クズ芸人と呼ばれることも多い、岡野陽一とザ・マミィの酒井貴士だが、7月6日放送TBS系バラエティー『水曜日のダウンタウン』における「説教中の『帰れ!』額面通り受け取るわけにはいかない説　第2弾」では、熱い師弟関係を見せ、お茶の間に感動を与えた。世間が胸を打たれた絆をひも解くべく、改めて二人にじっくりと語り合ってもらった。“本音の対談”で明かされる、二人のリアルな関係性とは。

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■初めて酒井を見た岡野「私じゃん」

──先日の『水曜日のダウンタウン』感動しました。

岡野　珍しく好感度が上がりましたね。

酒井　あれを観て好きになってくれた人が、ラジオとか聴いて幻滅するパターンが多くて、今ちょっと困っちゃってます（笑）。

岡野　ああいう人じゃないもんね、本当は。

酒井　本来は本当にクソなので。クソとクソが合わさって出来た大きなクソって、キレイに思えるんですよ。

──お二人の師弟関係は、ビジネスではなく本物なんだなと思いました。

酒井　いやぁ、ビジネスだったら付き合わないでしょ！だって、お金にならないですから！

岡野　こっちのセリフですよ（笑）。

酒井　僕は本当に、岡野さんが好きで人力舎を選びましたから。素人時代に、巨匠（※岡野の元コンビ）さんを小さい劇場で観ていたんですよ。そのとき、「パチンコ玉を競馬新聞でくるんで、それに焼酎をぶっかけておじさんを作る」っていう、僕の好きなものだけで笑いをとる人がいて、この人カッコいいと思って！そのとき、人力舎に入ろうって決めました。

──お二人のファーストコンタクトは？

岡野　噂には聞いていたんですよ。「人力舎に“私”が入ってきた」って。

酒井　今よりももっと、見た目が似ていたんですよね。

岡野　小さい僕みたいなのが人力舎にいるのはわかっていたけど、それが酒井って認識してなくて。それで、劇場の喫煙所でタバコ吸っていたら“完全に私”が入ってきて、「ああ、私ですね」って声かけたのが最初ですね。

酒井　喫煙所のドアを開けたら、腰が曲がった人間がいて。僕も腰が曲がっていたので、ちょうど同じ目線の人間がいました。

岡野　我々、普段あんまり人と目が合わないので。

──憧れの岡野さんとのご対面、緊張しましたか？

酒井　緊張を通り越してうれしかったです。第一声で「私じゃん」って言われて、それでぎゅっと距離が近づいた感じがして！

岡野　近づいてないです。別に俺は、普通に言っただけで。

酒井　後輩からしたらうれしいですよ！そこから、会うたびに「飲みに連れてってください」って言っていました。初めて二人で飲んだ夜がすげえ楽しくて最高でした。お笑い初心者の僕に、お笑いの世界をちょっと教えてくれたりもして。

岡野　私、そんなん言いました？

酒井　あの先輩とは関わるなとか（笑）。

岡野　なるほどね（笑）。「あの先輩は一見いい人そうだけど、飲みに行っても時間がもったいないだけだから、パチンコやっていたほうがよっぽどいいよ」とかね。

酒井　本当はネタのこととかも教えてくれるかなと思ったんですよ。でも、金の借り方とかしか教えてくれないですね。

■タール12ミリのタバコはお得

──お二人の共通の趣味を改めて整理させてください。まずはギャンブル……。

岡野　パチンコもですし、基本、走ってくださるものは二人とも全部目で追っています。

──そして、お酒、タバコ……。

岡野　僕はマルボロゴールドです。

酒井　僕は貧乏性だから、けっこう安めに出してくれている赤LARKのロングを。マルボロは、年収1000万以上の人が吸うタバコですからね。タール12ミリを吸っているんですけど、12ミリってことはタールがいっぱい入っているので、お得なんですよ。だから、絶対ロングがいいと思うんですよね。

