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【まんぷく】音楽・川井憲次、通天閣も曲作りのヒントに

 NHKで放送中の連続テレビ小説『まんぷく』(月〜土 前8:00 総合ほか)の音楽を担当しているのは、川井憲次。映画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』やテレビアニメ『機動警察パトレイバー』、テレビドラマ『科捜研の女』シリーズなど、幅広く作品を手がけるサントラ界の大御所だ。『まんぷく』の音楽を作曲するにあたって、どのようなイメージ・インスピレーションを受けて作業をしているのか、聞いた。

■萬平や福子を積極的に後押しできるような音楽を

 連続テレビ小説は『梅ちゃん先生』(2012年前期)の時もそうだったのですが、「本当に僕でいいのかな」と思いました。“朝ドラ”といっても、作品によってテーマは違うので、2回目という意識は特にありません。ただ、大河ドラマ『花燃ゆ』(15年)でご一緒したチームだったので、意思の疎通がすでにとれているから、入りやすかったです。

 最初に3週分の台本を読んで、萬平の、何か物を作り出す人が持っている前に進む力強さと、そういう人に力を貸してくれるまわりの人々のエネルギー、そして、萬平を支える福子の健気さ、かわいさなどが伝わってきました。それで、まず、「福子のテーマ」(仮)と「萬平のテーマ」(仮)を、自分なりに作って、最初の打合せに持って行ったんです。

 幸い、スタッフの皆さんにも気に入ってもらえて、方向性が見え始めました。作曲時に見たテストテイク(映像)からは、安藤サクラさんの個性的な印象と、福子の強さ、萬平のちょっと変わり者なところなどが、感じられました。コミカルさもあり、たぶん、2人のドタバタもありそうだなと思い、そのあたりも音楽に盛り込んでいきました。

 最初の打合せで、音楽全体のキーワードとして明治末期に開業した遊園地の「新世界ルナパーク」という言葉が出てきました。実際にパークがあったのは大正時代で、ドラマの昭和時代とはズレがあるのですが、それはそれとして、かつての日本人が抱いていた欧米への憧れと、華やかな大阪ならではのパワフル感、そこに息づく日本人のDNAなどを音楽で表現できないかと。それにはジャズがいいね、という話も出ました。ただし、あくまでも日本人のDNAを感じさせるジャズです。

 さらにそこに、大阪のコテコテ感もプラスしていきたいということで、打ち合わせ直後にかつてルナパークのシンボルだった通天閣に行ってみたんです。その情緒感をたよりに「メインテーマ」は、洋風でありながら、メロディーは完全に和風の曲に仕上げました。エネルギッシュでバタ臭い、でもどこか郷愁を感じさせる曲がいいなと思って。僕は大阪のあたたかさやパワフル感は大好きで、それをいかに表現するかのヒントを通天閣からいただいたような気がします。

 そして「福子のテーマ」は、バイオリンのソロで、女性らしい芯の強さを表現し、「萬平のテーマ」は、常に遠くを見て前へ進んで行く萬平の生き方を表現してみました。特にちょっと変わり者の萬平の“飛んじゃってる”ところも、ホルンなどブラス系を加えて突き進んでいく感を出してみました。今回、特に全体的に悩んだのは、情緒を持たせつつ、いかに明るくしていくか、ということでした。しかも元気さも感じられる音楽にしたいわけですが、その3つはベクトルがそれぞれ異なります。ただ無難に鳴っている音楽ではなく、萬平や福子を積極的に後押しできるような音楽をドラマのスタッフの方々と相談しながら作っていきました。

 音楽を通じて当時の大阪の雰囲気を、ぜひお楽しみいただけたらと思います。



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