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西野七瀬×漫画家・田島列島の初対談 熱量高めに語り尽くす【前編】

 女優の西野七瀬が、かねてからファンを公言している漫画家の田島列島氏。今年実写映画化される『子供はわかってあげない』(2014)で注目を集め、『ごあいさつ』『水は海に向かって流れる』などで、2020年の「第24回手塚治虫文化賞新生賞」を受賞。寡作ながら多くの漫画ファンの心をつかんでおり、西野も夢中になっている読者の一人だ。

対談を行った(左から)西野七瀬、田島列島氏

対談を行った(左から)西野七瀬、田島列島氏

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 そんな2人によるはじめての対談が実現。前編では「この日が待ち遠しかった」と切望していた西野が、田島作品と出会ったきっかけや『水は海に向かって流れる』の印象的なシーンについて、熱量高く語り尽くした。

■西野七瀬の列島初上陸 “これ以上ない完璧”な初連載作品

――西野さんは田島先生の前連載作『子供はわかってあげない』が刊行された頃(2014年9月)から、各メディアや媒体でファンを公言されてきました。どのような経緯で本作を知りましたか?

西野 人からオススメされて単行本を読んだのが最初で、読んだら「好きすぎる……!」と思いました。まだグループ(乃木坂46)で活動しているときだったので、ほかのメンバーにも「とにかく読んで!」って上下巻を渡してオススメしまくってました。

田島 私は「西野さんがメルマガなどで紹介してくれてますよ」と担当編集から聞かされたときに、本当に申し訳ないんですけど、顔の見分けがついていなくて……。

西野 申し訳ないだなんて、そんな、全然大丈夫ですよ。

田島 でも『週刊少年マガジン』のグラビアを部屋の壁に貼って西野さんの顔を覚えたら、ほかの方たちも見分けられるようになりました。

西野 そんなことまでしていただいて……。

――『子供はわかってあげない』の魅力は、どういったところだと西野さんはお感じですか?

西野 絵柄はほわほわとした和み系ですが、お話のテーマ的にはシリアスで重いところがあります。表紙を見たときには内容の想像がつかなかったので、そのギャップが「めちゃいいなぁ」って思いました。

田島 ありがとうございます。

西野 ラストの展開がよくて、全部もっていかれますね……。

田島 あのラストは、親や友達に読まれたら恥ずかしいなという照れもあったんですけど、そういったものを解放して描きました。親には「絶対に読むな」「読んでも話題にはするな」と釘を刺しておきましたが(笑)。

西野 ストーリーの本筋とは別に、セリフとか言葉選びも好きです。サクタさんの「もじくんと話したいな」「なんで今夏休みなんだろう」(第18話)みたいなセリフは、同じように思ったことがある人は多そう。活字になっていない、手書き文字のギャグも好きなんですけど、ああいうのはいつ思いつくんですか?

田島 いやぁ、放っておくとどんどん出てくるので、削ってるんですよ。あんまり全部入れると、ギャグマンガになっちゃうから。

西野 さりげなく入っていて、前面に押し出していない感じも好きです。

――お気に入りのキャラクターはいますか?

西野 とくに「このキャラが好き」と思いながら読んではいなかったんですけど、門司くんは好きです。「こんな同級生いたらいいなぁ」って思いながら読んでいました。

――キャラクターよりは全体の物語を楽しむ感じの読み方なんですね。

西野 そうですね。好きなところは本当にいっぱいあって、「血田くんのトラウマ」(第1話)とか「習字が上手くなると『火』って書いただけで火が出てきて敵をやっつける」(第3話)とか、冒頭に出てきたなにげない会話が物語の伏線になっているので、自分の中では“これ以上ない完璧(な作品)”だと思っています。個人的には上下巻2冊で完結するところも、人にオススメしやすいんじゃないかと思います。

田島 新人賞(MANGA OPEN 第24回さだやす圭賞)を受賞したのが2008年(受賞作『ごあいさつ』)で、そこからなかなか連載作をつくれなかったんです。それで「自分が楽しむために」という気持ちで描いたのが『子供はわかってあげない』でした。そういう作品を楽しんでいただけたのは、うれしいです。

■ページをめくる手が思わず止まった『水は海に向かって流れる』のラスト

――『水は海に向かって流れる』は田島先生の4年ぶりの連載作品です。

田島 まだ単行本の1巻が出る前に『non-no』(集英社)で西野さんに紹介してもらってビックリました。『non-no』から画像提供の依頼が来たんですけど、お出しできる素材が榊さんの全身図(第1話トビラ絵)しかない段階でした。

西野 毎月『別冊少年マガジン』で連載を追っていました。第1話から田島さんの世界観があふれていて、ポトラッチ丼とか、発想が独自すぎますよね(笑)。私はここ(家に着いた主人公・直達が2階にあがるところ)が好き。なんか、こういう人たちに囲まれて暮らしている主人公たちが「いいなぁ」って思いながら読んでいました。

――タイトルはどうやって決めたんですか?