──他に共通の趣味はありますか？

岡野　いやぁ〜、ないよねぇ？　好きなミュージシャンがいたりしたらあれですけど、僕、借金してから音楽を聴かなくなったので。

酒井　なんでですか？

岡野　やっぱり音楽って、心にゆとりがある人のものだから。昔は聴いていたんですけどねぇ。今はイヤホンってやつも持ってないです。 だから最近、みんなが付けている孤立したやつ（※AirPodsのこと）も、まったく意味がわかんないです。

酒井　イヤホンって便利ですよ。僕はヒップホップをけっこう聴くんで。

岡野　えぇ〜、ショック。

酒井　借金ある人の歌とかもあるんですよ。どうしようもない俺だけど〜みたいな歌詞は、重なるからけっこう胸打たれますよ。あとは、旅行とかも行きたいですけどねぇ。

岡野　酒井は今、馬車馬のように働く時期なんでスケジュールが合わないですね。私はアメリカとかの文化が好きで、老後みたいな生活をずっとやっているんですけど……。働かないということが人生の豊かさだと思っているので。

酒井　人力舎のライブ『夏ネーター2022』に出るのはどうなんですか？

岡野　いやいや、これは別に仕事とかじゃなくて、楽しいやつじゃん。

■岡野が酒井にお笑いを教えなかった代償「ピヨピヨ」

──岡野さん、ザ・マミィさんが出演される『夏ネーター2022』は、ラインナップが本当に豪華ですよね。

酒井　ぶっちゃけた話、一時期、人力舎に嫌な空気が流れていたんですよ。人力舎からなかなか売れっ子が出ないことを、他事務所の先輩にイジられたりして、すごく腹立たしかったんです。こんなに面白い人いっぱいいるのに！って。

岡野　確かに、ここ最近はザ・マミィもだし、真空ジェシカ、吉住も出てきましたけど、ラバーガールさん以降は「養成所閉鎖していたのかな？」ってぐらい、売れっ子が出てない時期があったんですよね。僕、40歳近いのにしばらく第7世代って言われていたんですよ。

酒井　岡野さんが、人力舎の若手の先頭を歩いている時期がありましたよね、絶対真ん中歩く人じゃないのに！

岡野　いいじゃないかよ（笑）。

酒井　でも今、息吹が吹いている、活気が吹いている……追い風が吹いている感じがします！そんなこと、僕が語るのは変なんですけどね……ピヨピヨ！（※酒井の持ちギャグ）

岡野　うわぁ……。僕、本当にピヨピヨをやめさせたいんですよ。一回ライブでやっているのを見たとき、本当に不快だったので無視したんです。でも、これをプライベートで二人で飲んでるときもやるようになったんですよ。何が目的かわかんなくて聞いたら、これをやると女の子にモテるらしいんですよね。最新の情報ですけど、ちょうど二日前ぐらいに酒井のLINEのアイコンが、ピヨピヨポーズしている写真に変わったんですよ。これでやっていこうと思っているんでしょうね……。

酒井　はい、酒井ピヨピヨくんになります！でも、（三四郎）小宮さんにはやり続けたほうがいいって言われましたよ？

岡野　小宮さんが言うなら続けたほうがいいわ（笑）。このピヨピヨが跳ねるときがあるのが、お笑いの世界ですからね。

酒井　ポップアップ……じゃない、ピックアップされるときもあるんですよ。あと、「美味ぁ！」と「大好き！」ってギャグもあるんですよ。……岡野さんが僕にお笑いを教えてくれなかったからこうなったんですよ！おかしくなっちゃった！

岡野　それは人力舎の養成所に言えよ（笑）。俺、来年から養成所生に「ピヨピヨ」「美味ぁ！」「大好き！」はやめてくれって言っとくわ。

■下の人間だと思い合うWIN-WINの飲み会

──岡野さんは、なぜ酒井さんと一緒にいるようになったんですか？

酒井　おぉ〜、聞きたぁい！

岡野　僕はクズ芸人って言われることが何のストレスでもないし、生きていらっしゃる方はみんな僕より上の存在だと思ってリスペクトしているんですけど、深層心理でたま〜に自分より下の人間を見たくなるんですよ。それが、コイツなんです。 だから、飲んでいると楽ですよね。

