今年、結成10周年を迎えた札幌発の3ピースバンド・ズーカラデルが10日、アルバム『ポイントネモ』をリリースした。10月17日からは全国12ヶ所でリリース&10周年記念ツアー『マイ・スイート・サブマリン・ツアー』を開催する彼らの、どこか懐かしくも新鮮で、心に沁み込んでくる楽曲の数々は、その歌詞世界の考察でも話題となっている。彼らの“10年間の集大成”となる本アルバムの聴きどころを探った。
■完璧には何かが足りなくとも恰好良い――タイトルトラックに込めた思い
吉田崇展(Gt&Vo)、鷲見こうた(Ba)、山岸りょう(Dr)からなるズーカラデル。2015年に北海道・札幌で結成され、これまでにミニアルバム4枚、フルアルバム3枚をリリースしてきた。彼らが10周年の集大成として制作したのは、地球上のすべての陸地から最も遠い場所である“ポイントネモ”をタイトルに冠したフルアルバム。作詞・作曲を手がける吉田が人との関わりにおいて感じている圧倒的な孤独と、地球上で最も孤立した場所だからこそ人工衛星が打ち捨てられる“ポイントネモ”へのシンパシーから名付けられたという。
収録曲は、先行配信された「バードマン」「友達のうた」「ローリンローリン」「大喝采」「ポイントネモ」の5曲を含めた全11曲。
タイトルトラックの「ポイントネモ」は、アニメーター・造形作家の大石拓郎氏との出会いから生まれた楽曲で、“人と人が分かり合うことへの大きな溝”がテーマ。氏のアニメーション制作のこだわりである「意図しないで人形に生まれたヨレをあえて活かす」というアナログな手法に、「ロックバンドが楽曲を生み出していく際の不完全さとのシンパシーを感じた」という吉田が、「完璧には何かが足りなくとも恰好良い」というものづくりへの愛を込めて制作した。
印象的なメインテーマやバンドの鼓動と合わせてエネルギーを増幅させるストリングスアレンジは、back number やaikoなどの楽曲を手がける島田昌典氏が担当。人と分かり合うことへの葛藤を抱えながらも、真っすぐに愛を伝える歌詞世界が心に響く一曲となっている。
■結成前から歌い続けてきた楽曲のほか、新境地となる楽曲も収録
“10周年の集大成”となる本アルバムの中で、彼らの10年間の歩みをダイレクトに感じられるのが、結成前より吉田が歌い続け、長年にわたりライブでも披露してきた「友達のうた」だ。ファンに愛され、ライブ会場で披露され続けてきたこの楽曲は、結成10周年イヤーの第1弾として、ライブと同じアレンジで今年2月に初音源化。この曲を原作として、映画監督の今泉力哉氏がオリジナル脚本を書き下ろし、短編映画『冬の朝』も制作された。「その歌詞からその温度からイメージしたのは、恋人なのか友達なのか、曖昧な距離感の、でもその“現状の距離”を大切にしたいふたりの関係についてだった」と監督が語るとおり、“友達”というありふれた言葉だからこそ、そこに含まれるさまざまな関係性や情景を考察できる一曲となっている。
また、10周年を迎えた今年、新境地を拓いたといえるのが、10周年イヤー第2弾シングルとして4月に先行配信された「ローリンローリン」だ。
本作は結成20周年を迎えるお笑いコンビ・銀シャリの『銀シャリ単独ライブ20周年記念ツアー「純米大銀醸」』のオープニング楽曲として書き下ろされたもの。かねてよりズーカラデルのファンだった銀シャリからのオファーによって実現した“結成20周年×結成10周年”のスペシャルコラボ曲で、お笑いと音楽という異なるフィールドで切磋琢磨してきた互いの歩みを通して、「初期衝動が終わった後、それぞれがキャリアを重ねながらも、大きな“何か”に突き動かされて転がり進んでいくエネルギー」を、独特な歌詞世界と疾走感あるバンドサウンドで表現している。
