俳優、歌手として長いキャリアを重ねる原田知世が、ラブソングのカバーシリーズ第5弾『恋愛小説5〜my white days』を11月4日にリリースする。シリーズ初のホリデーソング編となる今作で目を引くのが、その選曲だ。自身のキャリアとも縁の深い松任谷由実、桑田佳祐から、くるり、ユニコーンまで、世代やジャンルを超えた冬の名曲が並ぶ。本作の選曲の背景やそれぞれの楽曲への思い、長年タッグを組む伊藤ゴローとの制作について聞いた。
■「冬」をテーマに選んだ10曲
――『恋愛小説』シリーズも今回で5作目になりました。これまでさまざまなラブソングを歌ってきましたが、今回は初めて「冬」「ホリデー・シーズン」というテーマになりましたね。
これまでも毎回いろいろなテーマで曲選びをしてきましたが、今回は時期的にも冬をイメージしたものにしようと思いました。これまでのこのシリーズは全部が洋楽だったり、全部が邦楽だったり分かれていましたが、今回はそれをうまく混ぜて作ることができました。
――選曲ではどんなことを大切にしましたか?
選曲にあたり、意外と冬の曲って少ないことに気がつきました。スタンダードなクリスマスソングはたくさんありますが、これまでのアルバムの選曲と比べると、意外と範囲が狭いなという印象があって少し苦労もしました。その中で、自分の声に合うもの、歌ってみたい曲を選びながら、1枚のアルバムとしてトータル感が出るよう、選曲段階では気をつけました。ゴローさんとはもう長くやってきているので、今回もアレンジはすべてお任せしようと。ただ、「こういうふうに歌ったらいいかな」ということは提案します。それを聴いてゴローさんがアレンジを考えてくださって、テンポ感とキーだけ決めて、すごく少ない音の中で一度私が歌って。そこからアレンジを固めていく形で進めました。
■ユーミン、桑田佳祐――自身のキャリアとも重なる名曲
――1曲目が松任谷由実さんの「サーフ天国、スキー天国」です。原田さんといえば、この曲が主題となった映画『私をスキーに連れてって』を思い浮かべる方も多いと思います。この曲を今、ご自身で歌うことにはどんな思いがありましたか?
ユーミンさんとはとてもご縁をいただいていて、最初に『時をかける少女』で曲を書いていただきました。もともと私は子どもの頃からユーミンさんが大好きで、姉が聴いているのを一緒に聴いて育ったんです。その後、『私をスキーに連れてって』でまたご縁がありました。今でもこの作品が大好きだと言ってくださる方が本当に多くて、自分の歴史の中でも大きな作品です。ファンの方もまさか私が歌うとは思っていなかったかもしれないので、ちょっとしたプレゼントという気持ちです。
――ユーミンさんの楽曲は「12月の雨」も収録されています。原田さんにとって、ユーミンさんの音楽は改めてどんな存在なのでしょうか?
私の人生の思い出の中にはユーミンさんの音楽があります。日常の中で寄り添ってくれた音楽です。いろいろな人の青春でもあると思います。これだけ長く、たくさんの名曲を生み出されて、ずっと進化し続けている方なので、世代によってどの時代のユーミンさんなのかは違うと思います。でも、自分の思い出とユーミンさんの歌詞の世界がピタッと合う曲を、多くの方が持っているんじゃないでしょうか。その曲を聴くだけで、当時の思い出が鮮明に蘇るような、そんな力を持った名曲がたくさんありますよね。私は荒井由実さんの時代が特に好きで、リアルタイムではなかったですが、姉たちが聴いていたものを一緒に聴いていました。
――桑田佳祐さんの「白い恋人達」も収録されています。主演映画『彼女が水着に着がえたら』ではサザンオールスターズの楽曲が使われていましたが、今回、改めてご自身が桑田さんの曲を歌ってみていかがでしたか?
私は原由子さんの歌が好きで、以前カバーさせていただいたこともありますが、桑田さんの楽曲へのチャレンジは今回が初めてでした。サザンオールスターズの曲には好きなものがたくさんありますが、自分が歌う姿をなかなか想像できなかったからだと思います。今回歌った楽曲は、すごく切なくて素敵なラブソングですので、演じるような気持ちで歌ってみました。挑戦したことで、あらためて桑田さんのメロディと歌詞が持つ魅力を実感しました。
■「ばらの花」との出会いは文学少女の友人とのカラオケ
――興味深かったのが、くるりの「ばらの花」です。この曲はどのように候補に挙がったのでしょうか?