酒井　僕、根本では岡野さんのこと芸人としてリスペクトしていますけど、人間としては下だと思っていますよ？

岡野　お前もなの？最悪の飲み会じゃん（笑）。

酒井　WIN-WINで健康的ですね！

岡野　確かにそうだね。「私よりの身分の低い奴が目の前にいますわ〜」って。

酒井　酒が旨いですからねぇ。

──二人で何をしてるときが一番楽しいですか？

酒井　パチンコ打って、居酒屋さん行って……。

岡野　あと、タバコ吸える居酒屋を見つけたときだよなぁ。

酒井　あぁ、うれしいですよねぇ！

岡野　まだ酒井も連れていってないところがあるんですよね。コイツにいいところ紹介すると、すぐにお姉ちゃんと行くから嫌なんですよ。

酒井　あ、女っ気ないですよこの人！

岡野　確かに。酒井は女の子が好きなんでね。

酒井　ダメなことじゃないでしょ！

岡野　僕は、お姉ちゃんと遊ぶ暇があったら賭けたい人間なんで、そこがちょっと違うところですね。酒井が途中で、お姉ちゃんと遊びたくなって帰っちゃうこともありますね。それと、酒井はテレビでは元カノとの別れ話で泣いたりして好感度上げていますけど、僕は知っているんです。別れた次の日に、お姉ちゃんと遊んでいたことを。

酒井　お姉ちゃんって言い方はちょっと……。

岡野　あぁ、違うか。セクシー女優の友達ね。

酒井　違うよ！違う違う！セクシー友達!!

岡野　もっと悪いだろ、セクシー友達は（笑）。

酒井　女友達は多いので、話聞いてもらっていただけですよ！

■今までは「ポンコツ」最近は「ガラクタ」

──では酒井さん、岡野さんの特に好きなところ教えてください。

酒井　生理的に嫌いとかいう言葉ありますけど、もう、生理的に好きなんですよ。

岡野　確かにそれはあるかもしれないですね。元来、酒井って僕の苦手なタイプの可能性もあるんですよ。ピヨピヨとか本当に嫌だし。けど、やっぱり生理的に好きだから、元は同じ生き物で、海で生き分かれた生命なのかもしれないですね。

酒井　うれしい！泣いちゃう！

岡野　どうぞどうぞ。この人はね、地上波のゴールデンじゃないと泣かないんですよ。

酒井　（泣）って書いといてください。

──岡野さんは、酒井さんをかわいいと思う部分はありますか？

岡野　テレビ仕事、入り時間の3時間前ぐらいに入って、すごく準備してるのに、本番では一個もできないところがかわいい。あの時間なんだったんだよって思います。

酒井　今日はこの取材、現地に2分前ぐらいに来ているから気まずいんですけど、武器を持たないで戦場に行くのが怖いんです。トークバラエティーだと、トークも拙くて持ち時間も守れないっていうのが自分でもわかっているから、ちゃんと練習しないと迷惑をかけちゃうと思って。

岡野　でも、本番って練習にないことが起きる。そうすると、練習しすぎているから臨機応変に対応できなくて、まったく違う返答したりするんですよね。

酒井　硬直して、ヘルメットみたいになるんですよ。

岡野　どういうこと？

酒井　硬いものの例えはヘルメットですよね？これも、あなたがお笑いを教えないからですよ……。

岡野　基礎能力がやばいっすよ、コイツは（笑）。でも、前までは先輩とばっかりだった酒井が、最近後輩をかわいがり出してちょっと感動しました。

酒井　特にネタができる後輩だと、どこか鼻で笑われている気がするんですよ。僕、今まではポンコツって言われていたんですけど、最近ガラクタって言われ始めていて、そんなんに憧れる人いるのかな？って思っていたんですけど、ついに後輩にもガラクタを見つけたんですよ！本当に天然だし、かわいげがあるし、お笑いはあんまり語らないけど面白くていい子なんで、僕はこの子を連れていくと決めたんです。

