前作アルバム『TOUGH PLAY』(2022年3月30日発売)をリリースしてからの1年間、6人は「ファジーサマー」「一筋差す」「Heat」という3作の配信シングルを発表しながら、全国各地でコンスタントなライブ活動を展開し続けた。そんな中で制作された今作には、はたしてどのような思いやアプローチが注ぎ込まれたのだろうか? 今回は熊木幸丸(Vo)、松崎浩二(Gt)、山浦聖司(Ba)の3人を直撃し、アルバムの制作過程や今後のライブに向けたアレンジなどについて深く語ってもらった。
■「悲しい感情も含めてダンスに変えていける」――ダンスミュージックに見出したもう1つの魅力
――1年前に前作『TOUGH PLAY』をリリースした後、3〜4ヶ月スパンで3枚の配信シングルをリリースする中で、新作の構想はどのように練っていったのでしょうか?
【熊木】『TOUGH PLAY』の制作を終えたとき、次に自分のやりたいことや『TOUGH PLAY』で見せられなかったモードは何だろうと考えたんです。その頃にウクライナとロシアの戦争が始まり、僕自身も結婚したり…と、自分の中で「変化」というものがすごく身近になって。あと、フェスが戻ってきたことも2021年と2022年との大きな違いで、そうしたいろいろな変化に対する用意が自分の中でまだできていないというか…変化に対するアティチュードをきちんと持てていない気がしたんです。そこで「変化」について歌おうと思って作ったのが「ファジーサマー」でした。それまでの活動で、僕らの「楽しく踊れる」という面は押し出せたと思っていたのですが、自分が考えるダンスミュージックの魅力って、悲しい感情も含めてダンスに変えていけることなんです。そこをまだ伝え切れていないと感じて、そういうアルバムを作れたらと、徐々にフォーカスが絞られていきました。
――松崎さんと山浦さんは、ここ数年でどのような「変化」を感じていましたか?
【松崎】2020年にコロナ禍になって、バンド自体の変化にプラスして世の中も大きく変化しましたし、自分自身も友人と始めた古着屋の店長になったりと変化の連続で。その中には、がっかりするような変化もポジティブな変化もあり、そうした変化に対する恐れや弱さに寄り添える、気持ちを支えられるアルバムを作れたらと思っていました。
【山浦】僕も去年結婚をして、個人的にもっとしっかりしなきゃと改めて思いましたし、バンドとしてはライブのときに「一筋差す」でパーカッションを叩くようにもなって。もともとはエレキベースしか演奏していなかったんですけど、このバンドでシンセベースを弾くようになって、今度はパーカッション…と、年々やる楽器が増えているんです(笑)。
――そうした「変化」を、日本の四季をモチーフに言葉と音楽で表現したのという点が、とてもユニークかつアート的なアイディアですね。
【熊木】「一筋差す」を制作した頃に、季節の曲が多いなと思ったんです。そのとき、日本人が一番感じやすく、みんなが当たり前に乗りこなしている「変化」が季節だと感じたんですね。だから、「変化というものは四季のように乗りこなしていけるものなんだ」と伝えられるようなアルバムにしようと、全体を組み立てていきました。ただ、季節がテーマと言っても、「四季のアルバム」ではなく、「人生の変化」を歌いたかったので、各曲が持つメッセージやコンセプトがきちんと伝わるように、1曲の中だけでなく曲同士を行ったり来たりしながら、歌詞やサウンドのバランスを取りながら完成させたという感覚でしたね。
――制作自体は今まで通りのスタイルで?
【熊木】はい。僕が基本的にプロダクションのすべてを行って、ライブのアレンジをメンバーに考えてもらうという形です。
――松崎さんと山浦さんは、新曲を聴いてどんな印象を受けましたか?
【山浦】僕は「またね」を聴いて泣いてしまったんです。歌の入りのメロディーがすごくよくて、展開もすごくあり、その日は1日中「またね」を聴いていました。
【熊木】この曲は「TB-303(ローランド製ベースマシン)のベースラインでディスコを作る」という何となくのイメージでセッションしながら、ハウスミュージック的なハッピー感のあるディスコに仕上げました。しかも、この曲が持つ未来へのさまざまな方向性を踏まえて、ジェットコースター的に曲が展開していくのが面白いんじゃないか…と考えて。
【松崎】僕は「山粧う」(よそおう)が今までの曲の中でもすごく好きで。特に歌詞の<凪から抜けて風に乗る!>という一文とかはとても切ないけど、寂しさだけじゃなく心の芯の部分で温かさも感じられるので、そのバランスがすごく好きなんですよ。
――「山粧う」は、歌の面でも熊木さんの新境地なのではと感じました。
【熊木】アルバム全体で、言葉と曲のコンセプト、グルーヴを考えながら歌いました。今までも考えてはいたんですけど、ようやくその技術が身についたというか。例えば、美しさをちゃんと美しい声で表現できるようになったんです。特に「山装う」は制作の終盤に作ったので、透き通ったクリアな質感と、この曲に必要なムードや色気、そして寂しさをきちんと表現できた感覚があり、ちょっとうれしくなりました。
――加えて、アルバム全体で日本語をとても大事にしている点が印象的でした。
【熊木】日本語って、シンプルな文字数の中に、例えば匂いのようなものが詰まっている言葉が多いんです。「辻」や「越冬」とか、季語の「山粧う」もそう。こういう美しさや、言葉の意味とリズムをいかにグルーヴィーな音楽と共存させられるかという点を大事に考えました。すると、サウンド面では削っていく作業が増えたんです。「Heat」や「咲まう」では、音数や展開がシンプルな中で、サウンドからきちんと寒さだったり躍動感が伝わるようにデザインをして、その精度を以前よりも高められたと思っています。本当にすべての音に対して「この音でいいのか?」と考え続けました。そこは今回、挑戦した部分でしたね。
■音楽的挑戦をアンサンブルに変換 松崎と山浦が考えるライブアレンジの構想
――ライブアレンジについては、現状どのような構想を練っているのですか?
