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坂本龍一さん、晩年高まっていた“実験精神” コラボアーティストらが明かす驚異の先進性

 NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)では、今年3月28日に亡くなった音楽家・坂本龍一さん(享年71歳)の功績を展示する展覧会『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』を開催(今月16日から来年3月10日まで)する。15日、メディア向けの内覧会を行った。

ICC『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会より (C)ORICON NewS inc.

ICC『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会より (C)ORICON NewS inc.

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 坂本さんとICCは開館以前の1991年から関係を築いており、開館後も展覧会の企画に連動したコンサートの開催(2005年『ローリー・アンダーソン展』)や、ICC開館10周年と20周年では坂本さんとアーティストグループ「ダムタイプ」の高谷史郎氏による記念企画展が行われるなど、アート表現を通じて共創関係にあった。

 本展覧会では、Perfumeや野村萬斎、研究者らとのコラボレーションでも知られるRhizomatiks(ライゾマティクス)の真鍋大度氏を共同キュレーターに迎え、坂本さんの残した演奏データをもとにした作品や、国内外のアーティストによる坂本さんと関わりのある作品、これまで展開されてきたICCでの展示記録などによって構成し、坂本さんの活動を未来に向けて提示する。

ICC『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会より (C)ORICON NewS inc.

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 真鍋氏は「高谷史郎さんの作品を通じて、坂本さんとコラボレーションする機会を2007年にいただいて、その後2014年に『Sensing Streams』という作品でご一緒しました。 2020年のコロナ禍では坂本さんのオンラインコンサートの演出や、特殊な撮影装置を使ってアーカイブすることをやったのがきっかけに、2019年頃から密に連絡を取っていました」と回顧。

 「一緒にプロジェクトもやっていたので、まだ活用されていない膨大なデータが残っていることも知っていました。例えば演奏データに関して言うと、マイクで録った音だけではなく、MIDI(※電子楽器の演奏データを機器間で転送・共有するための共通規格)のデータもずっと保存されていて。私が関わったものであれば、配信で流れる前の生データですとか、撮影で使ったカメラのデータまですべて残っている」と明かし、今回の展覧会を通じて「こういったものが新しい作品を作るきっかけになっていけばいいなと思って、企画を立ち上げました」と経緯を語った。

『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会に参加したRhizomatiks・真鍋大度氏 (C)ORICON NewS inc.

『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会に参加したRhizomatiks・真鍋大度氏 (C)ORICON NewS inc.

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 そして「特に坂本さんとの会話の中で出てきたアーティストの方に、声をかけた」とし、オファーについて「彼らには『こういうデータがあるので、新しく映像を作るのもいいですし、楽曲をリミックスしてもいい。自由に創作をしてほしい』と依頼をして、作品を作ってもらいました」と明かした。

 ICC主任学芸員の畠中実氏は、「晩年、坂本さんは音楽活動よりもむしろアート活動の方が旺盛でした。音楽観の変化や音楽マーケットに対する思いはもちろん、“実験精神”が旺盛になってきたからこそ、音楽の発表の場がこういうアートの場に移ってきたとも言えるんじゃないかなと思っているんです」と語る。

『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会に参加したICC主任学芸員・畠中実氏 (C)ORICON NewS inc.

『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会に参加したICC主任学芸員・畠中実氏 (C)ORICON NewS inc.

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 そして「ジェネラティブMV(ミュージックビデオ)という、坂本さんがグリーンバックで演奏されている映像素材を使った作品がある。これはテキスト入力をすると、AIがその背景に画像をリアルタイムに合成していくというシステムを使っていて」と紹介し、発展が目覚ましい技術であるがゆえに「完成形ではなく、これからまだ発展していくような形の作品でもあるんです」と伝えた。

 坂本さんは、1990年代初頭の黎明(れいめい)期からインターネットに関心を持ち、インターネットライブを実施するなど、作品へのメディアテクノロジーの導入を積極的に行っていた。1996年にはメディアアーティスト・岩井俊雄氏とのコラボレーション、2000年代以降はカールステン・ニコライ氏、高谷氏、真鍋氏、毛利悠子氏らとのインスタレーション制作などにも取り組み、現代美術/メディアアートの分野でも多くの作品を制作した。

 真鍋氏は、坂本さんが先駆的にインターネットライブを行ったことについて、「まだ今ほどインターネットが発達していなかった時代に、どうしても遅延する音と映像を組み合わせ、作品として成立させた。遅延自体を作品に活かしたり、遅延時間を均一化させることで演奏のタイミングを合わせるといった試みもしていた」とし、畠中氏は「エラーみたいなものを表現に組み込んでいく一方で、それがちゃんと表現になるように、さらに別のテクノロジーを使っていた」と振り返り、「デジタルに限らず、テクノロジーを使っていくアーティストにとって、その考え方は重要な指針になっていると思う」と語った。

 真鍋氏は、ジェネラティブMVに関しても「AIは黎明期ではなく、もう過渡期に突入した」と言い、「AIを使った表現が大きく広まったのは去年頃からだと思いますが、現時点でできるものと、今後できるようになるものは全然変わってくる。今回の展覧会では、今この時点でできる表現は何かということを考えて、作品を作りました」と誇る。

毛利悠子氏『そよぎ またはエコー』(2017年制作/部分展示)=ICC『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会 (C)ORICON NewS inc.

毛利悠子氏『そよぎ またはエコー』(2017年制作/部分展示)=ICC『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会 (C)ORICON NewS inc.

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 続けて、「坂本さんは、その時代ごとの新しいテクノロジーと向き合った上で、ただのツールとして使うだけではなく、そこでの問題提起もされてきた方。僕と坂本さんとの会話の中でも、AIの話はやっぱり出てきていたんです」と回顧。

 「もし坂本さんが生きていたら、たぶんAIを使って作品を作ることだったり、ご自身のデータをどういう風に活用するか…ただ残すだけじゃなくて、どういう新たな表現ができるかということに向き合ったのかなと思うので、そんなことを思いながら、今回の制作作品にもAIを使いました」と語った。

 畠中氏も「今後、今回展示する作品をどういう風に展開させられるかということも含めて、坂本さんの作品やデータがいろいろな形で引き継がれていくようなものにもなっているかなと思います。技術的な展開によっても変わっていくでしょうし、坂本さんの遺志をどういう風に継承できるのかという問いがテーマの1つになっております」と明かす。

 そして「これまで展示してきた作品の再展示ではなく、新作もあります。トリビュート展でありながら、“坂本さんが作ったかもしれない作品”という見方もできるのかなと思っています」と期待を寄せた。

ICC『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会より (C)ORICON NewS inc.

ICC『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』内覧会より (C)ORICON NewS inc.

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 ■『坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア』出品作家一覧
坂本龍一
真鍋大度
Strangeloop Studios
高谷史郎
ダムタイプ
カールステン・ニコライ
404.zero
カイル・マクドナルド
毛利悠子
ライゾマティクス
LEE Ufan

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  1. 1. 坂本龍一さんトリビュート展覧会、あす開幕 「単なる追悼」ではなく「偉業を未来に提示」
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