■10月からは全国12ヶ所をまわる10周年記念全国ツアーを実施
さらにもう1曲、10周年の今年、新たな挑戦となったのが、初のドラマタイアップ曲「大喝采」だ。7月クールに放送されたドラマ『浅草ラスボスおばあちゃん』(東海テレビ・フジテレビ系)の主題歌として書き下ろされた本作は、プロデューサーに久保田真悟(Jazzin’ park)を招き、80年代のブラックミュージックの影響を感じさせるサウンドに乗せて、“映画になんてならない”私たちの小さくて繊細な日々のドラマに優しく寄り添う。
作詞作曲を手がけた吉田は「『ラスボスおばあちゃん』の登場人物たちと、ドラマを観る我々には、それぞれさまざまな事情があります。“人それぞれの事情”は外から見えづらいので、どうしても無かったことにされがち。ですが、その事情の中にはどんな名作映画にも描かれていないような繊細な心の機微があると思っています。それぞれの小さいドラマに敬意を込めて曲をつくりました」とその胸の内を語る。誰もが悩み迷うささやかな日常に光を当てながらも、前に進もうとする勇気をもらえる応援歌だ。
このほかにも、どこか懐かしいけれど新鮮な、スーッと心に沁み込んでくるメロディーに乗せて、不完全さも肯定してくれる真っ直ぐな中にも深みのある卓越した人間描写が光る楽曲が勢揃い。ストレートな表現が多い近年のJ-POP界において、考察しがいのある吉田の歌詞世界には聴けば聴くほどハマっていく。
10月17日からは本作を携え、全国12ヶ所(仙台・新潟・名古屋・札幌・福岡・広島・大阪・高松・岡山・京都・静岡・東京)でリリース&10周年記念ツアー『マイ・スイート・サブマリン・ツアー』を開催する。10年の時を重ね、円熟味を増した彼らの現在地をぜひ、アルバムやライブで堪能してほしい。
文・河上いつ子
<作品情報>
ズーカラデル『ポイントネモ』
発売日:2025年9月10日
■初回限定盤(CD+Blu-ray)
品番:VIZL-2464/価格:6500円(税込)
【Blu-ray収録内容】
『太陽旅行 Live at Zepp DiverCity』(2024.3.22)
■通常盤(CD)
品番:VIZL-66087/価格:3700円(税込)
【収録曲】(共通)
01. 猫背
02. イエスタデイ・ワンスモア・ワンスモア
03. 大喝采
04. ヨルガオ
05. ムーンライトにお願い!
06. バードマン
07. 友達のうた
08. ポイントネモ
09. デク
10. 330
11. ローリンローリン
■完璧には何かが足りなくとも恰好良い――タイトルトラックに込めた思い
吉田崇展(Gt&Vo)、鷲見こうた(Ba)、山岸りょう(Dr)からなるズーカラデル。2015年に北海道・札幌で結成され、これまでにミニアルバム4枚、フルアルバム3枚をリリースしてきた。彼らが10周年の集大成として制作したのは、地球上のすべての陸地から最も遠い場所である“ポイントネモ”をタイトルに冠したフルアルバム。作詞・作曲を手がける吉田が人との関わりにおいて感じている圧倒的な孤独と、地球上で最も孤立した場所だからこそ人工衛星が打ち捨てられる“ポイントネモ”へのシンパシーから名付けられたという。
収録曲は、先行配信された「バードマン」「友達のうた」「ローリンローリン」「大喝采」「ポイントネモ」の5曲を含めた全11曲。
タイトルトラックの「ポイントネモ」は、アニメーター・造形作家の大石拓郎氏との出会いから生まれた楽曲で、“人と人が分かり合うことへの大きな溝”がテーマ。氏のアニメーション制作のこだわりである「意図しないで人形に生まれたヨレをあえて活かす」というアナログな手法に、「ロックバンドが楽曲を生み出していく際の不完全さとのシンパシーを感じた」という吉田が、「完璧には何かが足りなくとも恰好良い」というものづくりへの愛を込めて制作した。
