タレント・上沼恵美子（68）とフリーアナウンサーの古舘伊知郎（69）が、あす4日放送の読売テレビ・日本テレビ系『人生選択バラエティ 上沼恵美子の「もしも夫がゾンビになったら…」』（後11：59）で、28年ぶりにテレビ共演を果たす。1994年・95年の大みそかに『紅白歌合戦』で紅組・白組司会として盛り上げた、共にトークの達人。一方で、その後不仲がウワサされてきた。紅白以来のテレビ共演となった今回、収録直後の古舘をORICON NEWSが直撃した。

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　上沼にとって久々となる全国ネット冠番組は、「もしも夫がゾンビになったら？」のように、世の中のさまざまな議論・話題を「あなたならどうする？」と3択問題にして出題。正解はなく、問題や回答について、MCとパネラー陣が“ああだこうだ”言い合うトークバラエティー。「もしも夫がゾンビになったら？」は切り口に過ぎず、そこから始まる激論が見どころとなる。

　収録は上沼のホーム、大阪・読売テレビ本社で行われ、パネラーの古舘は緊張と興奮が入り混じった表情でスタジオ入りした。今年7月に互いのYouTubeチャンネルにゲスト出演し、“雪解け”を感じさせたものの、複数台のカメラが上沼と古舘を追い、ピリッとした空気が張りつめた。

　先攻したのは上沼で、冒頭いきなり28年前の紅白のエピソードにふれ、「そっから犬猿の仲」とズバリ。対して、古舘が「全面的に僕が悪かった」「好きですよ！」とラブコール。上沼は「思ってないくせに！」とツッコミながら、「よくこの番組にお越しになりました」と笑顔で歓迎した。

　スタッフから提示されたトークテーマが盛り上がらないと感じれば、上沼はバッサリ切り捨てて脱線し、それに古舘も加勢するなど、忖度なしのトークは息ぴったり。“ネット炎上”や“コンプライアンス”にも話題は及び、古舘は「コンプライアンスは上沼さん以外に適用すべき！でないと、面白くなくなる！やめちゃダメ！」と熱いエールを送った。

　東西を代表する“しゃべりのプロ”2人のやりとりは、他のパネラーを圧倒し、予定をオーバーして熱を帯びた。その全貌は、放送後に配信されるTVer特別版とともに明らかになる。

■古舘伊知郎　一問一答「信頼があるから、ファンをうならせる強烈な大技を出す」

――収録を終えての感想を聞かせてください。

『報道ステーション』の時は、政治家さんと生でバトルみたいなものが期せずしてあったんですが、あんまりここんとこバトルっぽいものは…。『そこまで言って委員会』に出た時はありますけど、バラエティーの中で、あの天下の上沼恵美子さんのツッコミを受けながら、バトルというより応酬する感じ、ラリーが、ものすごく気持ちよかったです。「そうですね」なんて言ってくれないから（笑）。「なんやそれ！おもろないわ！」って言ってくださると「そんな、面白くなくたっていいじゃないか！」となる（白熱する）でしょう。

――あらためて上沼恵美子さんの印象は？

上沼さんはどう思ってらっしゃるのか分からないけど、昔、僕がプロレスの実況をやっていた時、印象的だったのが、大昔のことですけど、若き日の長州力と藤波辰爾が、「名勝負数え唄」って僕が名前を付けてやってた時に、控室で長州力がポツンと言ったことが忘れられなくて。「相手が辰っつぁんだから、思い切って受け身とれないようなバックドロップ、いけるんだよね」って。信頼があるから、ファンをうならせる強烈な大技を出すわけですよ！

だから、上沼さんの土俵だと食らいついてもいいのかなと。遠慮しないで、口を尖らせられるというか、自分で言うのもなんですが、子どもっぽくなれるんですよ。だからすごく楽しい。ちょっとコスプレが入る感じ。しゃべりのコスプレが入っちゃって、普段なら年下の若い人に「そうだよね」って言っちゃって、落ち着きぶりを演技しているのに、上沼さんの前では、年は上沼さんの方が一個下なんだけども、「そんなこと言わなくてもいいじゃない！」って、自分で言うのもなんだけど、駄々っ子になってる。でも上沼さんはそれを受けてくれるから、気持ちいいですよね。

――28年ぶりテレビ共演が実現する伏線としてYouTubeでの共演がありました。

YouTubeまでは、28年間断絶状態でしたから、接点もなかったですし。僕が謝りに行って、「本当に28年前、思いが至らなかった」って正直に謝った。まあ、本人は「まだ許してない」って言ってますけど、一応、第一ラウンドは許してくださった。その時の応酬の快感がちょっと残っているんですよ。だからきょう呼ばれたときに、そういう感じができたのかな、って。そこは楽しかったです。