【山浦】僕は「Heat」の後半にパーカッションを入れてみたいなと考えています。一方、「咲まう」はライブでどんな感じになるのか、自分でも楽しみにしているところです。
【熊木】このスローさをライブできちんと表現するというのは、僕らにとっても新しいゾーンかもしれない。こういう曲で踊れるベースを弾いてもらえるとうれいしいなぁと、僕は思っています(笑)。
――その“踊れるグルーヴ”を奏でる山浦さんの楽器についても教えてください。
【山浦】メインはフェンダーカスタムショップのジャズベースで、1960年代初期モデルのリイシュー版です。2020年に大阪のイベントに出演した際、翌日に大阪の楽器店で買いました。
「何人かのオーナーに愛用され、大切にされた楽器」をコンセプトにした“ジャーニーマン(=旅人)レリック”が特徴の、山浦のFender Custom Shop 1964 Jazz Bass Journeyman Relic (C)ORICON NewS inc.
アルダーボディー+メイプルネック+ローズウッド指板といった王道的な仕様をまとう、山浦のFender Custom Shop 1964 Jazz Bass Journeyman Relic (C)ORICON NewS inc.
PUはローの締まり具合と粒立ちの良さが魅力のHand Wound Vintage Style Jazz Bass=山浦・Fender Custom Shop 1964 Jazz Bass Journeyman Relic (C)ORICON NewS inc.
【松崎】僕はずっと変わらず(ギブソン製)レスポールスタンダード。最初に買ったギターで、20歳のときからずっと使い続けています。ストラップをガムテープで止めているのは、完全にパンクスの影響。よりオーバーグラウンドで、これをやりたいと思っているんですけどね(笑)。すごく重いんですけど、年々音がよくなっている感覚があって。
メイプルトップ+マホガニーバックのボディーやミディアムスケールのメイプルネックを持つ、松崎のGibson Les Paul Standard 2001 (C)ORICON NewS inc.
【松崎】「咲まう」の最後に出てくるリードギターは心が洗われるようなフレーズなので、ライブではそのサウンドを活かしてそこをしっかりと出したいですね。
【熊木】次のツアーから、今まで以上にシーケンシャルなフレーズはシーケンサーに任せようと思っていて。
【松崎】そうなるとメンバーの(演奏の)自由度も上がるので、もっと表現の幅を広げられる気がしていますし、大瀧(真央/Syn)も新しくサンプラーパッドを導入して、音楽的にも視覚的にも、今まで以上に面白いライブができそうだなと思っています。
■「ダンスミュージックの解放感とカタルシスを味わって」 進化した楽曲とサウンドで臨む次なるツアー
――5月末から始まるツアー『Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “Kimochy Season”』がとても楽しみになりました。ぜひツアーへの意気込みも聞かせてください。
【山浦】僕自身は、これまでエレキベース、シンセベースときたので、次のツアーではパーカッションでも攻めていきたいと思っています。
【熊木】エレキベースでも攻めてくださーい(笑)。
【松崎】ベースをないがしろにしないでくださーい(笑)。
【山浦】いやいや(笑)、もちろんベースを土台にしながら、ラミちゃん(Perc)、昌輝(柴田/Dr)とパーカッションでもいろいろなグルーヴを表現したいと思っています。
【松崎】僕はとにかくブチアゲたいという気持ちです。お客さんに「最高にヤベぇ1日だった!」と思って帰ってもらいたいですし、そのために自分自身がエキサイトできるようにすべての面で頑張ります!
【熊木】2022年はたくさんライブをやらせていただいて、ダンスミュージックの楽しい面は伝えられたと思いつつ、今年はそれと「泣いて踊れる」という部分をライブという場所で接続させ、お客さんにダンスミュージックの解放感とカタルシスを味わってもらいたい。そこに挑戦したいと思っていますし、実現できるんじゃないかという期待でワクワクしています。そのためにもメンバーと一緒にカッコいい強固なグルーヴを作っていくので、ぜひツアーを楽しみにしていてください。
■全国ツアー『Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “Kimochy Season”』日程
5月28日(日) 石川・金沢EIGHT HALL
6月3日(土) 北海道・札幌FACTORY HALL
6月10日(土) 大阪・Zepp Namba
6月11日(日) 愛知・Zepp Nagoya
6月17日(土) 宮城・仙台PIT
6月24日(土) 広島・広島CLUB QUATTRO
6月25日(日) 福岡・Zepp Fukuoka
7月1日(土) 東京・豊洲PIT
7月2日(日) 東京・豊洲PIT
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
??New Album「Kimochy Season」??
— Lucky Kilimanjaro (@Lucky_klmnjr) April 4, 2023
本日ついに #KimochySeason が発売!
各種音楽配信サービスでも配信開始?
?Apple Musichttps://t.co/8zIu8yJuRH
?Spotifyhttps://t.co/Bo9OKz3kJK
?LINE MUSIChttps://t.co/J614RHc068
?iTuneshttps://t.co/uPl19V6PXl pic.twitter.com/qFsuXMzqno



