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『シン・エヴァ』“0706作戦”舞台裏レポート vol.1 〜聖地・新宿会場をめぐる攻防編

 ちょうど1週間前、7月6日の日本時間午後8時15分より国内主要5都市とフランス・パリなど世界をまたにかけ実行された『シン・エヴァンゲリオン劇場版 AVANT 1(冒頭10分40秒00コマ) 0706版』の上映イベント、通称“0706作戦”。ファンが待ちわびた最新映像の上映に文字通り世界中が沸き、国内で約10万人を動員する一大イベントとなった。一方で、作戦成功までの道のりもまた、大規模かつ緊張感にあふれる局面の連続だった。国内の会場の一つ、新宿での実施をめぐる交渉の紆余曲折を株式会社カラーの担当者に伺った。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』“0706作戦”舞台裏レポート

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 屋外上映を行うにあたり一番の難関だったのが、各地会場の許可取り。特に困難を極めたのが、エヴァの聖地(※)のひとつでもある新宿会場(ミラノ座跡地、工事現場内)だった。繁華街の中に会場を設営し、また、運営を行うために警備員の数は100人を超えていた。

(※)1997年3月に『新世紀エヴァンゲリオン』の劇場版第1弾『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』は、新宿ミラノ座をメイン館に東映・東急系にて劇場公開。同年7月に公開された『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』では、ミラノ座内部での撮影も行われた。また、2009年6月27日公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』のメイン館は新宿ミラノ座であり、新宿シネシティ広場では公開記念イベントも実施されている。

――今回のイベントが企画された経緯、企画意図を教えてください

 今年の春頃、作品本編から一部(アヴァン)を抜粋して上映したいというリクエストが庵野(秀明)総監督よりありました。そのシーンから、できればフランスでなんらか上映を行い、それを日本へフィードバックする設えを構築できれば大きな効果につながると考えました。『JAPAN EXPO』には去年に引き続き、『新世紀エヴァンゲリオン』にて主題歌を歌唱されており、新作映画に向けた公式応援アンバサダーでもある高橋洋子さんがステージ参加することが概ね見通しされておりましたため、そのステージへ合体する形でより大きな波及効果を狙いました。

――新宿会場の許可取りが特に困難だったというのはどういう事なのでしょうか

 まず昨今はテロ対策などの理由により、公共の広場の使用許可が非常に困難になっている傾向にあります。ましてや元ミラノ座前の広場は公共の広場にもかかわらず公道2本に囲まれているという立地であるため、その道路を物理的にまたぐことができない、道路を通るお客さまの妨げにはなってはならない等のルールがありました。一度使用申請を行い玉砕し、諦めかかっておりましたところに、ミラノ座の土地を管理されております東急電鉄さんと出会いました。

 そこから、シネシティ広場に設備を建て込む形ではなく、元ミラノ座の工事現場の中に仮設したビジョンを建て込む形で、現場構造案を練り直しました。元ミラノ座の跡地は私有地でありますから、基本的には東急電鉄さまをはじめとする関係各社さまのご了承を得られれば、工事をストップして使わせていただくことができたのです。

 その後、関係各社様(株式会社TSTエンタテイメント、株式会社東急レクリエーション、東京急行電鉄株式会社)にご協力を仰ぎ、新宿区役所の複数の部署さまへのご説明などを全てやり直しました。この時点で、大本番までの7月6日まで2週間を切っているという大ピンチ。図面も全て書き換え、区役所さんから指示を受けた形での警備員(104名)配置、現在のご時世にあわせた特殊事例対策を整え、プラ柵や緊急対応のマニュアルを作成。その後東京都からの構造物建築指導を受け、管轄警察署への陳情と担当消防署へのご挨拶と説明を重ねました。

 そうして、やっと歌舞伎町タウンマネジメントさん、歌舞伎町商店街振興組合の皆さまにもご理解を得ての一歩一歩の進行でした。また、会場に隣接する商業施設の皆さまへもできる限りのご説明をさせていただきご了解をいただきました。

――とてつもない労力と交渉を重ねて実現にこぎつけたのですね…。開催場所を当日正午発表としたのはどのような経緯からなのでしょうか

 本来は開催場所を当日ではなく事前に発表したかった意図がありました。しかし、人が集まりすぎてはならない、消防署で決められた計算式のもとに割り出されたMAXキャパシティーを超えてしまったら必ず人払いをしなければならず、滞留はゆるされない等の規制を受け、もっとも安全、かつお客様にご迷惑をおかけしないギリギリの情報公開タイミングが当日の正午になってしまった状況です。

――『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のゲリラ上映時と比べていかがでしたか

 『Q』の時とは管轄警察署が違いますためあまり比べ物にはならないと思いますが、『破』の上映封切り日(2009年)に同じ広場で催事を行ったときとは時代が様変わりしていることを感じました。10年が経ち、ソフトテロ対策(人が滞留する催事現場等に対して他者が爆撃等を行う、二次的なテロ)までを考えて下準備をしなければならない時代になりました。人が集まるところにはかならず危険を伴う可能性がついて回るという事実です。


vol. 2『〜緒方恵美に託した“映像納品”編』に続く

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