オリコンのデータやランキングから社会トレンドを客観的な立場で分析・考察する新動画連載企画「オリコンBizトーク」。今回は、オリコン“本”ランキングの集計がスタートした2008年のランキングに焦点を当てた。この年は、アメリカでオバマ大統領が就任し、日本に初めてiPhoneが上陸した年だ。経済面ではリーマンショックによる世界的金融危機が引き起こされ、景気が悪化した時期でもある。そんな激動の2008年の出版界では、一体どのような本が人々の心を掴んでいたのだろうか。さらに、先日2026年7月23日に惜しまれつつこの世を去った、日本を代表するミステリー作家・東野圭吾さんが当時打ち立てた金字塔と、現在まで脈々と続く圧倒的な人気ぶりが、オリコンのデータから改めて浮き彫りとなった。 2008年のランキングを振り返る中で、まず大きなトピックスとして取り上げられたのが「血液型自分の説明書」シリーズの社会現象とも言える大ブームである。2008年4月21日付の週間BOOKランキングで1位を獲得したのが、黒い表紙が印象的な『B型自分の説明書』だった。B型の著者自身が自らの特性を分析し、「『変』って言われるとなんだか嬉しい」「自分が地味でめんどくさい」「それを楽しめるのがB型」といった、ユニークでありながら共感を呼ぶ内容が話題となった。 続いて話題に上ったのが、水野敬也氏の自己啓発小説『夢をかなえるゾウ』だ。5月5日付のランキングで1位を獲得した本作は、傍若無人な関西弁の神様「ガネーシャ」が、過去の偉人の習慣を主人公に実践させながら成功へと導いていく対話形式のストーリーが人気を博した。のちにドラマや舞台、アニメ化もされた本作だが、そのヒットの裏には著者自身の地道な努力があったという。2007年8月の発売後、著者の水野氏自らが全国約300もの書店を回ったエピソードが語られた。その後、テレビ番組で紹介されたことで1万8000部だった売上が一気に9万部へと跳ね上がり、大ベストセラーへの道を駆け上がった。 そして、規格外の強さを見せつけたのが『ハリー・ポッターと死の秘宝』である。8月4日付のランキングで堂々の1位を獲得した本作は、なんと初週だけで119万部という驚異的な売上を記録した。「当時は10万部売れれば大ヒット」と言われていた中で、桁違いの数字を叩き出したのだ。シリーズ第7巻は発売日に書店に長蛇の列ができるなど、日本中が「ハリー・ポッター」シリーズに熱狂した当時の空気が振り返られた。 しかし、この2008年のランキングにおいて、類を見ない記録を打ち立てていたのが、先日逝去された東野圭吾さんである。11月3日付の週間ランキングでは、1位に『聖女の救済』、2位に『ガリレオの苦悩』、3位に『流星の絆』と、なんとトップ3を東野作品が独占するという前代未聞の快挙を成し遂げていたのだ。
2026/08/07