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Homecomings、“強い曲”を集めた新作で見せる多彩さ「芯があればなにをやっても大丈夫」

 4人組ロックバンド・Homecomingsが2ndアルバム『New Neighbors』をリリースした。2021年5月のメジャーデビューから2年が経とうとする今、バンドは本作で明確な変化を提示している。ORICON NEWSはそんな注目作について話を聞くべく、今回初となるインタビューを実施。楽曲制作の根幹を担う畳野彩加(Vo&Gt)と福富優樹(Gt)に、新アルバムの制作エピソードを語り尽くしてもらった。

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 Homecomingsは、畳野、福富、福田穂那美(Ba&Cho)、石田成美(Dr&Cho)の4人で2012年に結成。インディーズ時代に3枚のアルバムを発表し、2021年5月に『Moving Days』でメジャーデビュー。バンドが新たなフェーズへと移る中、このデビュー作ではさまざまな“変化”のストーリーが描かれていた。

 それから2年。 4人は、“進化”や“覚醒”と言い換えてもいいほどに洗練された今作をどのような思いとこだわりのもとで制作したのだろうか。

■“青写真”を“作品”へ昇華させる才気と成長

――ORICON NEWSとしては今回が初めてのインタビューになります。まずは普段の作曲スタイルから教えていただけますか?

【福富】曲によって全然違うんですが、一番多いのは、僕が曲の“青写真”と歌詞を作り、彩加さんがデモを制作してくれて、その後4人でアレンジを作り込んでいくというパターンです。「全体的なリズムはこういう感じで、Aメロはこういう雰囲気で、サウンドは1980年代をイメージしてほしい」と、参考にした曲のリンクも添えたテキストを渡すんです(笑)。

【畳野】私とトミー(福富)の2人でメロディーや曲全体の構成、フレーズなどをしっかり作ります。その後メンバー全員で音を足したり、別のアイディアを出したりして、最終的に完成版に近い状態まで仕上げていくんです。

【福富】メンバー全員が宅録の環境を整えられたので、今回のアルバムからデモのデータをそのまま本番で使うことも増えてきました。やれることの幅を広げつつ、質も高くなってきた気がします。

【畳野】特に打ち込みのドラムなどは、デモとして作ったLogic(DAWソフト)の音をそのまま使っていることが多いですね。

【福富】ギターも半分くらいはプラグインソフトで録った音で、曲によってはリアンプしたり、ラインの音とリアンプした音を混ぜたりしています。

【畳野】この状態になるまで結構時間がかかりましたけど…だいぶ成長しました(笑)。

【福富】「Mac1台あれば宅録ができる」と気づくまで5年くらい。大学の頃はMTR(マルチトラックレコーダー)で作ろうとしていましたから(笑)。今ではセッションデータでやりとりしたり、それぞれが好きなプラグインを集めたりしているので、段階的に成長していますね。

Homecomings・畳野彩加(Vo&Gt)

Homecomings・畳野彩加(Vo&Gt)

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■新作に向き合う中で生まれた“強い曲”への意識

――今作『New Neighbors』は、いつ頃から制作が進められていたのでしょうか?

【福富】前作『Moving Days』をリリースした頃から、「2022年は季節ごとに1曲ずつ配信で出して、10周年の2023年にアルバムを出しましょう」と話し合っていました。当然ながらその段階では全体のイメージなんてできていなかったですし、いろいろな要素を1曲1曲に傾けて配信曲を作っていった結果、どうやってまとめようか…と(笑)。で、去年の途中くらいから「今回は“強い曲”をどんどん作って、『いろいろな曲が入っているけど全部いい』と思えるアルバムにしよう」と考え始めたんです。

――”強い曲”を作っていくとき、曲調などの面で差別化を図るような意識は?

【福富】なんとなくはありましたけど、それより4人のルーツを凝縮させたアルバムにしたいと思っていました。Homecomingsとしてのルーツはギターポップですが、メンバーそれぞれの好きな音楽をギュッとまとめたような1枚になればいいなって。結果、すごくカラフルなアルバムになったと思います。

――制作中、キーポイントになった曲はありましたか?

【福富】「Shadow Boxer」を作ったとき、「この曲ができるならなんでもできる」と思いました。もともとHomecomingsにとってエモは大事な要素なんですが、配信シングルとして「Shadow Boxer」を出したときに、「ここまで振り切っても受け入れてもらえるんだ」と、「彩加さんの声っていう芯があればなにをやっても大丈夫だ」と思えたんです。

【畳野】私は最後まで全体像みたいなものが見えなかったんです。今回はなるちゃん(石田)とほなちゃん(福田)も曲を書いたので、自分が想像していた以上に可能性が膨らんで、いい意味でどうなるかわからなかったというか。曲が増えるたびにどんどん広がっていくような感覚で、それが自分の中で新しかったです。

畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355

畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355

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■異なる2人のギタリストが生み出す“相互補完”の関係性

――作曲面で新しいトライができたと思う曲は?

