時代とともに音楽の楽しみ方が変容するなか、昨年新たに立ち上がったアンカー・ジャパンのオーディオブランド「Soundcore」は、新しい音楽体験を届けることをモットーに、ユニバーサルミュージックとのコラボなど音楽業界との関係性を深めている。そんな同社の猿渡 歩氏に、その狙いを聞いた。

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■アーティストきっかけで出会うブランドはその先の消費行動にも影響する

「Soundcore」とユニバーサルミュージック（UM）が共同で立ち上げたライブプロジェクト「Soundcore by Anker × Universal Music Special Live」が2018年11月に始動した。「ハードとソフトの両面からより豊かで心躍る音楽体験を提供する」ことを目的としたこの企画の第１弾アーティストには、人気K−POPアーティスト・SUPERNOVAが選ばれ、昨年12月に東京・新木場スタジオコーストでスペシャルライブが開催された。

　Ankerグループは2011年創業のスマートフォン、タブレット関連製品等の開発・販売を行うハードウェアメーカー。モバイルバッテリーやスピーカーなど、その品質と価格、サポートのバランスの良さがモバイル世代を中心に支持されている。そんな同社が昨年4月にオーディオ製品に特化した独立ブランドとして立ち上げたのが「Soundcore」。Ankerのノウハウや技術を受け継ぎながら、最先端のオーディオテクノロジーを駆使したこだわりの音質をリーズナブルな価格で提供している。

　UMとのコラボ第１弾ライブでは、通常の公演チケットのほかに、Bluetoothスピーカー「Soundcore Motion B」のSUPERNOVAオリジナルデザインモデルがセットになったスペシャルチケットが数量限定で販売された。

　猿渡氏は「オリジナルデザインモデルは、単にステッカーを貼っただけなどの簡易なものではなく、工場出荷レベルでロゴを刻印したハイグレードな作り。アーティストグッズとして限定感を出せるものになり、その音質とともに多くのファンの方々に喜んでいただきました」と語る。通常チケットとの価格差は約3000円。量販店やECで販売されている「Soundcore Motion B」は6000円前後であるため、お得感も十分と言えるだろう。

■ハード面から音楽業界に貢献できる企業でありたい

　アンカー・ジャパンと音楽業界とのコラボレーションはこのプロジェクトが初となる。

「本ブランドがオーディオ業界で実現していこうとしていることや製品作りのこだわりにユニバーサル ミュージックが共感してくださり、双方にメリットがある形の協業ができると声をかけてくださったのです。弊社としても、ブランド認知を広げていくためには、マスに広告を打つだけでなく、一般ユーザーに内側からメッセージを伝えられる施策が不可欠と考えていたタイミングでした。その点で言えば、大好きなアーティストをきっかけに出会ったブランドは、その先の消費行動にも大きく関わってくるはずで、ライブはとても相性がいい。実際、ライブ後のSNSでは『スピーカーがよかったから、次にイヤホンを買うときは「Soundcore」にしてみよう』といった声が上がっていました」

　同ブランドの魅力の１つは、前述の品質とコスパのバランスにある。
「ストリーミングサービスの普及で音楽をより手軽に楽しめるようになりました。弊社のモットーは、幅広いユーザーの等身大な音楽ライフに寄り添える製品を提供すること。音楽業界はソフト面からオーディオ業界を支えてくださっています。ですから我々は、ハード面から音楽業界に貢献できる企業でありたい。ソフトとハードがタッグを組むプロジェクトが、互いの市場を盛り上げるきっかけになればと考えています。目指すのは、ハードとソフトの幸せな関係の構築です」

　なお、詳細は未発表だが、UMとのプロジェクト第2弾、第3弾ライブも年内の実現に向けて動き出している。音楽ジャンルは問わず、都会的で洗練された「Soundcore」のブランドイメージとベクトルの近いアーティストを選出したいとの意向だ。

　さらに、ライブ以外にもソフトとのコラボは、この先も幅広く積極的に展開していきたいとする。今後、どんな音楽とのコラボでシーンを盛り上げてくれるか楽しみだ。
（文／児玉澄子）