人工生命×アンドロイド「オルタ3」がオペラを指揮 来夏特別公演も決定

 ミクシィ、国立大学法人大阪大学、国立大学法人東京大学、ワーナーミュージック・ジャパンは28日、人間とのコミュニケーションの可能性を探るために開発された人工生命とアンドロイド「オルタ3」における共同研究プロジェクトを始動させ、「オルタ3」とアンドロイド・オペラの発案者である音楽家・渋谷慶一郎氏による『Scary Beauty』のパフォーマンスを行った。渋谷氏、指揮者・大野和士氏、作家・島田雅彦氏の共作で、「オルタ3」が参加する新作オペラが、来年8月に新国立劇場が特別企画として上演されることが決定した。人間とアンドロイドによる新たなコミュニケーションで、アート、音楽、サイエンスの未来を変えていく。

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◆ミクシィ、大阪大学、東京大学、ワーナーの4社で共同研究

 4社共同研究プロジェクトは、「コミュニケーションを通じて世界を鮮やかに変えていくこと」を事業活動のミッションに掲げ、オルタ3のシミュレーターを提供するミクシィ、世界的なアンドロイド研究のパイオニアである大阪大学石黒研究室(アンドロイド開発は小川浩平氏)、ALife(人工生命)研究のパイオニアである東京大学池上研究室、プロジェクトの実証実験の場を提供するワーナーミュージック・ジャパンによって発足された。

 「オルタ3」は、「新しいバーチャルリアリティの概念のもとに人とアンドロイドを繋ぐ世界を作る」ことをコンセプトに誕生。“人間の日常”と“非現実的な存在感”を併せ持つように、それぞれおロボットをが組み合わされており、新しいバーチャル・リアリティの世界において想像力で人と人を繋ぐことができるアンドロイドとなる。同研究では、“生命とは何か?”といった根源的な問に答え、これまでにない生命性を感じされることを目指し、大阪大学と東京大学が協力し、約4年前より研究を推進してきた。抽象的な見かけや動きから、人間の想像力を喚起し対峙する人にとって理想の性別や年齢に見えるトリックが仕組まれている。

 人間酷似型ロボット研究の第一人者である大阪大学大学院基礎工学研究システム創成専攻・栄誉教授・石黒浩氏は、「ゲームなどのバーチャルリアリティは、非日常を体験させてくれる。一方のオルタ3は、非現実的なものを日常と繋いでいくものである」と説明し、小川氏が開発を進めてきた。その小川氏は、「これまで制作してきたなかで、一番人間の想像力を換気するロボットを作れました。広まりつつあるバーチャル・リアリティの世界の概念を広げ、新しい環境メディアが作れるのではないかと考えております」と語る。

 動作も同様に、力強い上下運動だけでなく、表情や手などの細やかな動きも同時に表現することができる。人工生命研究の第一人者である東京大学大学院総合文化研究科教授の池上高志氏は、「自分で決めて行動ができる、自律的に動くシステムを組みました。鳥と飛行機の違いのアルゴリズムを組み、「ALIFE Engine」を使用し、動かしています」と言う。アンドロイドの美的表現を極限まで追求するために東京大学池上研究室が理論設計し、オルタナティヴ・マシン社が開発したダイナミクス生成エンジン「ALIFE Engine」を、世界で初めてアンドロイドに搭載された。

◆日本のアンドロイドを世界へ 世界各地での展開も予定

 オルタ3とパフォーマンスを披露した渋谷氏は、「近年、テクノロジーと音楽を掛け合わせたプロジェクトが行われているが、心に刺さったものがない。アンドロイドと人間、それぞれにしかできないものがあると思いプロジェクトに参加しました。命のないものに命を与え、アンドロイドを通して何かやれることがある」とプロジェクトへの思いを語り、この日は実際に『Scary Beauty』を通して音楽とテクノロジーの新たな未来を提示してみせた。

 『Scary Beauty』は、『ALIFE 2018(人工生命国際学会)』のパブリックプログラムとして2018年7月に、東京・日本科学未来館で初演が行われた。オルタ2が30名の人間のオーケストラを指揮し、それを伴奏に自ら歌い、作曲とピアノを渋谷氏が担当した。今回披露されたオルタ3は、運動速度が速くなったことで、力や恐怖といったファクターが加わり、指揮者の持つ演奏の表現技術が上がり、「死と生」がテーマの楽曲を不気味な美しさで表現する。

 ミクシィの代表取締役社長執行役員の木村弘毅氏は、「SNSやゲームで培ってきたIT技術を活かしていけたら」という思いからプロジェクトに参加し、オルタ3のシミュレーターを制作し、仮想空間での動作実験を行っている。また、ワーナーミュージック・ジャパン エグゼクティブ プロデューサーの増井健仁氏は、「海外公演を行う日本人が少ないなか、アジアの他国では、世界で活躍できるアーティストがいる。そうしたなか、人間と人間のコミュニケーションとは違う場で世界に広がるのではないのかと考えています」とコンサートでのオルタ3の実証実験のリアルな場を提供していくという。

 今後オルタ3は、渋谷氏による『Scary Beauty』の世界各地での公演や、日本科学未来館キュレーター・内田まほろ氏の企画による世界各地での展示のほか、来年8月には東京・新国立劇場の特別企画として上演され、渋谷氏、指揮者の大野和士氏、作家の島田雅彦氏で共作する新作オペラに参加する。

関連写真

  • 人工生命×アンドロイド「オルタ3」 (C)oricon ME inc.
  • ミクシィ、国立大学法人大阪大学、国立大学法人東京大学、ワーナーミュージック・ジャパンにおけるオルタ3の4共同研究プロジェクトメンバー
  • 不気味な美しさで楽曲の世界観を指揮するオルタ3
  • オルタ3
  • オルタ3
  • オルタ3
  • オルタ3
  • オルタ3

提供元:CONFIDENCE

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