「平成」の元号では最終作となる『仮面ライダージオウ』まで、平成仮面ライダーシリーズとともに時代を振り返る。第8作は、平成19年＝2007年1月28日から全49回放送（〜08年1月20日）された『仮面ライダー電王』。ライダーなのに電車に乗ったり、ライダーのデザインモチーフが桃太郎などのおとぎ話だったり、意外性だらけで大反響。主人公・野上良太郎を演じた佐藤健や、イマジンの声を担当した声優、スーツアクターたちも人気を集めた。

　未来からの侵略者「イマジン」。彼らは過去を改変することで未来を変えようとしていた。謎の乗車券「ライダーパス」を拾った”運がとてつもなく悪い”青年・野上良太郎は、時を越える列車「デンライナー」と遭遇し、イマジンのモモタロスに憑依されてしまう。だが良太郎は、自分に憑りついたイマジンの制御や、仮面ライダー電王への変身が可能な存在「特異点」であった。良太郎はモモタロスをはじめとする味方のイマジンたちと協力しながら、時の運行を守る戦士・電王として戦いを繰り広げる。

　赤鬼のような姿をしたモモタロスをはじめ、一見禍々しい独特な見た目から、関俊彦・遊佐浩二・てらそままさき・鈴村健一ら、人気声優のかっこいい声が聞こえ、時にコミカルな仕草も見せたライダー側のイマジンたちは、声優ファンやスーツアクターファンといった新たなファン層を開拓。これまでのライダー人気を超えた「電王」ブームを巻き起こした。

　平成19年には、1月に東国原英夫が宮崎県知事となり、所信表明の「どげんかせんといかん」はその年の新語・流行語年間大賞となった。2月に日本テレビ『世界の果てまでイッテQ！』がゴールデンに進出。イモトアヤコが珍獣ハンターとしてブレイクする。2月18日には『第1回東京マラソン』が開催された。

　前年（平成18年＝2006年）に独立系UHF局で放送されヒットした『涼宮ハルヒの憂鬱』に続き、京都アニメーションによる『らき☆すた』が4月から2クール放送され、ファンが作品の舞台となった土地を訪れる聖地巡礼ブームを切り開いていく。8月にバーチャルアイドル「初音ミク」が誕生。9月には庵野秀明氏が前年に立ち上げたスタジオカラーの第1作として製作された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：序』が公開された。

　『M-1グランプリ』ではサンドウィッチマンが敗者復活戦から優勝。大みそかの『NHK紅白歌合戦』には、ハロー！プロジェクト10周年記念でモーニング娘。がBerryz工房、 ℃-uteとともに出場（これ以降、平成30年まで出場なし）、AKB48が初出場し、この年に亡くなった坂井泉水さん（ZARD）のフィルムコンサート中継も行われた。

　海外では、米国でサブプライムローン問題が深刻化。翌年（2008年）９月に証券大手のリーマンブラザーズが倒産し世界を驚かせることになる（リーマンショック）。