すでにレコーディングが始まっていた頃、あと1曲どうしようかということになったんです。何がいいかなと考えていたものの、なかなか出てこなくて。そこで「『ばらの花』はどうかな」と思いついたんです。本当に好きな曲なので。
――原田さんは、もともと「ばらの花」をよく聴いていたんですか?
この曲が出た当時だったと思いますが、女性の友達とカラオケに行く機会がありました。彼女は普段カラオケで歌ったりしない文学少女でしたが、そのときに初めて歌ってくれたのがこの曲でした。「何か歌って」と言ったら、この曲を歌ってくれたんです。聴いていてすごく不思議な気持ちになって、サビで「今、なんていう歌詞を歌っているんだろう?」と思って。歌詞だけでなく、アレンジや印象的なリフにもすごく打ち抜かれました。それでオリジナルを聴いてみたら、岸田繁さんの声や歌い方もすごく素敵で。サビのフレーズを含めて、それまで聴いたことのない世界観に一瞬で魅了されました。繰り返し聴いても聴き飽きない曲です。
――今聴いても新鮮な曲ですよね。
本当に今の曲みたいに聴こえませんか?今の若い方が聴いても、最近の曲だと思うような新鮮さがあると思います。いろいろな方がカバーしていますけど、いい音楽を大事にカバーすることで、オリジナルを知らなかった人にも届けることができる。私としても、今この曲を聴いてほしいし、自分も歌いたいと思いました。
――お友達とのカラオケのおかげでこのカバーが誕生したんですね。
そうですね(笑)。あの時代は、みんなが歌い上げるような曲を歌っている中で、その友達がこの曲を選んだことがとても印象に残ったんです。
――ちなみに、最近はどんなふうに新しい音楽と出会っていますか?
最近はYouTubeで昔の歌を聴いたりすることが多くて、新しいものは少ないですね。音楽があまりにもたくさんあるので、どこから聴いていいのかわからなくて(笑)。配信サービスで好きなアーティストからおすすめされるものを、ランダムに聴いていったりしています。その中で、クレイロという女性アーティストのアルバムは、作品として通してじっくり聴いています。あとは姪っ子たちから「この人いいよ!」とおすすめがきたり。indigo la Endは姪っ子と一緒にライブにも行っています。
■奥田民生の「力を抜く素敵さ」 悩んだ「雪が降る町」
――そしてユニコーンの「雪が降る町」も収録されています。原田さんはこれまで、ユニコーンや奥田民生さんの音楽をどんなふうに聴いてきましたか?
世代的にもリアルタイムで聴いてきましたし、やっぱり時代を作ったアーティストだと思います。ユニコーンの時代はもちろんですけど、奥田さんがソロになられてからは、いい意味で力を抜いていくことの素敵さを伝えた人だったように思います。そこがとても印象に残っています。独特の歌声がありますし、歌詞、メロディー、それらすべてでご自身の世界を作っていらっしゃる方という印象を持っています。
――その中で「雪が降る町」を選んだ理由は?
冬という枠でいろいろ探していたらこの曲が出てきて、「そうだった!いい曲があった!」と思いました。ただ、難しい曲なので、伊藤ゴローさんがどう思うだろうとちょっと躊躇したんですね。でも、ゴローさんが「僕、これ好きだよ」とおっしゃってくれたので、「ならばやりましょう!」と。ゴローさんも楽しんで、すごく力を入れてやっていらっしゃるのがわかりました。
――実際に歌うのは難しかったですか?
難しかったです。テンポもオリジナルとほぼ同じでゆったりしているのですが、その“間”を奥田さんだから埋められているところもあって。実際に歌うとすごく難しくて、「どうやって歌ったらいいんだろう」と悩みました。
――何度も微調整しながら仕上げていったのでしょうか?
プリプロの際に歌ったテイクが一番良かったんです。お芝居もそうですが、その日の自分の状態というか、気持ちが乗っている日ってあるんですよね。そういう日に歌ったテイクは伸びやかで、あまり考えすぎていなかったりする。この曲も仮歌がリラックスしていて良い雰囲気だったので、基本的にそのテイクを使っています。
■「自分の歌をもう少し育てていきたい」
――一方で、「冬のこもりうた」「2月の雲」というご自身の楽曲も収録されています。改めて歌ってみて感じたことはありましたか?
