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(更新: ORICON NEWS

「特典商法」に対するユーザーの本音

ネット上で気軽に音楽や書籍などの作品を楽しめるようになった昨今、リアルパッケージを手に取ってもらうため、特典をつけて販売することはもはや当たり前となっている。そこでORICON STYLEでは、いわゆる「特典商法」にについてアンケート調査を実施。消費者のリアルな本音が浮かび上がってきた。

「特典商法」は賛成?反対?

 音楽や書籍のデジタル配信が普及し、ネット上で気軽に作品を楽しめるようになった今、CDや紙の書籍などリアルパッケージを多くの人に手に取ってもらうため、イベント参加券や特典といった“付加価値”を付けて販売することはもはや当たり前となっている。こうした状況のなか、ゴールデンボンバーが8月発売のシングル「ローラの傷だらけ」で封入・販促用特典等を一切付けず、CDのみ1形態でリリースするというスタイルを取り話題に。その姿勢に共感するリスナーは多かったようだ。では実際、今回の事例に限らず、商品を購入する消費者側は、いわゆる「特典商法」についてどう考えているのだろうか?

 今回、ORICON STYLEでは、「CD、書籍などの“特典商法”は賛成ですか?反対ですか?」という調査を実施。総合では、YES(賛成)が42.2%、NO(反対)が57.8%という結果に。女性はNOの割合が64.4%と高くなった一方、男性はYESが48.8%、NOが51.2%とほぼ半々。10〜30代の男性に関しては過半数以上がYESと回答しており、男女間や世代間でもばらつきがみられた。

特典は嬉しいけど……という複雑なファン心理も

 YESと答えた主なコメントでは、「特典がついているだけで“レンタルでいいや”と思っていた作品も買いたくなる」(東京都/10代/女性)、「ユーザーが金銭を支払わずに音楽を聴けるメディアが増えた。CDに付加価値をつけて販売するのは自然な流れだと思う」(京都府/20代/男性)など、やはり多くの選択肢があるなかでそれなりの付加価値が必要と考えている人が多かった。また、YESと答えたなかには「正直あまり好きではないが、そういう時代だと受け止める必要があると思う。特典が理由で欲しいなら買えばいいし、いらないなら買わなければいいだけのこと」(北海道/20代/男性)、「価値観・興味の対象が分散化しているなかで、販売努力は必要だと思う」(大阪府/30代/男性)と、ビジネスとして理解を示している消費者が多いようだ。

 一方、NOのコメントでは、「音楽の価値が下がってしまうのでは?」(兵庫県/10代/女性)、「(特典がメインになることで)CDや書籍の本来の意味が失われてしまう」(山梨県/30代/男性)など、純粋に作品としての質の低下を危惧する声が多く見られた。さらに「特典は嬉しい。でも作品で勝負してほしい」(群馬県/30代/女性)という複雑なファン心理も。また、「イベント参加券などは地方在住者には意味がない。その分価格を安くしてほしい」(広島県/20代/男性)、「価格が高くなるので、作品のみにしてほしい」(滋賀県/20代/女性)といった意見もあった。

特典は素晴らしい作品と出会う“きっかけ”、それ以上の価値はNO

 かつてはCDショップや書店に出向き、ぶらぶらしては“ジャケ買い”などをして楽しむ人が多かったものだ。手に取ったパッケージの重み、素晴らしい作品と出会えた時の喜び――何事にも代えがたい感動があった。しかし、ありとあらゆる情報を気軽に入手でき、自宅に居ながらでも自分の趣味・嗜好に合った作品と出会えるようになった今、利便性が向上した一方で、「CD自体を買ったことがない」、「音楽や本には無料で手に入るもの」と考えている若者も少なくないと聞く。リアルパッケージに対していかに接点を持ってもらい、そこにしかない価値を見出してもらうかは、音楽や書籍業界に限らず直面している課題でもある。

 こうした状況のなか、音楽ではティーンに人気のアーティストが安い価格帯のCDを発売したり、書籍では“いきなり文庫化”の動きが広がったりするなど、送り手側は様々な取り組みを行ってきた。今回のゴールデンボンバーは特典をなくした分、価格を低く抑えるなどの工夫をしており、彼らが所属するユークリッド・エージェンシーの会長・木村敏彦氏は音楽ビジネス誌『ORIGINAL CONFIDENCE』9月22日号のインタビューで「今までゴールデンボンバーのCDを手に取ったことがない方にも彼らの音楽が広がってくれたら嬉しい」と語っている。ただ、アーティスト側としては特典が購入の“きっかけ”になるにせよ、特典なしCD発売の裏に「音楽だけにスポットを当てたい」という鬼龍院翔(Vo/リーダー)の意向があったように、最終的には音楽で勝負したいという思いがあるようだ。

 特典で商品に付加価値をつけるのは、あくまでもユーザーが作品と出会うきっかけのひとつにすぎない。アンケートの賛成意見のなかには「行き過ぎていなければいいと思う」というコメントもあったが、送り手側と受け手側が幸福な関係を築き、いかに素晴らしい作品との出会いの場を演出できるかがポイントとなりそうだ。

【調査概要】
調査時期:2014年8月12日(火)〜18日(月)
調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査

【賛成】【反対】それぞれの主なコメント


YES(賛成)の主なコメント
・特典があると買いたくなります。(千葉県/10代/女性)
・どうしたら買ってくれるか、と工夫した結果。行き過ぎなければいいのでは。(新潟県/10代/女性)
・実際、特典によって購入するか決めている時もあるので、アリだと思います。(兵庫県/20代/女性)
・音楽を聴くだけの目的なら、CDを購入しなくてもできる方法がありすぎるため、特典商法で利益を出そうとするのは悪く思わない。(大阪府/20代/男性)
・何も対策をしないで「売れない」と嘆くよりいいと思う。売る努力は必要。(東京都/30代/男性)

NO(反対)の主なコメント
・CDを買う目的がわからなくなる。(富山県/10代/女性)
・作品に興味があるだけで、特典には興味がないから。(東京都/30代/女性)
・特典の分、値段が高くなっている気がするから。(埼玉県/20代/男性)
・ファンとしては作品の中身で勝負してほしい。(広島県/30代/男性)

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