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集英社、「漫画アート」世界販売の新事業開始 漫画に「美術的」価値を与え作家の画業支援

 集英社は1日、「漫画を、受け継がれていくべきアートに」とヴィジョンのもと、2008年から実施している漫画原画のデジタルアーカイブを活用し、世界に目を向けた漫画アート販売の新事業「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」をスタートさせることを発表した。美術品「油絵」は劣化スピードが緩やかだが、「漫画」(原画)は急速に劣化していくことから、新事業を通じて作品の価値を守り、価値をさらに高めていく。

集英社、「漫画アート」世界販売新事業を発表

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 新事業は、漫画作家の画業に新たな光を当て、その作品に「美術品」としての永続的な価値を与える新しい取り組みで、最良の印刷技術とマテリアルで、クオリティーの高い「漫画アート」作品を制作する。また、その価値を保証し、次の世代へと引き継いでいくために、ブロックチェーン証明書を発行し、来歴を永続的に記録していく。新事業を通じて、漫画を愛する人々の中で、「受け継がれていくべきアート」として作品が継承されると同時に、世界のアートマーケットの一端を担う、漫画アート市場の創造を目指す。

 この日、オンラインで開催された記者会見で新事業の立ち上げ背景などが説明。1926年に創立された集英社は、戦後、数多くの漫画作品を世の中に送り出す一端をになっており、一番面白い漫画を、できるだけ安価に、ひとりでも多くの読者に届けるという、挑戦を続けてきたが、一方で、子どもたちが気軽にお小遣いで買える娯楽であった漫画が、国内外の美術館や博物館に展示されることも珍しくなくなってきた。

 そこで、未来に向けて漫画を保存し、受け継いでいくためにすべきことの取り組みとして「漫画アート」の越境EC事業を立ち上げる運びとなった。主に「FINE ART PRINTING QUALITY」「ART BLOCKCHAIN NETWORK GUARANTEED」「WITH NATIONAL MANGA ARCHIVES」の3つをテーマに取り組んでいく。

 「FINE ART PRINTING QUALITY」は、漫画は週刊や月刊というサイクルで描かれることから、カラー作画の多くには染料系のインクが使われ、非常に退色や劣化が起きやすい原画になっている。集英社はComics Digital Archives(CDA)を立ち上げ、2008年よりカラー原画の高精度デジタルスキャン撮影を行なっており、このデジタルアーカイブをいかし、耐光性のあるインクを用い、保存性の高いコットン100%の用紙にプリントを行う。現在では希少になった、大型の「活版平台印刷機」を用いたシリーズも展開する。

 「ART BLOCKCHAIN NETWORK GUARANTEED」は、作品の品質を担保するため、各プリント作品のエディションは5〜20枚に限定。ブロックチェーン証明書を発行することで、作家と版元の真正性を保証し、作品の価値を左右する来歴情報も永続的に記録することで、その価値を次の世代へと引き継いでいく狙いがある。

 「WITH NATIONAL MANGA ARCHIVES」は、「紙」の原画をどう整理し、保存、運用していくのかは大きな課題とし、漫画のデジタルアーカイブと漫画アートの作品販売を進めると同時に、文化庁連携事業である漫画原画アーカイブセンターや、学術機関・美術館とも連携。紙の漫画原画の保存や利活用について協力していく。

 なお、新事業スタートにあわせて、 尾田栄一郎氏(『ONE PIECE』)、池田理代子氏(『ベルサイユのばら』)、坂本眞一氏(『イノサン』『イノサンRouge ルージュ』)の3作品より販売を開始。WEBサイト(https://mangaart.jp)の写真や映像から色彩とディテールの違いを見ることができる。

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  • 集英社、「漫画アート」世界販売新事業を発表 (C)ORICON NewS inc.

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