とても好きな曲だなと改めて思いました。どちらも高橋久美子さんとゴローさんの共作曲です。「冬のこもりうた」はリリースをしてからライブで何度も歌ってきましたが、レコーディングで久しぶりに歌って、 自分の歌の変化も感じましたし、やっぱりメロディーと歌詞が心に響きました。思いがけず、『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の主題歌に選んでいただいて、いろいろな人の心に届いていった曲でもあるので、思い入れのある曲です。今回、冬がテーマですから、「これは入れなければ」と思いました。
――『恋愛小説』シリーズは2015年から続き、今回で5作目となりました。今後も続いていくのでしょうか?
楽しみながらやってきて、気がついたら5枚も出させてもらって、「結構いっぱいやったな」という気持ちもあります(笑)。ここまであいだを空けずにソロ作品を作って、『恋愛小説』も作って、という感じできたので、今後はもう少し時間を持って音楽を作りたいなと考えています。今年ツアーをやって、歌うことに向き合う中ですごく充実しているなとも感じているので、自分の歌をもう少し育てていきたいという気持ちが今はあります。
――12月11日、12日には東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで『恋愛小説5』のリリース記念ライブも控えています。今回の楽曲がライブではどんな表情になるのかも楽しみですが、どんなステージにしたいと考えていますか?
もちろん、このアルバムを中心にしたライブになります。ここ数年、この会場でやらせていただいていますが、ちょうどクリスマスの華やいだいい時期なんですよ。恵比寿ガーデンプレイスにはシャンデリアが飾られたり、ツリーがあったり、ライブに来る前も、見終わったあとも、その余韻であの辺りを楽しんでほしいなと思います。今回は特にクリスマス曲も入ったアルバムですし、十分に楽しんでもらえるようなライブにできたらと考えています。ぜひおいしいお酒を飲んでほしいです。
■プロフィール
原田知世(はらだ・ともよ)
1983年、オーディションで5万7000人の中から選ばれ、映画『時をかける少女』でスクリーンデビュー。俳優として数々の話題作で主演を務める傍ら、歌手としてもデビュー当時からコンスタントにアルバムを発表。1990年代は、鈴木慶一、トーレ・ヨハンソンを迎えてのアルバム制作や、オール・スウェディッシュ・メンバーとの国内ツアーなどで新たなリスナーを獲得。近年はプロデューサーに伊藤ゴローを迎え、充実したソロアルバムをコンスタントに発表しているほか、ドキュメンタリー番組等のナレーションを担当するなど幅広く活動している。
ヘアメイク:石川ひろ子 スタイリング:青木千加子
■「冬」をテーマに選んだ10曲
――『恋愛小説』シリーズも今回で5作目になりました。これまでさまざまなラブソングを歌ってきましたが、今回は初めて「冬」「ホリデー・シーズン」というテーマになりましたね。
これまでも毎回いろいろなテーマで曲選びをしてきましたが、今回は時期的にも冬をイメージしたものにしようと思いました。これまでのこのシリーズは全部が洋楽だったり、全部が邦楽だったり分かれていましたが、今回はそれをうまく混ぜて作ることができました。
――選曲ではどんなことを大切にしましたか?
選曲にあたり、意外と冬の曲って少ないことに気がつきました。スタンダードなクリスマスソングはたくさんありますが、これまでのアルバムの選曲と比べると、意外と範囲が狭いなという印象があって少し苦労もしました。その中で、自分の声に合うもの、歌ってみたい曲を選びながら、1枚のアルバムとしてトータル感が出るよう、選曲段階では気をつけました。ゴローさんとはもう長くやってきているので、今回もアレンジはすべてお任せしようと。ただ、「こういうふうに歌ったらいいかな」ということは提案します。それを聴いてゴローさんがアレンジを考えてくださって、テンポ感とキーだけ決めて、すごく少ない音の中で一度私が歌って。そこからアレンジを固めていく形で進めました。
■ユーミン、桑田佳祐――自身のキャリアとも重なる名曲
――1曲目が松任谷由実さんの「サーフ天国、スキー天国」です。原田さんといえば、この曲が主題となった映画『私をスキーに連れてって』を思い浮かべる方も多いと思います。この曲を今、ご自身で歌うことにはどんな思いがありましたか?