【畳野】「Shadow Boxer」を作った後に「ラプス」を作ったんですけど、両方とも変則チューニングなんですね。これは今までやってこなかったアプローチでした。「Shadow Boxer」がオープンDで、「ラプス」がドロップD。私は開放弦の音を使うフレーズが好きなんですが、変則チューニングには開放弦を使ったコード進行も多くて、そこにハマったというか…楽しくなっちゃって(笑)。

【福富】変則チューニングは、彩加さんのスタイルに本当に合っていると思います。彩加さんは理論的にコードを積み立てていくよりも、響きを重視していくタイプなので。チューニングを変えることで、また可能性が無限に広がっていくんじゃないかなと思いました。

【畳野】自分が聴いてきた音楽にも、変則チューニングを使っているアーティストが結構いたんですよね。Snail Mail、Phoebe Bridgers、Owen、American Footballとかもそうなんですけど、エモの人たちの中でも変則チューニングを使っている曲が意外と多くて。

【福富】僕は理論から入りがちなので、僕じゃ考えられないようなフレーズを作ってくる彩加さんをシンプルに尊敬していますね。変な言い方ですが、彩加さんはサポートギターでほかのバンドに参加してみるとか、もっとギタリストとして脚光を浴びてもいいんじゃないかなって思うくらいです(笑)。

【畳野】ハッキリとしたイメージがあるとき、それをちゃんと形にできるのはトミーの方だと思います。私は音楽理論がわからないので、“近道”を選べないんですよ。あと、トミーの作るフレーズにはキャッチーさがあって、そこも私にはできない部分かなと思います。

【福富】だから、2人で1つというか…補い合えているのかなと。「彩加さんの鳴らしたい音は“Maj7th”なのか“Add 9 th”なのか」とか、そういうのを整理するのは僕の役割だったりします。

【畳野】同じコードを違うポジションで弾いたりもしていて、制作でもライブでも、そういう組み合わせ方は常に意識しています。

Homecomings・福富優樹(Gt)

Homecomings・福富優樹(Gt)

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■試行錯誤の中でたどり着いた“理想のギターサウンド”

――Homecomingsのギターは、空間的な広がりを持った音作りも特徴ですよね。そういったコーラス感はプラグインエフェクトで作り上げるのですか?

【福富】コーラスに関してはペダルで作っていることが多いです。ライブでも使っているJHSのEmperorを設定値の違いで何台か用意しつつ、少し違うノリにしたいときにはリバーブのピッチをイジってモジュレーションっぽくしたり…。そんなふうに感覚で作ることが多いので、使い慣れている機材じゃないと難しいんです。

――ベーシックの歪みなどはプラグインで作り込む形なのですか?

【福富】「US / アス」の音色は完全にプラグインです。GUITAR RIG(Komplete製プラグインソフト)で作ったクリーンにValhallaというスプリングリバーブをかけているんですが、アメリカのエモラップの人たちがよくそういう作り方をしているので、参考にしました。

――非常に深く歪ませていますが、アンサンブルの中で埋もれていないことに驚きました。

【福富】実はこれ、僕がずっと出したかった音像なんです。歪みすぎていないのに、すごく歪んでいるように聴こえる音というか。歪みを深くすることで音を前に出そうとすると、結局ノーマライズされて埋もれてしまうじゃないですか。でも、「US / アス」ではトラックを積み上げることで歪んでいるように聴かせていて。リバーブを「ちょっとやりすぎかな?」って思うくらいにかけて積んでいくと、ポップパンクっぽい歪み方になるんです。僕の中ではこれが結構な発明で、今作の肝にもなっています。

――「Shadow Boxer」や「euphoria / ユーフォリア」など、今作は歪みの質感の違いでも楽しめますね。

【福富】「Shadow Boxer」は、まだプラグインをしっかり使い始める前だったので、チューニングが呼んでいる部分もあるのかもしれません。逆に、「euphoria / ユーフォリア」のガチャッとした歪みはプラグインを中心にしています。ただ「US / アス」とは違って、実際にアンプを鳴らしたトラックと、それぞれ歪み具合の違うライン録りのトラックを計4本くらい重ねて、1トラックに聴こえるようにしているんです。これもかなりこだわりました。

――ドラムの音も、打ち込みのように聴こえる場面とオールディーズなサウンドが行き来していますね。

【福富】今回はあらゆる面で、“混ぜること”がカギになった気がします。ドラムもトリガーをかませた音を混ぜたりもしつつ、それで1曲全編を通すわけでもなかったり。…なので、「ライブではどうしようかな」って頭を抱えている部分でもあります(笑)。

福富の現メインギター・2006年製Fender Japan JM66

福富の現メインギター・2006年製Fender Japan JM66

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■徹底的に作り込んだ楽曲を表現するためのライブ機材

――現在ライブで使用しているギターは?

