世界最大規模の同人誌即売会『コミックマーケット96(以下、コミケ)』(C96)が9日、東京ビッグサイトで開幕した。気温38度を超える暑さながら、麗しいコスプレイヤーたちが美を競い、それを撮影するカメラマンたちも集まり大盛況だ。だが、これら撮影には、常々ある問題がささやかれている。肖像権の問題からセクハラとも言えるトラブルまで、エンタテインメントに詳しいレイ法律事務所の河西邦剛弁護士に聞いた。
コミケの風物詩といえる、アニメやゲームのキャラに扮した女性コスプレイヤーと、それを撮影する一般カメラマン(通称カメコ)の存在。ほとんどの場合、両者が納得する形で楽しく撮影が行われるものの、ときにはトラブルも起こっているようだ。こういった問題はもちろんコミケだけでなく、様々なコスプレイベント、個別の撮影会などでも発生。運営側の啓蒙や注意喚起によって以前よりずいぶん減ってはいるが、すべてがなくなったわけではない。なかには、被害に遭い、泣き寝入りするコスプレイヤーもいるようだ。
――コスプレイヤー自身の許可がないのに、撮影者が無断で撮影したり、ネットにアップロードすることは、法律的にどのような問題がありますか?
【河西弁護士】コスプレイヤーの肖像権を侵害したこととなり、損害賠償責任を負うことがあり得ます。そして、無断撮影にとどまらず、さらにネットにアップロードした場合には、損害がどんどん拡大していると言えますので、仮に訴訟になった場合に損害額が大きくなります。過去に私が担当した裁判では、肖像権侵害でネット上の写真の削除を命じる決定が出ました。削除に応じない場合には、1日1万円の支払いを命じたケースもありました。
――撮影者がコスプレイヤーに「撮った写真を送る」と約束しながら、実際には送らない…というトラブルもよく聞きますが。
【河西弁護士】こちらは契約違反、すなわち債務不履行になる可能性があります。約束は口頭でも成立しますので、「写真を送る」という契約が成立し、それに違反したことになります。もっとも、コスプレイヤー側の具体的損害額というのが認定しずらいので、実際には裁判で請求してもほとんど金額はつかないかもしれません。
――撮影者の中には、極端なローアングル撮影や、セクシャルなポージングの強要、不必要なボディタッチ、着替えの盗撮を行う人もいるそうです。また、イベント以外の個別の撮影では、ホテルに連れ込もうとするような人も一部には…。
【河西弁護士】いずれも犯罪行為に該当する危険すらあります。まず、盗撮行為などは各都道府県の迷惑防止条例として規制されています。例えば、極端なローアングル撮影や着替えの盗撮行為は、東京ビッグサイトのある東京都の迷惑防止条例で、1年以下の懲役または100万円以下の罰金処分となります。盗撮行為は懲役刑にもなりえる重大犯罪です。さらに、セキュシャルなポーズの強要はまさに強要罪などに該当。3年以下の懲役となる可能性があります。
また、不用意なボディタッチについても、痴漢行為と同じように、東京都では6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金となりますし、コスプレイヤーが拒否したのにも関わらず暴行や脅迫を用いたボディタッチは、強制わいせつ罪となり最大10年以下の懲役となります。ホテルに連れ込もうなどということは、場合によっては強制性交等未遂罪という極めて重大な犯罪行為にすらなりえます。
――もし上記のような被害にあった場合、コスプレイヤーはどう対処すべきでしょうか?
