10月14日（土）、少し肌寒さを感じる古都・奈良東大寺に続々と人が押し寄せる。世界遺産である東大寺にて、東京スカパラダイスオーケストラのライブが行われるからだ。大仏さまの眼前に大きなステージが組まれている。そして、ステージを取り囲むように集まった観客は実に6000人。数ある＜音楽＞のなかで“スカ”を奏でる＜スカパラ＞と、“世界遺産”である＜東大寺＞という、ある意味ミスマッチとも捉えることのできるこの組み合わせが、古都の夜空のもと、どのような化学反応を見せるのか、自然と期待に胸が膨らんでしまう。

　会場にメンバーが登場すると大歓声が迎え入れた。1曲目はいきなり「ゴッドファーザー 愛のテーマ」。大仏さまの前で、マフィアのテーマ曲とも言えるこの曲でオープニングを飾るとは、いかにもスカパラらしい。最初のMCでバリトンサックスの谷中敦は「大仏さまの前でみんなの声を聞かせてやってくれよ！大仏さまの前で踊ってくれよ！！」と観客をあおる。

　中盤では、この日のライブにぴったりなナンバー「動かぬ男〜The “BIG MAN” still standing〜」を披露。光の演出で、大仏さまが幻想的に浮かび上がる。終盤にかけて、さらに会場はヒートアップ。激しく盛り上がれる曲の定番となっている「太陽にお願い」では、曲の途中でアルトサックス冷牟田竜之が「みんなの力が欲しい！みんなの声をくれ！！」と、さらに観客のボルテージを引き上げる。

　そして、本編ラストナンバー「DOWN BEAT STOMP」で観客を踊りに踊らせる。ステージを観ているお坊さんたちもが、リズムを取りながら楽しんでいる姿に爽快な気分にさせられた。アンコールでは「Come On!」で再び観客の熱を高めていく。そして、この日のラストナンバー「In A Sentimental Mood」が、普段では味わうことのできない幻想的空間のライブの幕を下ろした。

　ドラムの茂木欣一が、自身がボーカルを務める「世界地図」を歌う直前のMCで、「大仏さまの手がピースマークになるまで、スカパラの音楽を思いっきり楽しんでください」と言っていたが、間違いなくピースマークになっていたんだろうなと思わせるほどの圧巻のステージであった。