【畳野】私の今のメインは、GibsonのES-355です。ライブでバッキングを弾いても前に出てくるので、トミーとの差別化が図れて気に入っていますね。

畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355

畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355

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――いつ頃から使用し始めたんですか?

【畳野】2021年から使っています。バンドを始めた頃はSquierのJagmasterを使っていて、そこからEpiphoneのCasinoへ行き、京都に住んでいるときにGibsonのSGを買いました。このSGをしばらくライブのメインにしていたんですが、レコーディングだと登場する場面が少なくて…。で、作品とライブでギターの音を合わせたいなと考えていたときに、ES-355と出会いました。本当に大好きな音ですね。

畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355

畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355

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――福富さんは?

【福富】ここ2年くらいはずっと1971年製のFender Mustangを使っていたんですが、最近はFender JapanのJM66に変わりつつあります。

福富の現メインギター・2006年製Fender Japan JM66

福富の現メインギター・2006年製Fender Japan JM66

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――それはなぜでしょう?

【福富】もともとはオープンDチューニングの「Shadow Boxer」を演奏するときに、チューニング違いのギターとしてJMスタイルを用意したんです。大学の入学祝いで買ってもらったギターなんですけど、しばらく実家で放置していた間に育っていたようで、音もいいし、すごく弾きやすいんですよ。なので、最近どんどんメインになってきています。

福富のライブ用ギター・1970年代製Fender Mustang

福富のライブ用ギター・1970年代製Fender Mustang

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――では最後に、4月22日からスタートする全国ツアー『Your Friendly Neighborhood Homecomings』への意気込みをお願いします。

【福富】今回の作品は“ライブ映えするアルバム”だなと思っているんですが、僕らは今まで「家で聴いて楽しんでもらうもの」としてアルバムを作ることが多かったので、ライブ映えするという時点で新機軸なんです。打ち込みっぽいものが入っているけど、それもライブで採り入れたいなと考えているので、新しいHomecomingsが見せられるんじゃないかと思っています。

【畳野】新しい曲と懐かしい曲の組み合わせで、また面白いものが見せられるような気がしています。私たち自身もどんなふうになるのか楽しみにしていますし、お客さんもその辺りも期待しながら来ていただけたらと思います。

■メジャー2ndアルバム『New Neighbors』収録曲
▼CD(初回盤・通常盤共通)
01. ラプス
02. US/アス
03. ヘルツ
04. 光の庭と魚の夢
05. アルペジオ
06. i care
07. Shadow Boxer
08. Drowse
09. ribbons
10. まばたき
11. euphoria/ユーフォリア
12. Elephant

▼Blu-ray(初回盤のみ)
『Live at Shibuya Club Quattro ”US/アス“ December 25, 2022』
01. euphoria / ユーフォリア
02. Here
03. Shadow Boxer
04. Blue Hour
05. HURTS
06. Cakes
07. LIGHTS
08. Songbirds
09. i care

■全国ツアー『Your Friendly Neighborhood Homecomings』日程
4月22日(土) 大阪・十三GABU
4月23日(日) 名古屋・今池CLUB UPSET
4月28日(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
6月10日(土) 宮城・仙台enn 2nd
6月11日(日) 北海道・札幌SPiCE
6月15日(木) 福岡・福岡The Voodoo Lounge
6月17日(土) 石川・金沢GOLD CREEK
6月18日(日) 京都・京都MUSE

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関連写真

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  • Homecomings・畳野彩加(Vo&Gt)
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  • 畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355
  • 畳野のメインギター・2007年製Gibson ES-355
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  • 福富の現メインギター・2006年製Fender Japan JM66
  • 福富の現メインギター・2006年製Fender Japan JM66
  • 福富の現メインギター・2006年製Fender Japan JM66
  • 福富のライブ用ギター・1970年代製Fender Mustang
  • 福富のライブ用ギター・1970年代製Fender Mustang
  • 福富のライブ用ギター・1970年代製Fender Mustang

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