人気グループ・ジャニーズWESTの神山智洋が主演し、12月8日から26日まで東京・PARCO劇場で上演される舞台パルコ・プロデュース2022『幽霊はここにいる』全キャストとメインビジュアルが20日、公開された。

　芥川賞をはじめ数多くの賞を受賞し、劇作家としても多数の作品を発表した昭和を代表する作家・安部公房。当時、西武劇場という名称だったPARCO劇場で1973年のオープニング記念公演『愛の眼鏡は色ガラス』をはじめ、数多く上演されてきた安部作品を、43年ぶりに同所で上演する。

　『幽霊はここにいる』は1958年に千田是也氏演出、田中邦衛さん主演で、俳優座劇場で初演、同年度岸田演劇賞を受賞し、翻訳版がヨーロッパなど世界各国でも上演された傑作戯曲。「前衛的」「不条理」「超現実的」といった言葉で表現される安部公房らしいナンセンスに満ち、コーラスなど音楽的要素も効果的に取り入れたエンターテインメント要素の強い喜劇的作品となっている。神山と同じく、同所初登場となる演出家・稲葉賀恵氏が手がける。

　いつも幽霊を連れている不思議な主人公・深川啓介（神山）が出会う怪しげな元詐欺師・大庭三吉役は八嶋智人、深川の幽霊話を信じようとしない新聞記者・箱山義一役は木村了、三吉の娘・大庭ミサコ役は秋田汐梨、三吉の妻・大庭トシエ役は田村たがめ。このほか、堀部圭亮、真那胡敬二、福本伸一、伊達暁、まりゑといった面々が、シュールでナンセンス、だけどどこか夢夢しい、不思議な物語を届ける。

　さらに「死人の写真高価買います」という作品の世界観を映したメインビジュアルも解禁となった。神山をはじめとするキャスト陣の顔が、「死者」と「生者」のカーニバルのように黒い人影の中に浮かびあがり、人間のようにも幽霊のようにも見えるおぼろげな姿や、人間が持つ多面性を表現している。

　「死」がかつてない身近さと、実感のなさを伴うようになった現代で、人は「死」とどうやって向き合い生き続けていくのか。実体の見えないものでさえ商品になり得るいま、この現代にも通じる物語となっている。