怒りから生まれた“毒”を貫き通し、ウエストランドが阿佐ヶ谷の歓喜をもたらした。18日放送のABC・テレビ朝日系漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2022』決勝で、ウエストランドが史上最多となる7261組の頂点に立った。審査員を務めた松本人志は「窮屈な時代なんですけど、キャラクターとテクニックさえあれば、こんな毒舌漫才も受け入れられるっていう、夢がありましたよね。おめでとう」と語るほど、その場の空気を一変させる力を持っていた。
2008年に結成されたウエストランドは、今年で14年目。ツッコミの井口浩之が毒舌で畳みかけ、ボケの河本太がボソボソと合いの手を入れていくしゃべくり漫才を武器に、『M-1』では2020年に初ファイナリストとなった。
今回の舞台で披露した「あるなしクイズ」に乗せて、井口の“主張”が矢継ぎ早に展開されるネタは、所属事務所のタイタンが2ヶ月に一度行う『タイタンライブ』でも披露していた。その時にも、井口がヒートアップしていく毎に笑いの量も増えていき、井口が執ようにひとつのフレーズをぶつけていく場面では、観客はもちろん、となりにいる河本も吹き出し笑いをしてしまうほどだった。
舞台でもしっかり磨き上げてきたネタで、再び『M-1』ファイナリストになって戻ってきた。1組、2組と呼ばれていく中、じっと順番を待っていた2人だったが、気づけば同じ事務所のキュウとの2組だけが残った。そして、前回同様にトリを務めることになったが、最後にもうひとつ“爆発力のあるネタ”を欲している雰囲気に、井口の叫びがズバリとハマった。
3番手につけ、見事にファイナルラウンドへと進出。審査員の評価も総じて高く、立川志らくが「今の時代は人を傷つけちゃいけないという(風潮だが)あなたがたがスターになってくれたら時代が変わる。そういう毒があるのが面白いので、これが王道になってほしい」、塙宣之は「きょうの中で一番あっという間に4分が終わった感じがしました」、中川家・礼二も「めちゃくちゃ面白かったです。文句系っていうのは劇場ではよく言ったりするんですけど、今回あるなしというテーマに沿って、すごく聞きやすかったです」との賛辞を寄せた。
ファイナルラウンドでは、従来は不利とされており、2017年の王者・とろサーモン以外には例がないトップバッターだったが、これも功を奏した。1回つかんだ空気を後押しにして、再び「あるなしゲーム」で、井口の叫びが轟いた。『M-1』自体をもネタにする、タブーなしの毒に会場は魅了され、その様子をモニター越しに見ている記者席の空気も変わったように感じた。太田光が授けていた「とにかく(会場の)お客さんとテレビ見ているお客さんを笑わせることに集中しろ」という言葉を見事に実行し、7票中6票を獲得して優勝へと駆け上がった。
前回大会では「漫才は、いいことがなかった人間の復讐劇」との名言を残していた井口だったが、今回も優勝直後に「自分の人生なんですけど、初めて主役になれた気がした」と“哲学的”なフレーズを放っていた。その後の会見では「優勝したことでの変化あるか?」との質問に、井口はきっぱり答えていた。「ないですね。優勝したとて嫌なことは尽きないと思いますし、事務所の先輩の爆笑問題さんがずっと2ヶ月に1回、新ネタをやり続けているので、やるしかないですよね。タイタンライブぜひ見に来てほしいです」。
見ている側をも突き刺しに行く井口の強さ、それをひょうひょうと受けながら進めていく河本との対比も光るウエストランド流が、漫才日本一の称号をもぎ取った。関係者によると、優勝直後からマネージャーの電話が鳴り止まない状況のようで、まさにここから“主役”の日々が始まっていく。
■M-1グランプリ 優勝者一覧【参加組数】
2001年度 中川家【1603】
2002年度 ますだおかだ【1756】
2003年度 フットボールアワー【1906】
2004年度 アンタッチャブル【2617】
2005年度 ブラックマヨネーズ【3378】
2006年度 チュートリアル【3922】
2007年度 サンドウィッチマン【4239】
2008年度 NON STYLE【4489】
2009年度 パンクブーブー【4629】
2010年度 笑い飯【4835】
2015年度 トレンディエンジェル【3472】
2016年度 銀シャリ【3503】
