劇団四季が24日、都内で海外新作ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の制作発表会を開いた。2025年4月から、JR東日本四季劇場[秋]でロングラン上演される。チケットは今年12月から発売予定。

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　ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、1985年公開の同名映画シリーズ第1作を基に創作されたミュージカル。カリフォルニア州ヒルバレーに住むマーティ・マクフライは、変わり者の科学者、ドク・ブラウンが作ったタイムマシンで1955年へタイムトラベルすることに。SF映画の金字塔と言われる、世界的に大ヒットした名作映画が舞台化され、2020年にイギリス・マンチェスターで開幕。2021年にはロンドン・ウェストエンドで開幕した。開幕するや大きな話題となり、2022年には英国演劇界で最も権威のあるローレンス・オリヴィエ賞で、最優秀新作ミュージカル賞を受賞した。2023年8月にはブロードウェイ公演が開幕している。

　本作の創作には、映画の製作陣も数多く参加。脚本には、映画の脚本も務めたボブ・ゲイル。映画の魅力はそのままに、ミュージカルコメディとして再構築した。映画の監督を務めたロバート・ゼメキスは、プロデューサーの1人として携わっている。音楽は、シリーズを通じて映画音楽を担当したアラン・シルヴェストリ。そこにミュージカルで新たに参加したグレン・バラードが加わり、登場人物たちの心情を歌う新たなナンバーを作り上げた。「The Pow of Love」「Johnny B. Goode」など映画で使用された楽曲も引き続き使用され、印象的な映画のオーバーチュアも、そのメロディが劇中で効果的に登場する。演出はジョン・ランド、振付はクリス・ベイリーが担当する。

　本作を語るうえで欠かせないのが、タイムマシン・デロリアンの存在。実際に人間が乗り込める実物大の大きさで登場し、公道も走れるという。美術デザインを手掛けたのはティム・ハトリー。映画を緻密に再現したデロリアンが、突如として舞台上に姿を現すと、劇場全体のギアが一段上がる。さらに注目は、タイムトラベルシーン。最新技術を駆使し、映像、照明、音響が見事に一体化した表現で、デロリアンの疾走感を描き出す。客席を含めた劇場空間をも最大限に使用し、まるでアトラクションのような、かつてない演劇体験を生み出す。

　会見には演出のジョン・ランド、筆頭プロデューサーのコリン・イングラム、劇団四季の吉田智誉樹社長が参加。コリンは「（ミュージカル初演）当時に『車は本当に飛ぶのか』、『飛ぶとしたら、どう飛ばすのか』と多く聞かれました。その当時も答えませんでしたし、きょうも答えは控えさせていただきます」と笑わせた。

■『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ストーリー
　1985年。アメリカ・カリフォルニア州の郊外、ヒルバレー。この街に住むマーティ・マクフライは、ロックスターに憧れる高校生。高校の創立記念バンドオーディションを受けるが、音楽の才能を否定され、ガールフレンドのジェニファーに励まされている。

　マーティは、気弱な性格で上司のビフ・タネンにこき使われる父ジョージ、男女交際に否定的でジェニファーのこともよく思っていない母ロレイン、兄のデイブと姉のリンダとともに暮らし、パッとしない日々を送っていた。

　ある日の夜、マーティは友人であるエメット・ブラウン博士に「夢が実現したようだ」と呼び出される。科学者で、通称ドク。ヒルバレーでは変わり者として扱われている。

　ドクはデロリアンを改造し、タイムマシンを完成させていた。行きたい日時を設定し、時速88マイルで車を走らせるとタイムトラベルできるという仕組みだ。マーティが歴史的瞬間を記録するためビデオカメラを回し、ドクがいよいよタイムトラベルに出かけようとしたその時、アクシデントによってドクは命の危機に。マーティはドクを助けるため、病院にデロリアンを走らせようとするが、急ぐあまり時速88マイルに達し、マーティは1955年にタイムトラベルしてしまう…。

　1955年マーティは元の時代に戻ろうと、デロリアンを起動させようとするが、デロリアンはドクの声にしか反応しないため、マーティには動かすことができない。

　1955年のドクに助けを求めようと、マーティは街へ。そこで出会ったのは、若き日の父ジョージだった。気弱な性格は相変わらずで、同級生のビフにいじめられているよう。追いかけたマーティは、他人の家をのぞき見しようと木に登っていたジョージを発見。次の瞬間ジョージが木から落ち、マーティはその下敷きになってしまう。

　マーティが目覚めると、そばにいたのは若き日の母ロレイン。彼女はマーティを看病してくれたのだが、そのためになんとロレインはマーティに恋してしまったのだった。

　なんとか1955年のドクのもとへたどり着いたマーティ。最初は疑っていたドクだが、タイムマシンの仕組みを閃いた時のことをマーティが話すのを聞き、未来からやってきたという話を信じ、協力することに。問題は動力だったが、雷を利用することを思いつき、さらにマーティが未来から持ってきたチラシのおかげで、次の土曜日 22時4分に時計塔に雷が落ちることが分かる。2人はその雷を利用して、1985年へタイムトラベルできるよう動き出す。

　しかし、マーティは若き日のジョージとロレインに出会ったことで、両親の出会いを邪魔してしまい、自身の消滅の危機に瀕していた。このままでは2人は結婚せず、マーティは生まれてこない。何とか2人の仲を取り持つよう、マーティは策を練る。

　はたしてマーティは両親を無事に結び付け、1985年に戻ることができるのか。落雷の日が迫る…。

■キャラクター
【マーティ・マクフライ】ヒルバレーに住む、ロックスターに憧れる高校生。両親、兄、姉とともに暮らし、さえない生活を送る。ある日エメット・ブラウン博士に呼び出され、タイムトラベル実験の手伝いをすることに。その実験中にハプニングが起こり、偶然1955年にタイムトラベル。その先で若き日の両親に出会う。

【エメット・ブラウン博士】通称ドク。変わり者の科学者で、マーティの友人。デロリアンを改造し、タイムマシンを発明する。マーティに手伝ってもらいタイムトラベル実験を行っていたところ、命の危機にさらされる。1955年にタイムトラベルしてきたマーティに助けを求められ、マーティを未来に戻すために協力する。

【ジョージ・マクフライ】マーティの父。うだつの上がらない気弱な性格。1955年、高校生にタイムトラベルしてきたマーティと偶然出会う。ロレインに好意を持っているが、気弱な性格ゆえに話しかけることはおろか、彼女をのぞき見することしかできない。

【ロレイン・ベインズ】マーティの母。男女交際にも否定的な堅物。1955年、高校生のロレインは奔放な性格で、偶然出会ったマーティに一目ぼれしてしまう。

【ビフ・タネン】ジョージやロレインと同級生の不良。乱暴で自分勝手な性格。ロレインに気があり、自分のものにしようとするが、迷惑がられている。ジョージのことをいつもいじめている。

【ジェニファー・パーカー】マーティのガールフレント。マーティのよき理解者。マーティの音楽の才能を信じており、レコード会社で働く叔父がマーティの演奏を聴けるように働きかける。