ユーミンさんとはとてもご縁をいただいていて、最初に『時をかける少女』で曲を書いていただきました。もともと私は子どもの頃からユーミンさんが大好きで、姉が聴いているのを一緒に聴いて育ったんです。その後、『私をスキーに連れてって』でまたご縁がありました。今でもこの作品が大好きだと言ってくださる方が本当に多くて、自分の歴史の中でも大きな作品です。ファンの方もまさか私が歌うとは思っていなかったかもしれないので、ちょっとしたプレゼントという気持ちです。
――ユーミンさんの楽曲は「12月の雨」も収録されています。原田さんにとって、ユーミンさんの音楽は改めてどんな存在なのでしょうか?
私の人生の思い出の中にはユーミンさんの音楽があります。日常の中で寄り添ってくれた音楽です。いろいろな人の青春でもあると思います。これだけ長く、たくさんの名曲を生み出されて、ずっと進化し続けている方なので、世代によってどの時代のユーミンさんなのかは違うと思います。でも、自分の思い出とユーミンさんの歌詞の世界がピタッと合う曲を、多くの方が持っているんじゃないでしょうか。その曲を聴くだけで、当時の思い出が鮮明に蘇るような、そんな力を持った名曲がたくさんありますよね。私は荒井由実さんの時代が特に好きで、リアルタイムではなかったですが、姉たちが聴いていたものを一緒に聴いていました。
――桑田佳祐さんの「白い恋人達」も収録されています。主演映画『彼女が水着に着がえたら』ではサザンオールスターズの楽曲が使われていましたが、今回、改めてご自身が桑田さんの曲を歌ってみていかがでしたか?
私は原由子さんの歌が好きで、以前カバーさせていただいたこともありますが、桑田さんの楽曲へのチャレンジは今回が初めてでした。サザンオールスターズの曲には好きなものがたくさんありますが、自分が歌う姿をなかなか想像できなかったからだと思います。今回歌った楽曲は、すごく切なくて素敵なラブソングですので、演じるような気持ちで歌ってみました。挑戦したことで、あらためて桑田さんのメロディと歌詞が持つ魅力を実感しました。
――興味深かったのが、くるりの「ばらの花」です。この曲はどのように候補に挙がったのでしょうか?
すでにレコーディングが始まっていた頃、あと1曲どうしようかということになったんです。何がいいかなと考えていたものの、なかなか出てこなくて。そこで「『ばらの花』はどうかな」と思いついたんです。本当に好きな曲なので。
――原田さんは、もともと「ばらの花」をよく聴いていたんですか?
この曲が出た当時だったと思いますが、女性の友達とカラオケに行く機会がありました。彼女は普段カラオケで歌ったりしない文学少女でしたが、そのときに初めて歌ってくれたのがこの曲でした。「何か歌って」と言ったら、この曲を歌ってくれたんです。聴いていてすごく不思議な気持ちになって、サビで「今、なんていう歌詞を歌っているんだろう?」と思って。歌詞だけでなく、アレンジや印象的なリフにもすごく打ち抜かれました。それでオリジナルを聴いてみたら、岸田繁さんの声や歌い方もすごく素敵で。サビのフレーズを含めて、それまで聴いたことのない世界観に一瞬で魅了されました。繰り返し聴いても聴き飽きない曲です。
――今聴いても新鮮な曲ですよね。
本当に今の曲みたいに聴こえませんか?今の若い方が聴いても、最近の曲だと思うような新鮮さがあると思います。いろいろな方がカバーしていますけど、いい音楽を大事にカバーすることで、オリジナルを知らなかった人にも届けることができる。私としても、今この曲を聴いてほしいし、自分も歌いたいと思いました。
――お友達とのカラオケのおかげでこのカバーが誕生したんですね。
そうですね(笑)。あの時代は、みんなが歌い上げるような曲を歌っている中で、その友達がこの曲を選んだことがとても印象に残ったんです。
――ちなみに、最近はどんなふうに新しい音楽と出会っていますか?
最近はYouTubeで昔の歌を聴いたりすることが多くて、新しいものは少ないですね。音楽があまりにもたくさんあるので、どこから聴いていいのかわからなくて(笑)。配信サービスで好きなアーティストからおすすめされるものを、ランダムに聴いていったりしています。その中で、クレイロという女性アーティストのアルバムは、作品として通してじっくり聴いています。あとは姪っ子たちから「この人いいよ!」とおすすめがきたり。indigo la Endは姪っ子と一緒にライブにも行っています。
■奥田民生の「力を抜く素敵さ」 悩んだ「雪が降る町」
――そしてユニコーンの「雪が降る町」も収録されています。原田さんはこれまで、ユニコーンや奥田民生さんの音楽をどんなふうに聴いてきましたか?
