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マヂラブ、漫才のつかみはマイナス6秒? 『M-1』時の“野田の土下座”を学術的に分析

 東京大学と吉本興業が立ち上げた「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」の一環として、昨年11月に始まった「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントが17日、東京大学安田講堂にて開催された。東京大学大学院教授らとともに研究に協力した、『M-1グランプリ』にゆかりのある芸人たち、マヂカルラブリー野田クリスタル、村上)、ゆにばーす(はら、川瀬名人)、オズワルド伊藤俊介畠中悠)の3組がパネリストとして参加した。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 「M-1グランプリを科学する!」とは、『M-1』出場芸人のネタに共通の特徴はあるのか、笑いにおける「つかみ」の効果とは、SNSデータから読み解く『M-1グランプリ』にまつわる意外な分析結果など、数々のスターを輩出してきた笑いの祭典を、東京大学大学院教授らが学術的に分析するという試みとなっている。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 ファシリテーターとして、アクセンチュアのビジネスコンサルティング本部インダストリーコンサルティング日本統括 マネジング・ディレクター・中村健太郎氏と、成果を発表する東大大学院の植田一博教授(総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)、浅谷公威特任講師(工学系研究科技術経営戦略学専攻「坂田・森・浅谷研究室」)、大澤幸生教授(工学系研究科システム創成学専攻)が参加した。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 研究に協力した3組が『M-1』の規定と同様、4分の漫才をそれぞれ披露。『M-1』で優勝した“つり革”ネタを披露したマヂカルラブリーについて、オズワルド・畠中が「マヂラブ、教授ウケゼロでした」と暴露(?)すると、マヂカルラブリー・野田は「オレ、ハイパー高卒だから。高校、ほぼ行ってなかったから」と明かし、会場にいる東大生たちに向かって「調子乗んなよ!」と毒を吐き、笑いを誘った。

 最初は植田教授による「笑いにおける“つかみ”の効果」についての研究結果。「本ネタ」のアイドリングともいうべき役割を果たす「つかみ」があることが、「本ネタ」に対して感じる面白さにどのように影響があるかを調べるという本研究では、「面白いつかみがあった方が本ネタも面白く感じるのではないか」という仮説をもとに、トータルテンボスの漫才を「面白いつかみ」「面白くないつかみ」「つかみなし」の3つに分けて実験を行った。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 面白さは「笑顔度」と「自律神経系(心電位)」の2つで計測し、漫才の動画を見る前の安静時からどのくらい変化したかを測るのですが、川瀬が「ずっと安静の可能性ありますよね」とツッコみ、笑いを誘う。その結果、植田教授は「つかみあり」の方が「つかみなし」よりも本ネタを面白いと感じていたことがわかったと明かす。ただ、「面白いつかみ」と「面白くないつかみ」の間に差がなかったことについて、「『面白くないつかみ』はトータルテンボスの藤田さんに考えてもらったんですけど、やっぱりプロの方なので意外に面白かったんですよ。だからちょっとマズイなぁと思った」と苦笑した。

 ここで「つかみが早いよしもと漫才師TOP10」が発表され、すべて『M-1』出場時の漫才で構成された本動画の1位はマヂカルラブリーだったが、3〜5秒台だった、ほかのコンビのつかみ時間に対し、マヂラブのつかみは2020年の『M-1』登場時の“野田の土下座”がつかみにカウントされたため、会場は爆笑に包まれる。しかも記録が「−6秒」だったことについて、ゆにばーす・川瀬が「VTR作ったやつ、お笑い理解しすぎてるでしょ!」とツッコんでいた。

 続いては浅谷公威特任講師による「計算社会科学による分析で今年のM-1王者を予想する」という研究の結果発表。ツイッターのデータによる「芸人+有名人ネットワーク」や「お笑い芸人貢献度ランキング vs M-1結果」、さらにルミネtheよしもと等の劇場の入場者数やチケットの販売数、ルミネtheよしもとの公式アカウントのLike数などから分析して今年のM-1優勝者を予想するという浅谷講師に、オズワルド・伊藤は「マジで余計なことしないでもらっていいですか?」とデリケートに反応する。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 しかし、ツイッター上でファン層が近い芸人同士を線で結んだり、フォロワー数の多さを●の大きさで表したり、お笑い以外のジャンル(タレント、スポーツ、時事など)に近い芸人が一目でわかる浅谷講師の「芸人+有名人ネットワーク」の図表が紹介されると、その図表の面白さに芸人たちは大はしゃぎとなる。分析の結果、浅谷講師は「去年の6月のルミネとM-1の予測精度がいちばん相関性が高かった」ことがわかったと明かし、「つまり、『2022年6月の劇場の入場者数によるM-1グランプリ予測』での1位のコンビが優勝します」と自信たっぷりに発表する。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 今年の6月のデータが発表されると、1位は「オズワルド」という結果に。会場からは大きな拍手が起こり、オズワルドの2人はうれしそうに「やったぁ!」とガッツポーズで喜びを表現する。伊藤は満面の笑みで「おそろしく気分がいいです(笑)」とコメントし、畠中も「優勝するって言ってもらえたんで、もう出なくていいんじゃないかな」と本末転倒な発言まで飛び出す始末だった。

 最後は、大澤教授の「M-1グランプリの芸を科学する」研究の成果報告。大澤教授が開発したソフトウェア「KeyGraph(キーグラフ)」を使用して漫才を可視化し、そこから、どのような言葉が重要なのか、その言葉にどのような役割があり、観客が笑っているのかなどを分析するという本研究。例としてマヂカルラブリーが2020年の『M-1』で優勝した「つり革」ネタをグラフ化したものを見ながら、大澤教授が「キーグラフによる漫才ネタの可視化」について説明する。

 そこから発展して、大澤教授の生徒である東京大学工学部の森原ソフィア遥さんによる「ゆにばーすテキストをKeyGraphで分析する〜なぜおやじギャグはウケないのか?〜」の研究成果発表へ。言葉にならないような要素であるデータの結晶化や、そのためのダミーノード(テキストにない、チリのようなモヤモヤしているもの)も付加してテキストを分析するという森原さんの研究は、ゆにばーすの“賛成派と反対派に分かれてディベートする”という漫才のネタを題材にして、非常識と常識をまたぐ笑いを「逆説構造の笑い」と定義づけ、分析する。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 その結果、笑いが重なったダミーノードのところで笑いが起きている(ダミーノードによって文脈が可視化されている)ことから、「笑わせるには文脈を生み出すことが重要である」ということがわかったと話す森原さん。それを聞いた川瀬は、「登場するなり『イエーイ!』って言う異常者(はら)が出てきたことが文脈になって、笑いにつながってるんですね」と納得していた。

 「なぜおやじギャグはウケないのか?」について「おやじギャグには文脈がないから人を笑わせることができない」と結論づけた森原さんだが、「実は大澤教授もおやじギャグをよく言う方なんですけど、プロの方のお力で教授のおやじギャグに文脈をつけて、笑えるものにしてもらえませんか?」という無茶ブリ発言が飛び出しす。

「M-1グランプリを科学する!」の成果報告イベントの模様

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 芸人たちは、その無茶ブリになんとか応えようと奮闘するが、芸人がなにか思いつく度におやじギャグを言わされる大澤教授は、途中で「恥ずかしいんで、やっぱりやめた方がいいってことですね……」と諦め、会場の笑いを誘っていた。最後に、イベントの感想を聞かれたゆにばーす・はらが「めちゃめちゃ勉強になりました。要はお笑いって下ネタなんだなって」という発言に爆笑が起こり、終了となった。

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