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連邦兵士が感じた『シャアザク』“3倍”の絶望感、アムロの声が聞こえる『ガンダム整備ドック』をジオラマ化

 今年40周年を迎えたロボットアニメの金字塔『機動戦士ガンダム』シリーズの中でも、1、2を争う人気キャラとして支持され続けているシャア・アズナブルとアムロ・レイ。今回、『ルウム戦役』の戦場を疾駆するシャアザクを制作した、モデラー・あわくし氏(@awaxy)と、「男の“浪漫”」と話す整備ドックを制作し続けるモデラー・門尾模型倶楽部氏(@kadomo_club)にインタビューを実施。ジオラマを制作した意図や“匠の技術”について2人に聞いた。

制作:門尾模型倶楽部(C)創通・サンライズ

制作:門尾模型倶楽部(C)創通・サンライズ

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■人間の視点から見た巨大モビルスーツの存在感を表現(あわくし)

 今回紹介しているジオラマ『赤い彗星の恐怖』のコンセプトについて聞くと、あわくし氏は「圧倒的な強さを誇る巨大なモビルスーツが目の前に現れ、絶望感につつまれたサラミス艦橋の様子を表現しました」と、作品に込めた想いを語ってくれた。

 本作は、1/48 MS-06S シャア・アズナブル専用ザクIIのキットを使用。ディテールにこだわることで、人間の視点から見た巨大モビルスーツの存在感を表現できないかと考えたのだという。「手前のサラミス艦橋からシャア専用ザクを見上げることで、その恐怖を追体験できるようなジオラマを目指しました」と、あわくし氏は語った。

 また、1/48というメガサイズならではの苦労もあったようで、「メガサイズはHG(1/144)と比べると面積比で9倍、体積比では27倍にもなります。工作ではディテールを作っても作っても空間が埋まりませんし、塗装でもすぐにエアブラシのカップの塗料がなくなりました」と苦笑する。

 ただし、メガサイズだからこそ表現できた点もあるという。「せっかく大きなキットを作っているので、モノアイが動いたら面白くないか?と考えました。そこで、やったことのない電子工作をネットで調べて、マイコンボードやサーボモータを購入して見よう見まねで仕込んでみました」と解説。仕事の関係でプログラミングができたため、モノアイの移動速度の制御は特にこだわったと強調した。「左右に動いたあとLEDの光量を制御することで『ぐぽーん』と光らせています。展示会で作品を見ている人が、急にモノアイが左右にきゅるきゅるっと動いて驚く姿を見ると、仕込んでよかったと思います(笑)」

■頭の中で描いた“物語”を、「ジオラマ」として表現できるようになった(門尾模型倶楽部)

 門尾氏と言えば「整備ドックのジオラマ」が有名。氏に得意とする技術を聞くと「商品化されていないキットや情景を、身近にある物やエポキシパテやプラ版を使って制作する事」だと教えてくれた。実際、門尾氏の作品からは、メカだけでなく配置された人物から“物語”を感じる説得力がある。門尾氏はその点について、「そこは情景模型を制作するにあたって特に気を配っているところ」だと解説する。

 「ジオラマは絵空事ではありますが、“実在しないモノ”をそれっぽく見せる説得力と、他のモデラーの方と“表現方法”で被らないことが大切です。なので、“自分の作品でしか見られないテーマ性”にこだわっています」

 今回紹介しているガンダムの整備シーンでは、アムロやメカニックたちの会話が聞こえてきそうなクオリティだ。これは、「1/35 RX-78メンテナンスドック」という作品で、テーマは「ジオン軍との数々の戦闘を戦い抜き酷使されたガンダムを、次の戦闘までに懸命にメンテナンスを施す整備員達の背中」だと強調した。

 かなり手が込んでいるが、こだわったポイントについては「人目を引く作品を目指しながらも、簡単に模倣されにくいオリジナルの作風を目指しました」と、モデラーとしての矜持も覗かせた。事実、隙間なく配置した小物類や工具の配置はもちろん、実際の工場の画像等を参考にLEDを仕込んでおり、そのリアリティさはまさに“匠の技術”と呼べる。

 門尾氏のジオラマからは、『機動戦士ガンダム』への愛やリスペクトも感じる。ただ、『ガンダム』は作品を愛するファンも多く、自身の創作を形にする際はプレッシャーもあると胸の内を明かしてくれた。今後は、まだ製品化されていない機体をメインとしたジオラマを制作し、「自身の創作イメージを具現化し続けていきたい」と、前を見据えた。

(C)創通・サンライズ

関連写真

  • 制作:門尾模型倶楽部(C)創通・サンライズ
  • 作品:『赤い彗星の恐怖』シャア専用ザク/制作:あわくし

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