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SHOW-YA・寺田恵子が明かすプリプリとの本当の仲〜80年代バンドブームの実情
アイドルになりたかった(笑)
寺田 はい。もう涙なくして語れません(笑)。
――(笑)。でも寺田さんはSHOW-YAに入る前はロック少女ではなかったそうですね?
寺田 そうそう。物心ついたときから、歌うお仕事に憧れてはいたんだけど、邦楽しか聴いてなくて、普通にアイドルになりたかったんです(笑)。
――アイドル?意外すぎます(笑)。
寺田その頃って、それしか道がなかったんですよ。だからSHOW-YAに入ってからも、「スター誕生」ってオーディション番組を受けたこともあって。一次審査で見事、落ちましたけど(笑)。
――なんで受けたんですか?
寺田まだデビュー前だったので、ソロで抜け駆けしよう、みたいな(笑)。しかもそのとき18歳でアイドルとしてデビューするにはギリギリの年齢だったので、なんとかしなきゃと思っていて。でも受けたことも落ちたこともメンバーには内緒。オーディション後は「これからはバンドの時代だよね、がんばっていこう!」って言ってました(笑)。
バンドひと筋、ソロデビューの話も全部断っていた
寺田そうね。でも私、女バンドが嫌いだったの。だからSHOW-YAに入るのも3回断っているんですよ。私以外のメンバーは全員年上で年下=いじめられるっていうイメージがあったから。でも初めて会いに行ったら、ホント偶然なんだけど、メンバーのひとりがバイト先の友だちで。よくふたりで音楽の話をして仲が良かったから、じゃあ、やっていけるかもって思ってOKしたっていう。多分、その子がいなかったら、入ってなかったんじゃないかな。でも、「スタ誕」のオーディション以降はバンドひと筋。女バンドが受け入れられない時代だったからどうやったら売れるか、意地になってやるって感じで、ソロデビューの話もきたりしたけど、全部断ってましたね。
――世間や男性バンドにはどんな目で見られていました?
寺田どっちつかずな感じ?アイドルではないしポップスでもない。ロックバンドっていうわりに当時はビジュアルも今ほどロックロックしてなかったから、男バンドやコアにロックをやってる人からしたら、何だこのバンドは?ヘンなのが出てきたなって印象だったんじゃないかな。でも逆に女バンドだから可愛がってもらえるっていうか。男バンドなら目をつけられるけど、“女なのにスゴいね〜”って言ってくれる人もいて。
――当時、男性バンド同士は尖りまくっていて、ケンカも多かったって聞きますよね。
寺田尖ってたねぇ。対バンとかあると潰しにかかってた(笑)。だから楽屋は誰と誰は隣同士にしちゃダメとか、当時のイベントスタッフさんは大変だったんじゃないかな。でもうちはそういう経験はなく、とにかく女バンドでプロとして仕事するにはどうしたらいいかしか考えてなかった。その頃、女バンドがデビューできない理由のひとつとして、受け皿がないっていうのがあったのね。男バンドならメンバーのひとりがやめてしまっても新しい人を入れて続けられるけど、女バンドは楽器を演奏できるプロの人数が圧倒的に少なかったから、誰かがやめると存続が難しい。だからレコード会社やプロダクションが二の足を踏むっていう時代で。
――成功した前例もないですし。
寺田そう。そんななかでうちはSHOW-YAのために事務所を作って、だからデビューできたんですよ。しかも当時、ちょうどプリプリ(プリンセス プリンセス)が出てきたのもタイミングがよくて。SHOW-YAと正反対のバンドだったから、比較対象として取り上げられて、それが女バンドブームに繋がったので、恵まれてた部分はあるかもしれない。
(文:若松正子/撮り下ろし写真:西田周平)
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