田島 ……適当、というか(笑)。

西野 ええっ。

田島 私の父が左官屋で、親方から「水は上から下に流れるだろ!」と怒られたときに「いや、水は海に向かって流れるだろ」と心の中で反発したそうなんですよ。私はその話をおぼえていて、いつかマンガのタイトルに使いたい候補としてストックしていました。それを引っ張り出した感じです。タイトルをつけられたマンガが、そのタイトルどおりに育っていってくれました。

――最初の段階では、ラストは決めていなかったのでしょうか?

田島 そうですね。1話目をつくった時点では、直達の父親と、ヒロイン(榊千紗)の母親がW不倫していた設定もなかったくらいです。

西野 意外です。最後まで通して読んだあとだと、そこが物語の軸だと思っちゃいます。

田島 最終的には、タイトルに沿うような形でラストにつながりましたね。

西野 最後まで直達君と榊さんが結ばれるかどうかわからなくて、「どうなるんだろう?」って思いながら読んでいたので、最後の展開にやられました。ラストの1ページ前で「決まった……!」と思ったら、手が止まってしまい、しばらく最後のページをめくれなくなっちゃいました。

――では西野さんのいちばんお気に入りのシーンはラストですか?

西野 他にもたくさんです。直達くんがファミレスで“カツアゲ”したお金を募金箱に入れるところ(第19話)も好きです。あと、泉谷さんが「何を隠そうこの私…」って言うところ(第15話)も、もうかわいい。応援したくなっちゃう。

田島 描ける顔の種類を増やそうと、テレビを観ながら芸能人をマンガ的にカスタムして描いていた時期があって、泉谷さんは武井咲さんから派生したタイプの顔なんです。

――今日、色紙に西野さんの似顔絵を描かれてましたね。

田島 美人は描くのが難しいです。全然似なくて……。

西野 えー、それに私的には似てると思いましたよ。田島さんの世界観の私だ、って。

田島 ああ、よかった。ただの似顔絵じゃなくて、私の絵でなおかつ西野さんの顔にしないと、と思ったんです。がんばって似せました(笑)。

西野 そういえば『子供はわかってあげない』でも『水は海に向かって流れる』でも、トランスジェンダーや女装のキャラクターが出てきますけど、それはどうしてですか?

田島 えっと、「売れるマンガにはそういうキャラが出てくる」というジンクスがあったから、です。でも「売れるマンガ」って、連載が長かったりキャラが多かったりするので、必然的にそういうキャラもいたというだけの話なんですけどね。まあ、その……、売れたいんです(笑)。

――大事なことだと思いますよ。

西野 全3巻で完結するので、こちらの作品も人にもオススメしやすいですよね。寄り道をしていないけど、かといって必要な要素だけというわけでもないのが私は好きです。

※後編では、田島氏が新連載に取り組んだきっかけや、西野の映像作品への役作りの姿勢などを語り合った。

●プロフィール
・西野七瀬
2018年12月に乃木坂46を卒業後、女優として活動中。
卒業後まもなく、日本テレビ系日曜ドラマ『あなたの番です』に出演し、意外性のある演技で活躍を印象づけた。
2020年にもフジテレビ系『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』に出演。
今年の活躍からも目が離せない最旬女優。

・田島列島
実写映画の公開も控える連載デビュー作『子供はわかってあげない』が各マンガ賞にランクインし話題に。
4年ぶりの連載となった『水は海に向かって流れる』で手塚治虫文化賞新生賞等を複数受賞。ただいま新作を構想中。

写真/神藤剛 インタビュー・文/加山竜司
<西野七瀬>スタイリング/鬼束香奈子 ヘアメイク/森柳伊知

関連写真

  • 対談を行った(左から)西野七瀬、田島列島氏
  • 対談を行った(左から)西野七瀬、田島列島氏
  • 田島列島氏と対談を行った西野七瀬
  • 西野七瀬と対談を行った田島列島氏
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  • 田島列島氏と対談を行った西野七瀬
  • 西野七瀬と田島列島氏の対談の模様
  • 田島列島氏『水は海に向かって流れる』
  • 田島列島氏『子供はわかってあげない』

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