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(更新: ORICON NEWS

豊川悦司『なんて愛情深い言葉だろう』

日本を代表する名優・豊川悦司が、日本を代表する名カメラマンであり映画監督も務める木村大作氏がメガホンをとった『春を背負って』に出演。“そこ”にあるものを“そこ”に行って撮る、大作氏流の過酷な山でのロケに臨み、改めて俳優として感じた大切なこと、見直した自身の感性――。

人生、そんなに甘くない(笑)

──自分の身近にも悟郎さんのような先輩がいたらいいのに……と、亨や愛ちゃんが羨ましかったです。
豊川悟郎さんみたいな人はそうそういませんよ。人生、そんなに甘くないです(笑)。

──(笑)ただ、松山さんと蒼井さんにとっては悟郎さん=豊川さんで、先輩俳優として大きな存在だと言っていました。
豊川そうですか(笑)。ほんとうに過酷なロケだったんです。過酷だからこそ、お互いの立場を超える関係性ができたのかもしれないですね。そして、松山くんと優ちゃんと僕との間に生まれた関係性が、同じように亨と愛ちゃんと悟郎さんの関係性になっていきました。それって、すごくおもしろいことですね。

──それこそが木村監督が求めていた形なんですよね。亨が悟郎さんを背負って下山するシーンも印象的でした。
豊川あのシーンで、俳優の仕事ってこういうことなんだなって思いました。セリフを上手く言うとか、(台本とおりに)適材適所に表情を当てはめていくっていうことよりも、俳優自身が苦労をして、汗をかくことによって人は惹きつけられる、それを強く感じたシーンでした。また、今回の現場で改めて感じたのは、自分の考え方をつねにやわらかくしておくことの大切さです。やわらかくというのは、自分が何かに対して抱いているイメージや自分自身の感性をもう一度見直せること、信用しすぎないことですね。

──木村監督と仕事をしたいと思うのは、そんな気づきがあるからでもあるんでしょうね。また木村監督からオファーがあったらどうしますか?
豊川次は、砂漠の映画を撮りたいって言っていましたけど……砂漠(笑)。でも、オファーがきたらまた受けちゃうんだろうなぁ(笑)。

──(笑)最後に、この映画のテーマのひとつでもある“居場所”について、豊川さんが思う居場所とは?
豊川安住という意味とはまた違って、自分が必要とされている場所というニュアンスに近いですね。その居場所を探す旅=人生なのかなと思います。今いる場所が居場所かもしれないし、まだまだ道半ばかもしれない。わからないことだけど、そのわからないことに時間を使うことが徒労であり「人生は徒労の連続。だからこそ宝になる」というセリフに繋がるのかもしれない。この映画は、心が落ち込む要素がまったくない映画です。こんなにも単純明快に人間というものを表現している映画はなかなかないし、好き嫌い、良い悪いを超えた映画だと思います。
(文・新谷里映:撮り下ろし写真・片山よしお)

⇒ 前のページへ【すごく贅沢な現場に居させてもらいました】

春を背負って

 立山連峰で山小屋を経営する厳しい父・勇夫(小林薫)に育てられた長嶺亨(松山ケンイチ)は、父から遠ざかるように都会で暮らしていたが、父の突然の訃報に帰郷する。そこで気丈に振る舞う母(檀ふみ)やその姿を見つめる山の仲間たち、そして見慣れぬ女性・高澤愛(蒼井優)らと接し、都会での生活を捨て山小屋を継ぐと決める。

監督:木村大作
出演者:松山ケンイチ  蒼井優 檀ふみ 小林薫 豊川悦司
【公式サイト】
2014年6月14日(土)全国東宝系でロードショー
(C)2014「春を背負って」製作委員会 

関連リンク

<インタビュー前編>役と俳優が経験を共有する
<インタビュー後編>人生そんなに甘くない(笑)
豊川悦司 撮り下ろし☆PHOTO GALLERY☆
インタビュー連載Vol.2松山ケンイチ&蒼井優
映画『春を背負って』公式サイト

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