印象的なメインテーマやバンドの鼓動と合わせてエネルギーを増幅させるストリングスアレンジは、back number やaikoなどの楽曲を手がける島田昌典氏が担当。人と分かり合うことへの葛藤を抱えながらも、真っすぐに愛を伝える歌詞世界が心に響く一曲となっている。
■結成前から歌い続けてきた楽曲のほか、新境地となる楽曲も収録
また、10周年を迎えた今年、新境地を拓いたといえるのが、10周年イヤー第2弾シングルとして4月に先行配信された「ローリンローリン」だ。
本作は結成20周年を迎えるお笑いコンビ・銀シャリの『銀シャリ単独ライブ20周年記念ツアー「純米大銀醸」』のオープニング楽曲として書き下ろされたもの。かねてよりズーカラデルのファンだった銀シャリからのオファーによって実現した“結成20周年×結成10周年”のスペシャルコラボ曲で、お笑いと音楽という異なるフィールドで切磋琢磨してきた互いの歩みを通して、「初期衝動が終わった後、それぞれがキャリアを重ねながらも、大きな“何か”に突き動かされて転がり進んでいくエネルギー」を、独特な歌詞世界と疾走感あるバンドサウンドで表現している。
■10月からは全国12ヶ所をまわる10周年記念全国ツアーを実施
さらにもう1曲、10周年の今年、新たな挑戦となったのが、初のドラマタイアップ曲「大喝采」だ。7月クールに放送されたドラマ『浅草ラスボスおばあちゃん』(東海テレビ・フジテレビ系)の主題歌として書き下ろされた本作は、プロデューサーに久保田真悟(Jazzin’ park)を招き、80年代のブラックミュージックの影響を感じさせるサウンドに乗せて、“映画になんてならない”私たちの小さくて繊細な日々のドラマに優しく寄り添う。
作詞作曲を手がけた吉田は「『ラスボスおばあちゃん』の登場人物たちと、ドラマを観る我々には、それぞれさまざまな事情があります。“人それぞれの事情”は外から見えづらいので、どうしても無かったことにされがち。ですが、その事情の中にはどんな名作映画にも描かれていないような繊細な心の機微があると思っています。それぞれの小さいドラマに敬意を込めて曲をつくりました」とその胸の内を語る。誰もが悩み迷うささやかな日常に光を当てながらも、前に進もうとする勇気をもらえる応援歌だ。
このほかにも、どこか懐かしいけれど新鮮な、スーッと心に沁み込んでくるメロディーに乗せて、不完全さも肯定してくれる真っ直ぐな中にも深みのある卓越した人間描写が光る楽曲が勢揃い。ストレートな表現が多い近年のJ-POP界において、考察しがいのある吉田の歌詞世界には聴けば聴くほどハマっていく。
10月17日からは本作を携え、全国12ヶ所(仙台・新潟・名古屋・札幌・福岡・広島・大阪・高松・岡山・京都・静岡・東京)でリリース&10周年記念ツアー『マイ・スイート・サブマリン・ツアー』を開催する。10年の時を重ね、円熟味を増した彼らの現在地をぜひ、アルバムやライブで堪能してほしい。
文・河上いつ子
<作品情報>
ズーカラデル『ポイントネモ』
発売日:2025年9月10日
■初回限定盤(CD+Blu-ray)
品番:VIZL-2464/価格:6500円(税込)
【Blu-ray収録内容】
『太陽旅行 Live at Zepp DiverCity』(2024.3.22)
■通常盤(CD)
品番:VIZL-66087/価格:3700円(税込)
【収録曲】(共通)
01. 猫背
02. イエスタデイ・ワンスモア・ワンスモア
03. 大喝采
04. ヨルガオ
05. ムーンライトにお願い!
06. バードマン
07. 友達のうた
08. ポイントネモ
09. デク
10. 330
11. ローリンローリン
2025/09/10