【河西弁護士】犯罪行為については、毅然とした対応をすることです。ネット社会においては、自らの意図しない卑猥な画像が出回ってしまうと、消すことは現実的には困難です。そのため、自己防衛の意味も含めて「拒否するべきところはきちんと拒否する」ことが大切です。また、あとから刑事民事の責任追及をするためにも、証拠を残しておくことは大事。違反行為をする人に対し、録音や動画を撮影しておくことです。これらは、ネットに晒すために撮影するのではなく、のちの証拠として撮影するものであり、原則違法にはなりません。
――このような行為を行う撮影者も、残念ながらゼロではないようです。
【河西弁護士】何より人の嫌がることはしないということ、そして相手の立場に立って考えるということです。コスプレイヤーさんも人間ですから、嫌なものは嫌です。それを理解したうえで、楽しい時間を過ごすことがなにより大切なのではないでしょうか。
コミケの風物詩といえる、アニメやゲームのキャラに扮した女性コスプレイヤーと、それを撮影する一般カメラマン(通称カメコ)の存在。ほとんどの場合、両者が納得する形で楽しく撮影が行われるものの、ときにはトラブルも起こっているようだ。こういった問題はもちろんコミケだけでなく、様々なコスプレイベント、個別の撮影会などでも発生。運営側の啓蒙や注意喚起によって以前よりずいぶん減ってはいるが、すべてがなくなったわけではない。なかには、被害に遭い、泣き寝入りするコスプレイヤーもいるようだ。
――コスプレイヤー自身の許可がないのに、撮影者が無断で撮影したり、ネットにアップロードすることは、法律的にどのような問題がありますか?
【河西弁護士】コスプレイヤーの肖像権を侵害したこととなり、損害賠償責任を負うことがあり得ます。そして、無断撮影にとどまらず、さらにネットにアップロードした場合には、損害がどんどん拡大していると言えますので、仮に訴訟になった場合に損害額が大きくなります。過去に私が担当した裁判では、肖像権侵害でネット上の写真の削除を命じる決定が出ました。削除に応じない場合には、1日1万円の支払いを命じたケースもありました。
――撮影者がコスプレイヤーに「撮った写真を送る」と約束しながら、実際には送らない…というトラブルもよく聞きますが。
【河西弁護士】こちらは契約違反、すなわち債務不履行になる可能性があります。約束は口頭でも成立しますので、「写真を送る」という契約が成立し、それに違反したことになります。もっとも、コスプレイヤー側の具体的損害額というのが認定しずらいので、実際には裁判で請求してもほとんど金額はつかないかもしれません。
――撮影者の中には、極端なローアングル撮影や、セクシャルなポージングの強要、不必要なボディタッチ、着替えの盗撮を行う人もいるそうです。また、イベント以外の個別の撮影では、ホテルに連れ込もうとするような人も一部には…。
【河西弁護士】いずれも犯罪行為に該当する危険すらあります。まず、盗撮行為などは各都道府県の迷惑防止条例として規制されています。例えば、極端なローアングル撮影や着替えの盗撮行為は、東京ビッグサイトのある東京都の迷惑防止条例で、1年以下の懲役または100万円以下の罰金処分となります。盗撮行為は懲役刑にもなりえる重大犯罪です。さらに、セキュシャルなポーズの強要はまさに強要罪などに該当。3年以下の懲役となる可能性があります。
また、不用意なボディタッチについても、痴漢行為と同じように、東京都では6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金となりますし、コスプレイヤーが拒否したのにも関わらず暴行や脅迫を用いたボディタッチは、強制わいせつ罪となり最大10年以下の懲役となります。ホテルに連れ込もうなどということは、場合によっては強制性交等未遂罪という極めて重大な犯罪行為にすらなりえます。
――もし上記のような被害にあった場合、コスプレイヤーはどう対処すべきでしょうか?
【河西弁護士】犯罪行為については、毅然とした対応をすることです。ネット社会においては、自らの意図しない卑猥な画像が出回ってしまうと、消すことは現実的には困難です。そのため、自己防衛の意味も含めて「拒否するべきところはきちんと拒否する」ことが大切です。また、あとから刑事民事の責任追及をするためにも、証拠を残しておくことは大事。違反行為をする人に対し、録音や動画を撮影しておくことです。これらは、ネットに晒すために撮影するのではなく、のちの証拠として撮影するものであり、原則違法にはなりません。
――このような行為を行う撮影者も、残念ながらゼロではないようです。
【河西弁護士】何より人の嫌がることはしないということ、そして相手の立場に立って考えるということです。コスプレイヤーさんも人間ですから、嫌なものは嫌です。それを理解したうえで、楽しい時間を過ごすことがなにより大切なのではないでしょうか。
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2019/08/10