2017年度 とろサーモン【4094】
2018年度 霜降り明星【4640】
2019年度 ミルクボーイ【5040】
2020年度 マヂカルラブリー【5081】
2021年度 錦鯉【6017】
2022年度 ウエストランド【7261】
2008年に結成されたウエストランドは、今年で14年目。ツッコミの井口浩之が毒舌で畳みかけ、ボケの河本太がボソボソと合いの手を入れていくしゃべくり漫才を武器に、『M-1』では2020年に初ファイナリストとなった。
今回の舞台で披露した「あるなしクイズ」に乗せて、井口の“主張”が矢継ぎ早に展開されるネタは、所属事務所のタイタンが2ヶ月に一度行う『タイタンライブ』でも披露していた。その時にも、井口がヒートアップしていく毎に笑いの量も増えていき、井口が執ようにひとつのフレーズをぶつけていく場面では、観客はもちろん、となりにいる河本も吹き出し笑いをしてしまうほどだった。
舞台でもしっかり磨き上げてきたネタで、再び『M-1』ファイナリストになって戻ってきた。1組、2組と呼ばれていく中、じっと順番を待っていた2人だったが、気づけば同じ事務所のキュウとの2組だけが残った。そして、前回同様にトリを務めることになったが、最後にもうひとつ“爆発力のあるネタ”を欲している雰囲気に、井口の叫びがズバリとハマった。
3番手につけ、見事にファイナルラウンドへと進出。審査員の評価も総じて高く、立川志らくが「今の時代は人を傷つけちゃいけないという(風潮だが)あなたがたがスターになってくれたら時代が変わる。そういう毒があるのが面白いので、これが王道になってほしい」、塙宣之は「きょうの中で一番あっという間に4分が終わった感じがしました」、中川家・礼二も「めちゃくちゃ面白かったです。文句系っていうのは劇場ではよく言ったりするんですけど、今回あるなしというテーマに沿って、すごく聞きやすかったです」との賛辞を寄せた。
ファイナルラウンドでは、従来は不利とされており、2017年の王者・とろサーモン以外には例がないトップバッターだったが、これも功を奏した。1回つかんだ空気を後押しにして、再び「あるなしゲーム」で、井口の叫びが轟いた。『M-1』自体をもネタにする、タブーなしの毒に会場は魅了され、その様子をモニター越しに見ている記者席の空気も変わったように感じた。太田光が授けていた「とにかく(会場の)お客さんとテレビ見ているお客さんを笑わせることに集中しろ」という言葉を見事に実行し、7票中6票を獲得して優勝へと駆け上がった。
前回大会では「漫才は、いいことがなかった人間の復讐劇」との名言を残していた井口だったが、今回も優勝直後に「自分の人生なんですけど、初めて主役になれた気がした」と“哲学的”なフレーズを放っていた。その後の会見では「優勝したことでの変化あるか?」との質問に、井口はきっぱり答えていた。「ないですね。優勝したとて嫌なことは尽きないと思いますし、事務所の先輩の爆笑問題さんがずっと2ヶ月に1回、新ネタをやり続けているので、やるしかないですよね。タイタンライブぜひ見に来てほしいです」。
見ている側をも突き刺しに行く井口の強さ、それをひょうひょうと受けながら進めていく河本との対比も光るウエストランド流が、漫才日本一の称号をもぎ取った。関係者によると、優勝直後からマネージャーの電話が鳴り止まない状況のようで、まさにここから“主役”の日々が始まっていく。
■M-1グランプリ 優勝者一覧【参加組数】
2001年度 中川家【1603】
2002年度 ますだおかだ【1756】
2003年度 フットボールアワー【1906】
2004年度 アンタッチャブル【2617】
2005年度 ブラックマヨネーズ【3378】
2006年度 チュートリアル【3922】
2007年度 サンドウィッチマン【4239】
2008年度 NON STYLE【4489】
2009年度 パンクブーブー【4629】
2010年度 笑い飯【4835】
2015年度 トレンディエンジェル【3472】
2016年度 銀シャリ【3503】
2017年度 とろサーモン【4094】
2018年度 霜降り明星【4640】
2019年度 ミルクボーイ【5040】
2020年度 マヂカルラブリー【5081】
2021年度 錦鯉【6017】
2022年度 ウエストランド【7261】
このニュースの流れをチェック
コメントする・見る
2022/12/19