「平成」の元号では最終作となる『仮面ライダージオウ』まで、平成仮面ライダーシリーズとともに時代を振り返る。第11作は、平成21年＝2009年9月6日から全49回放送（〜10年8月29日）された『仮面ライダーW（ダブル）』。

　風の街・風都で多発する奇怪な事件。それはUSBメモリ型の特殊なアイテム「ガイアメモリ」を用いて超人的な力を手に入れた怪人「ドーパント」によるものだった。ハードボイルドになりきれないハーフボイルド＝半熟な私立探偵・左翔太郎（桐山漣）の元には、今日もやっかいな依頼が持ち込まれる。そして、翔太郎は、相棒のフィリップ（菅田将暉）と2人で1人の仮面ライダー、Ｗへと変身し、事件を解決へと導いていく。

　次の10年に向けてのスタートとなった仮面ライダーWは、仮面ライダー1号をはじめとする昭和ライダーに通じる“正統派”のデザインで、物語はコメディー要素を取り入れた上質な探偵ドラマだったことから、大人の男性ファンも魅了した。テレビシリーズ終了から約8年が経った2018年現在、『週刊ビッグコミックスピリッツ』（小学館）で連載中の続編漫画『風都探偵』（原作：石ノ森章太郎、脚本：三条陸、作画：佐藤まさき）の中で広がっている。

　平成21年は、「草食系男子」ということばの認知度が深まり、新語・流行語のトップ10入り。相対する言葉として肉食系女子も登場した。前年の8月に原宿に「H＆M」日本初出店、続いてこの年の4月、渋谷に「FOREVER 21」の日本1号店がオープン。ユニクロ、GAPなども含めファストファッション（安くて手軽なファッションのこと）がブームとなる。

　また、深夜アニメとして放送された『けいおん！』が大ヒット。原作はかきふらいの4コマ漫画で、アニメ化を機に関連CDがオリコンランキングの上位にランクインし、関連するキャラクターグッズもバカ売れ、デニーズやローソンなどとのコラボレーションも行われ、現実の軽音楽部の部員が増加するといった現象も表れるなど、けいおん！ブームが巻き起こった。同アニメは、22年（2010年）4月からアニメ2期、23年（2011年）には劇場アニメが公開される。テレビアニメがポップカルチャーのど真ん中にいる時代へとつながっていく。

　奇しくも平成21年（2009年）は、アニメ化を機に社会現象となる『進撃の巨人』の作者、諫山創氏が漫画雑誌『別冊少年マガジン』（9月に講談社から創刊）に連載を開始した年でもあった。『進撃の巨人』は25年（2013年）にアニメ1期、29年（2017年）にアニメ2期、30（2018年）年にアニメ3期、27年（2015年）には実写映画化もされた。