世代的にもリアルタイムで聴いてきましたし、やっぱり時代を作ったアーティストだと思います。ユニコーンの時代はもちろんですけど、奥田さんがソロになられてからは、いい意味で力を抜いていくことの素敵さを伝えた人だったように思います。そこがとても印象に残っています。独特の歌声がありますし、歌詞、メロディー、それらすべてでご自身の世界を作っていらっしゃる方という印象を持っています。
――その中で「雪が降る町」を選んだ理由は?
冬という枠でいろいろ探していたらこの曲が出てきて、「そうだった!いい曲があった!」と思いました。ただ、難しい曲なので、伊藤ゴローさんがどう思うだろうとちょっと躊躇したんですね。でも、ゴローさんが「僕、これ好きだよ」とおっしゃってくれたので、「ならばやりましょう!」と。ゴローさんも楽しんで、すごく力を入れてやっていらっしゃるのがわかりました。
――実際に歌うのは難しかったですか?
難しかったです。テンポもオリジナルとほぼ同じでゆったりしているのですが、その“間”を奥田さんだから埋められているところもあって。実際に歌うとすごく難しくて、「どうやって歌ったらいいんだろう」と悩みました。
――何度も微調整しながら仕上げていったのでしょうか?
プリプロの際に歌ったテイクが一番良かったんです。お芝居もそうですが、その日の自分の状態というか、気持ちが乗っている日ってあるんですよね。そういう日に歌ったテイクは伸びやかで、あまり考えすぎていなかったりする。この曲も仮歌がリラックスしていて良い雰囲気だったので、基本的にそのテイクを使っています。
■「自分の歌をもう少し育てていきたい」
――一方で、「冬のこもりうた」「2月の雲」というご自身の楽曲も収録されています。改めて歌ってみて感じたことはありましたか?
とても好きな曲だなと改めて思いました。どちらも高橋久美子さんとゴローさんの共作曲です。「冬のこもりうた」はリリースをしてからライブで何度も歌ってきましたが、レコーディングで久しぶりに歌って、 自分の歌の変化も感じましたし、やっぱりメロディーと歌詞が心に響きました。思いがけず、『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の主題歌に選んでいただいて、いろいろな人の心に届いていった曲でもあるので、思い入れのある曲です。今回、冬がテーマですから、「これは入れなければ」と思いました。
――『恋愛小説』シリーズは2015年から続き、今回で5作目となりました。今後も続いていくのでしょうか?
楽しみながらやってきて、気がついたら5枚も出させてもらって、「結構いっぱいやったな」という気持ちもあります(笑)。ここまであいだを空けずにソロ作品を作って、『恋愛小説』も作って、という感じできたので、今後はもう少し時間を持って音楽を作りたいなと考えています。今年ツアーをやって、歌うことに向き合う中ですごく充実しているなとも感じているので、自分の歌をもう少し育てていきたいという気持ちが今はあります。
――12月11日、12日には東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで『恋愛小説5』のリリース記念ライブも控えています。今回の楽曲がライブではどんな表情になるのかも楽しみですが、どんなステージにしたいと考えていますか?
もちろん、このアルバムを中心にしたライブになります。ここ数年、この会場でやらせていただいていますが、ちょうどクリスマスの華やいだいい時期なんですよ。恵比寿ガーデンプレイスにはシャンデリアが飾られたり、ツリーがあったり、ライブに来る前も、見終わったあとも、その余韻であの辺りを楽しんでほしいなと思います。今回は特にクリスマス曲も入ったアルバムですし、十分に楽しんでもらえるようなライブにできたらと考えています。ぜひおいしいお酒を飲んでほしいです。
■プロフィール
原田知世(はらだ・ともよ)
1983年、オーディションで5万7000人の中から選ばれ、映画『時をかける少女』でスクリーンデビュー。俳優として数々の話題作で主演を務める傍ら、歌手としてもデビュー当時からコンスタントにアルバムを発表。1990年代は、鈴木慶一、トーレ・ヨハンソンを迎えてのアルバム制作や、オール・スウェディッシュ・メンバーとの国内ツアーなどで新たなリスナーを獲得。近年はプロデューサーに伊藤ゴローを迎え、充実したソロアルバムをコンスタントに発表しているほか、ドキュメンタリー番組等のナレーションを担当するなど幅広く活動している。
ヘアメイク:石川ひろ子 スタイリング:青木千加子
2026/10/27


