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T.M.Revolution『やるんだったら真剣――強烈なインパクトを残した話題のCMでは……!?』
良い評価を受けるためには体を張って作品を作らないとダメ
西川でも実は最初、僕の過去曲のパロディでやろうって案が出ていたんですよ。で、それじゃつまらんよと。そんなありきたりのことをやっても絶対おもしろくならないってことで、僕から新曲でやろうって逆提案させてもらったっていう。時間はかかったけど、結果として双方納得できる作品作りができて、ああいう形を残せてよかったです。
――あのCMは曲も西川さんの演技(?)も真剣にやってるところがいい。すべてのクオリティが高いからこそ、楽しめるし見応えもあるっていう。
西川大マジメにやってますから(笑)。前回の「突キ破レル-Time to SMASH!」のインタビューでも言ったけど、やっぱりつねに刺激的なことをやり続けて、みなさんから良い評価を受けるためには体を張って作品を作らないとダメ。バジェット(予算)の枠内で、いいものを作るためにどうアイディアを張るかとか、そこで汗をかいていかにイーブンに持っていくかってところが大事なんですよ。ま、いろいろやりすぎてスタッフはもはや、何が良くて何が悪いか判断基準がわからないって言ってますけど。やってもいいし、やんなくてもいいみたいな(笑)。でもやるんだったら真剣にやりたいし、振り切れたいじゃないですか。
――受け手には伝わってしまいますもんね。
西川そう。ただ、あのCMの時点ではみなさん、“なんじゃこりゃ!”ってなったと思いますよ(笑)。『新堂本兄弟』(フジテレビ系)のロケのときにも、高見沢(俊彦)さんや(堂本)光一に“あの歌すごいねー”って言われましたから。
――でもこうしてシングルとして完成されたものを聴くと、CMをいい意味でちゃんと忘れさせてくれる。あの強烈な印象をしっかりシフトさせる世界観の作り込み方はすごいなと。今作は2005年の「vestige-ヴェスティージ-」以来、9年ぶりのバラードシングルですが、思い入れもより強かったとか?
西川いや、曲の制作自体はいつものシングルと変わらないですよ。ただ、今回はミュージックビデオ(MV)でいろいろ挑戦的なことをしていまして。ドラマのようにストーリー仕立てになっているんだけど、僕はリップシーンに出てくるだけで演じていない。いつもは僕がやるところをプロの役者さんにお願いしたんですね。で、歌詞の作業とMVの制作を平行してやっていたので、詞と映像の世界観もしっかりリンクしたっていう。
――タイトルの「Phantom Pain」のとおり、大切なものを失うというストーリーになっている?
西川そうですね。でも何を失ったかは観てもらってからのお楽しみ。僕もかなり気に入っている映像なので、ぜひ観て欲しいです。
頭の中にいろんなプランが――後悔はしない!
西川(即答で)そうですね。
――やっぱり(笑)。
西川だって後悔してもしょうがないでしょ?それを言い出したら、あの父ちゃんとか母ちゃんから生まれたことをすでに後悔ですよ(笑)。僕、金髪に生まれたかったもん(笑)。
――そこを言い出したらキリがない(笑)。自分でやってきたことで、後悔したことはないんですか?
西川んー、良くも悪くも、どうでもいいやって思っちゃいます、終ったことは。よく高校の同窓会とかでも、昔を振り返ってあんときあーだったとか、こうしておけば良かったとか、あの頃に戻りたいとか言う人がいるけど僕はそういう感覚って一切ないんですよ。今のこの頭脳と状況を持ってもう1回、小学校1年生ぐらいに戻ってやり直せるなら戻ってみたいと思うけど。
――どんだけ戻るんですか(笑)。
西川それぐらい戻らないと、やりたいことが消化できない。人生をあと3周ぐらいしないとムリですよ、いま考えてることをやるのは。それぐらい頭の中にいろんなプランが詰まってますから。
――そう考えたら、時間がもったいなくて後悔しているヒマなんて1秒もありませんね。
西川ただ、反省はしますよ。それを踏まえてこうしたほうがいいかなとか、次はああしようとか考える作業はします。そうしないと改善されないですからね。それは仕事だけじゃなく、男女間の問題も同じ。反省がなければいつまでたっても男のエゴを押し付けちゃうというか。“オレはこうじゃないとダメ!”って、自分のこだわりに固執し続けることになる。でも反省を積み重ねることで、あ、ここでこれを言っても仕方がないなとか、ここは引いてみようとか、お互いに譲歩したり受け入れたりする関係になっていくんじゃないんですかね。
――失敗→反省→改善と。では<確かめ 切れずに また焦がれる>とか<痛みの在処を 今も捜せない>という歌詞のように、終ってしまったら未練は残さない?
西川終ってしまったら、新しいものを取りにいけばいいでしょー。って、それは冗談だけど(笑)、例えば対象が人でなくモノだとして、昔のモノってノスタルジーに浸れるだけで基本的に新しいモノのほうがレベルアップしてるじゃないですか。ご新規さんのほうが開拓する楽しみもあるし。
――慣れたものより、未知のものに惹かれると。
西川実際、そのほうがおもしろいものが手に入りますから。今回のCMがまさにそうだし、前作「突キ破レル〜」も今までやったことがなかったジャズ・フュージョンっていうジャンルにMVで挑戦して、そこからまた次の可能性が開けたわけで。だからね、新しいことをしたほうが絶対におもしろいんですよ。
――ではもし、過去にこだわって前に進めない人がいたら、何て声を掛けます?
西川“それ、つまんなくない?”って。そういう人は可哀想だなって思っちゃうんですよ。ちょっと捜せば他に楽しいことは山ほどあるのに……。そう考えたら失くしてしまったものや、すでに通ってきた道を振り返って後悔する時間はもったいないと思いますよ。
(文:若松正子)
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