──お名前は？

酒井　まちょねーずの……坂本くん？

岡野　え？名前知らないの？

酒井　中村くんかもしれない。一応、中村でお願いします。

岡野　中村なの？絶対坂本だよ？（※正しくは坂本）

酒井　あと、最近ちょっとお金がもらえるようになったんで、連れて行けるようになりましたね。

──普段二人で飲むときは、岡野さんがご馳走する？

岡野　人力舎は先輩が絶対おごる文化なんてないですけど、そうなっちゃいましたね。

酒井　ないときは僕が貸して、そのお金でおごってもらっています。

岡野　ちゃんと返しているんだから、それはおごっているんだよ。

■多言無言の岡野の名言、酒井が暴露

──お互い、心に残っている言葉はありますか？

酒井　僕……岡野さんに絶対言うなって言われているやつ、言っちゃおうかな？

岡野　絶対言うなって言ってんだから、言うなよ（笑）。

酒井　ギャッハッハ！僕がお笑いで真剣に悩んでいたときに、相談させてもらったら「大丈夫、お前は素質がある。でも、努力を怠ったら絶対ダメだ。一生懸命頑張っているお前なら、絶対誰かが見てくれているから」って言われたんです。そのときに、全部一生懸命頑張ろうと思って！

岡野　それ、俺が言ったの？

酒井　絶対よそで言うなよって言われています。

岡野　本当に俺なの？

酒井　言って……なかったっけ？「一生懸命頑張れば、誰かが見てくれているよ」って言われましたよ。

岡野　誰が言ってんだよな（笑）？

酒井　それと、もう一個。「巨匠さんのネタって一つの映画を観た感覚になるんですよ」って言ったら、「まあ、作品は作るよね。巨匠だから」って言われて……。これがね、カッコいいと思った。

岡野　カッコいいとかじゃなくて、そういうボケじゃないですか。それを今こういう風に話すっていうのが……すばらしいですよね。酒井は最近売れてきているから「正直、今芸能人で誰と同じランクだと思ってんの？」って聞いたんですよ。そしたら、「A.B.C-Zの塚田さんです」って。

酒井　ボケですよ！ボケ（笑）！

岡野　いやいや、真剣に言っていたじゃないですか。で、一緒にいた後輩が「わらふぢなるおさんじゃないですか？」って言っていたのに、めっちゃ怒ってたのも覚えてる。

酒井　これはちょっと……上手く書いてくださいね？

岡野　あともう一個あるわ。マミィが苦しい状況のときに、飲みながら「僕は絶対ターリーターキーよりは面白い！」って言っていました。

──ターリーターキーさんも『夏ネーター』に出ますね。

岡野　だから、来ていただいて、どっちが面白いのか確かめてほしいです。

酒井　そうですね。確かめてください。ターリーターキーよりは面白いです。でも、僕の名言それぇ（笑）？

──最後に、お互いに今だからこそ言えることがあれば。

岡野　リアルに、今さっき競馬でお金がなくなってしまったので、もし手持ちがあれば、本当にボケとかじゃなく貸してほしい。

酒井　ちょ、待ってよ。最後の言葉それ!?じゃあ僕は、岡野さんの彼女に会わせてください。

岡野　え？彼女に会わせたらお金貸してくれるの？いくら？

酒井　1万5千円。

岡野　いやぁ〜、それは無理！

酒井　岡野さんの彼女が、僕にNG出しているんですよ。

岡野　はい。酒井は僕のことを生理的に好きって言ってくれましたけど、僕の彼女は、酒井のこと生理的に嫌いなんです。

酒井　僕と岡野さん、ほぼ同じじゃないですか！

岡野　同じじゃねえよ（笑）。

■2022年8月25日『夏ネーター2022』が開催される。岡野陽一、ザ・マミィ、ラバーガール、真空ジェシカ、トンツカタン、ターリーターキー他、人力舎に追い風を吹かせる芸人が勢揃い。現在、劇場チケット販売中（https://eplus.jp/sf/detail/3669960001）。

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