――そして今回再び共演して、上沼さんの印象は変わりましたか？

基本的にYouTubeの時と一緒でした。油断しているとグサッと来ますし、真剣に勝負となると「違うわ！」って受け止めてくれる。上沼さんと対峙するときに一番ダメなのは油断すること。一瞬の油断も見逃さない人ですから。あの人は。こっちが一生懸命だと受け止めてくれる。

――大変ではないですか…？

無茶苦茶楽しいですよ。だって、一刀両断「おもろないわ〜！」って言われるんですよ！これはやっぱり新鮮です。この年になって。若返ります。アンチエイジングです。上沼さんとのトークはアンチエイジングです。

■「上沼さんの芸の素晴らしい一端は、1人三役ぐらいあるところ」「ピカソのキュピズム」

――「上沼さんにはコンプライアンスを気にせず発言し続けて欲しい」とおっしゃっていました。

あれは本音です。テレビ局の編集判断として使わないところもあるかもしれないが、「とりあえず出す！」それが上沼さんですから。そして上沼さんの良いところは、必ず、3つのカメラで俯瞰（ふかん）で自分を撮っている。毒づいた自分に、また違う自分が何か言う。「どうせ使われへんのや、こんなとこは！」とか。「私はこう見えて良い人なんや！」とか。人間は誰しも多重人格だって言うのをちゃんと出す。上沼さんの芸の素晴らしい一端は、1人三役ぐらいあるところです。

ふつうは面白い人、良くしゃべる人も、一本道です。東京を例にしますが、僕なんかは、山手線としてバーッと走る、しゃべる。でも上沼さんは、山手線の横に、一部、京浜東北線が並走するんです。そして、湘南新宿ラインも並走するんです。1人で三本がバーッと、品川の八ツ山橋あたりでせめぎあっている。東京の話でしたが、これは“上沼脳”じゃないと、あれしゃべれない。良い人になったり、悪い人になったり、中間の人が「まぁまぁ」って。自分が二役やった後、自分で「まぁまぁ」って言いますからね。第三者を立ち上げますから。

ピカソのキュピズムが入っている気がする。ピカソは精密画も書けるし、人為的に脳の仕組みを変えて、あのキュピズムの画もかける。上沼さんはしゃべりながら、こっち行ったり、ゆがんで見せたり、まっとうに言ったり、それをものすごいテンポでやる。1人なのに、ラップを聞いているみたい。対面のフリースタイルダンジョンを聞いているような、そこが上沼さんのすごさだと、28年ぶりのYouTubeやきょうの収録で話してみて、すごいなぁと思いましたね。

命、枯れ果てるまでしゃべってほしい。自分がしゃべってしゃべって死んでいきたいと、つとに思うきょうこの頃、上沼さんにはちゃんと走っていてほしい、上沼さんを見ていたい。そうすると自分も頑張れる。…と勝手にだしにして、「いらんわ、そんなの！」ってまた言われると思うけど（笑）。

――今後さらなる共演や、2人で司会をする可能性は？

これは、もうすべては上沼さん次第。関西の芸道における“あべのハルカス”上沼恵美子次第です。私はどんどん力が低下していますから、私が司会という番組企画は通りませんので、上沼さん次第。上沼さんが嫌でなかったらやりたいし、上沼さんが嫌ならもうしょうがない。ここは完全に受け身でしょう。…と言いながら、こうやってアピールしています。そこは私のいやらしいところ（笑）。

――視聴者へメッセージをお願いします。

古舘が苦手な方にも見てほしいですね。「うるさいわ、あの男！」という方、上沼さんのおかげで違う味が出ているからぜひ見てほしい。そして、上沼さんの、私への対応と、INIの毛穴が引き締まった佐野さんへの対応は、明らかに違う！世の中の縮図かな？この辺の番組内格差も見てもらいたいです（笑）。

■『人生選択バラエティ 上沼恵美子の「もしも夫がゾンビになったら…」』

放送日時：2024年1月4日（木）午後11時59〜深夜0時54分　全国ネットで放送（※一部地域を除く）
MC：上沼恵美子、屋敷裕政（ニューヨーク）
パネラー：古舘伊知郎、津田篤宏（ダイアン）、嶋佐和也（ニューヨーク）、菊地亜美、ゆうちゃみ、佐野雄大（INI）
※放送後 TVer、ytvMyDo!で配信予定