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「紅白歌手を知らないのはダサい」坂口孝則が解説、ビジネス視点で楽しむ紅白【連載】『オリコンエンタメビズ』

 日々話題を集めるエンタメニュースも、経済目線で知ればもっと面白くなる。そこで『ORICON NEWS』は、エンタメをこよなく愛する経営コンサルタント・坂口孝則氏に、エンタメにまつわるニュースを経済視点で解説してもらう連載企画『オリコンエンタメビズ』を開始した。今回は、大みそか恒例の『第74回NHK紅白歌合戦』(後7:20〜11:45 総合ほか)出演アーティストをもとに、アーティストがもたらす経済パワーについて解説してもらった。

経営コンサルタント・坂口孝則氏

経営コンサルタント・坂口孝則氏

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■上場企業の売上高を超えるロックバンドの活躍

 「今年の紅白出演歌手もほとんどわかんねえな」と中年男女がつぶやく光景があちこちで見られる時期がやってきました。NHKの紅白歌合戦は戦後まもなくと比べて人気が落ちたとはいえ視聴率は35%前後(※1)をキープしています。スポーツの世界大会や箱根駅伝とおなじく国民的な番組であるのは間違いありません。紅白出演歌手は、やはりその時点の国民歌手が選定されています。

 私は45歳ですが、2023年に出演予定のアーティストを見る限り、ほぼ聴いたことがあります。私の発言がマウンティングのように感じるとしたら、たぶん、事実は逆です。おそらく「今年の紅白出演歌手もほとんどわかんねえな」とボヤくみなさんも、若い頃に、まったく同じ発言を親御さんから聞いた経験があるはずです。でも、そのとき紅白の出演歌手はおおむね知っていましたよね。

 2023年でいえば、白組はBE:FIRSTJO1SEVENTEEN。紅組はanoNiziULE SSERAFIMが楽しみです。彼ら、彼女らは、「こいつら誰やねん」と言われる対象ではなく、むしろ、どストライクのアーティストらです。

 話を変えるようなのですが、先日、発表された年間のアーティスト別トータルセールス(※2)の金額は驚愕するものでした。アイドルからバンドまでが並んでいるのですが、1位は219億円、10位も49億円あります。私が衝撃を受けたのは、この10位が、私の愛聴しているロックバンドback numberなんですよ。どれだけすごいかわかりますか。現在、日本の上場企業は約4000社あります。新規上場の大半が売上高40億円もありません。

 つまりロックバンドが上場企業の売上高を超えています。企業は、多くの部署があり、無数の社員が努力を重ねています。そしてサプライチェーンを整備しなんとか確立する売上高が40億円なわけです。もちろんスタッフはいるとはいえ、それをback numberが超えているんです。

 私たちが紅白を眺める態度は間違っているかもしれません。つまり、私たちは年末の紅白では楽曲を通じてビジネス上で成功した企業=アーティストを見ているのです。そして、紅白での演奏は、次なるファンを獲得するピッチ=集客作業にほかなりません。

 私は15歳からライブハウスに入り浸って30年がたちました。最初は売れなくてもいい、といっていたバンドは人気がないと、けっきょくは解散します。売れるのは「セルアウト」といって揶揄されますが、そんな単純なものじゃないですよ。成功企業=売れているアーティストの多くは、売れる、かつ自分たちがやりたいものを模索しています。

 だから、成功したビジネスモデル集として紅白を眺めるべきだと、私は思います。「紅白歌手を知らないのはダサい」運動を開始しようと考えています。成長企業を知らないって逆マウントするビジネスパーソンはダサいですからね。紅白が終わっているっていうより、自分が終わっているって感じですね。

 あ、そうそう、今年の紅白は「ボーダレス 超えてつながる大みそか」だそうで、紅白ではじめて見た歌手を調べて聞いたり記事を読んだりしたら面白いですよ。あんなに面白い最近の音楽を若者だけに独占されるのはもったいないですから。

※1ビデオリサーチ「関東地区」より
※2『第56回 オリコン年間ランキング2023』の「アーティスト別セールス部門トータルランキング」

■プロフィール

坂口孝則(さかぐち・たかのり)

1978年生まれ。福岡放送『めんたいワイド』(隔週)、TBSラジオ『日本リアライズpresents 篠田麻里子のGOOD LIFE LAB!』など出演。日本テレビ系『スッキリ』木曜コメンテーターも担当していた。趣味はメタルのライブに行くことで、音楽をこよなく愛する調達・購買コンサルタント、講演家。未来調達研究所株式会社所属。大阪大学経済学部卒業後、電気メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買に従業。現在は、製造業を中心としたコンサルティングを行う。著書は『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『未来の稼ぎ方』『製造業の現場バイヤーが教える 調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買の教科書』など。直近で『買い負ける日本』(幻冬舎刊)を発売した。

■エンタメニュースを“経済視点”で解説【オリコンエンタメビズ】
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