバム『LEO』は、汚れなきパワーに満ち溢れています!

「早く大人にならなくていいよ」って言いたい

――ノスタルジックな曲が1曲ありますね。切ない曲じゃないんだけど、聴いているとなぜか切なくなります。
家入「明日また晴れますように」は初めてワルツに挑戦した曲で、今年の夏に“今という瞬間”を閉じこめようと思って書きました。この夏はありがたいことに取材やライブ、音楽制作と音楽三昧だったんですけれど、地元の福岡に帰ることができなくて、それがすごく寂しかったんですよね。それで、音楽のなかで福岡に帰ってみようかな?という感覚で中学の制服姿で帰っていた通学路を、今の私が通ったら、どういうふうに感じるだろう?と思って書いたので、この曲は素の私だと思います。だから<空には飛行機雲 教えてくれた おまじない>っていうのも、帰り道に友だちが「飛行機に100回ピースしたら願いごとが叶うよ」って教えてくれたんですよ。

――へぇ!
家入ヘリコプターにピースしたら、カウントがゼロに戻るんですけどね。

――都市伝説的な(笑)。
家入そういうことを思い出しながら書けましたし、いろいろ思い出してまた夢に向かおうと思えたので、前向きなんですけど、少し切ないソングにはなっていますね。

――もしも中学生だった自分に会えたら、なんて言います?
家入「そのままでいていいよ」って言いたいですね。すごくもがいていたから。大人になることへの怖さもあったし。でも、焦らずに、そういうことも楽しんでほしいなと思います。この瞬間は本当に今しかないし、一歩大人の階段を上がっちゃうと、もう大人としてしか見てもらえなくなっちゃうから。「早く大人にならなくていいよ」って言いたいな。

――当時って、早く大人になりたかったの?
家入いや、なるのがすっごく怖かったですね。

――“ずっとこのままでいたい”っていうこと?
家入そうですね……。小さい頃からいろんな大人を見る機会が多くて“大人ってズルイな”ってことをたくさん感じていて、自分もそうなりたくないという抵抗感がすごくあったと思います。だから福岡にいる時に大人としゃべったことってほとんどないんですよ。

――でも、「そういう気持ちもちゃんと経験しなさい」ってことを、今なら言えるんですね。
家入そうですね。そういう経験がなかったら「Bless You」は書けていないので。

――その「Bless You」は心の叫びですね。ビックリしました。イントロなしで出だしから<愛なんていつも残酷で もう 祈る価値ないよ>という強烈な言葉が。
家入小さい頃に、両親と離れて親戚の家を転々としたことがあったんですよ。もちろん親戚の人たちにも愛されていたことを知っていたんですけれど、ワガママを言ったらまた別の場所に行かされちゃうと思っていつも言葉を飲みこんでいたんです。そんな自分の居場所が音楽だったなって思うんです。そういう時期に“愛なんていつも”って言葉を思いながら心を落ち着かせていたことがあったんです。祈っても結局お父さんとお母さんのところには戻れなくて……っていう時に、「あ、もう神さまに祈っても意味ないや。愛なんて最初から存在しないんだもん」って思っていたので。でも、東京に来て自分の世界が広がって、いろんなことに気づけた時に「ちゃんと守られてたんだな、ごめんなさい」って思うことができたんですよね。

――「Bless You」というタイトルが示すところは?
家入曲は激しいんですけれど、過去の自分に「もう強がらなくていいよ」って。「ちゃんと愛を求めていいんだよ」って言ってあげたくて“Bless You(幸あれ)”って言葉にしました。私にとって、過去の自分と対面した大きな1曲になりました。

『LEO』があるから、この先もっと挑戦ができる

――自分と向かい合うのってつらくないですか?
家入つらいですね……。「Bless You」のレコーディングの時に泣きましたからね。スタッフさんも引き気味でした(笑)。その泣き声も収録されているので、かなりリアルに伝わるんじゃないかな。

――今は、気持ちは楽になった?
家入はい、楽になりました。これを書いたあとに、自分が大切だと思う人がちゃんと理解してくれればいいんだと思うことができて、いい意味で音楽の縛りがなくなったんですよ。前までは少しヘビーな題材じゃないと書いちゃいけないような気がしてたんですけど、「明日また晴れますように」とか「キミだけ」とか「ミスター」とか楽しい曲も書けるようになりましたね。

――私が気になったのは「Linda」という曲です。めっちゃカッコいいですね。
家入ありがとうございます。これは東京の高校に転入してきた頃に書いたんですけど、人見知りで最初はまったくもって馴染めなくて、ひとりで小説を読んだりしてたんですよ。自分的にプライドもあって、“私はひとりにされているんじゃなくて自分からひとりになっているの”と思っていたんですけど、うしろの女の子たちの会話が私のことを言っているんじゃないかな?とか気になったりして。でも、そうじゃない。“私は誰にも流されずに生きていくんだ”っていう強い気持ちの私もいて。その強い気持ちの女の子のほうに“Linda”という名前をつけて、学校生活をがんばっていこうと思って書きました。<全て 無駄で終わる強がりでもいい>というフレーズがすごく私らしいなと思います。

――世の中をバッサリ切り捨てて我が道を行く。これってレオさんの生き方に通じているのかな?と。
家入私も全然弱いし、誰かのひと言につまづいたり励まされたりするんですけど、それでもやっぱり自分らしさがないと人生って楽しくないと思うんです。だから傷ついても自分らしくいるって、大切だと思います。

――このアルバムが完成した今、これからの自分って変わると思います?
家入思います。もっといろんな感情が生まれてくると思うし、この1stアルバム『LEO』という居場所があるから、もっといろんなことに挑戦できると思うんです。ここがルーツとなって新しい私ができていくんだろうなって。

――17歳ってどんな年でしたか?
家入本当にいろんな人に支えてもらったし、逆に手放したものもあるし……うん。でも両方は同時に掴めないから、そういう意味では覚悟を決めた年齢であり、17歳のうちにこのアルバムを出せて良かったなと思います。
(文:三沢千晶)

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