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きっかけは立川談志への憧れ 36歳で落語家になった“元ピン芸人”立川只四楼の挑戦

 立川談志に憧れて、落語家になる…。これ自体は特別なことではないが、妻子のある36歳のピン芸人が、その志ひとつで落語家への転身を図るとなると話は別だ。かつて「メンソールライト」という芸名で活動していた男は、落語界の門を叩き、立川只四楼(39)という名前で活動を始めた。それから3年の月日を経て、あさって13日に東京・ムーブ町屋で二つ目昇進お披露目会を行う。落語家として着実にキャリアを積み上げている只四楼のこれまでとこれからに迫った。

立川只四楼

立川只四楼

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 「談志師匠が好きで聞いていまして、落語そのものにも興味を持ち始め、その頃はピン芸人として活動していたのですが、落語をやりたいという気持ちが強くなりました。ネタも落語のような漫談をやっていたので、中途半端にやるんだったら入門しちゃったほうがいいなと」。どの一門に入るかは自明のことだった。「やっぱり、談志師匠から入っているので、立川流に入ろうと決めていました」。

 弟子入りを目指し門を叩いたのは、立川談四楼(67)だった。「40年以上落語家として活動されているので、落語がおもしろいのは確かじゃないですか。それプラス、師匠は文才がすごかったんです。本がめちゃくちゃ読みやすくて、私は『シャレのち曇り』という初の小説集を読んだのですが、女の人の描写などが本当にすばらしい。だからここだけの話、落語は聞かずに入門のお願いに行きました(笑)」。

 夏の暑さ真っ盛りの2015年8月、覚悟決めて談四楼のもとを訪れた。「1回断られて、もう1回行っても断られ、最後は雨に濡れながらお願いするみたいな話をよく聞くじゃないですか。そんなことは全くなかったです(笑)。『弟子にしてください』と言ったら、あっさりと『いいよ。10月になったら涼しくなるから、それから来てね』と了承してくれました。その時は拍子抜けしたのですが、後々聞くと、36歳で妻子持ちと言った時点で『覚悟が違うな』と思ってくれたらしいです」。

 入門から2ヶ月後の12月に初高座を迎えた。「いやーもうキンキンにスベリました。全くウケなかった。今思えば、その噺が私に合ってなかったとわかるのですが、当時は『あれ、向いてないのかな?』とか感じちゃいました。芸人の時だと、ネタ時間は3〜4分くらいですが、落語だと15分なので、そんなに長い間ずっとスベっていると、さすがに自信もなくなりますね」。そんな只四楼に転機が訪れたのは、初高座から3ヶ月後だった。

 「その時にやった噺で、芸人としてやってきた期間も含めて、今までで一番ウケたんです。ちゃんとした大人の前で、15分ドカンドカンウケて『やっぱり、落語ってすごいんだな』と。不思議なことに、小学生の前でやってもウケるんですよ。その時から、気持ちも変わってきて、これは手に職というか、ちゃんとしたものになるから、頑張ろうと思うようになりました」。

 一般的には、前座でやるべきではないことにも「やっていいよ」と寛大に許可する師匠・談四楼からはどういった言葉をかけられているのか。「芸人やっていたので、どうしても噺の中にギャグを入れちゃうんです。本当は前座のうちは入れるものではないのですが、反応はあるんです。師匠は『それを続けろともやめろとも、今の段階では言えないけど、ウケるという状況があるなら、続けるだけ続けてみろ。でも、いつかは壁にぶち当たる。その時は、ちゃんと古典芸能というものをやってきたものが強いから、迷わず古典落語をちゃんと普通にやればいい』と言っていただきました」。

 今年に入って、弟弟子も2人入ってきた。入門してから丸3年が経ち、満を持して二つ目に昇進する。13日のお披露目会には、片岡鶴太郎がゲストとして登場し、落語を披露する。「爆笑問題さんのタイタンライブで落語をやっていましたが、1回インフルエンザになって延期になったでしょ。今回も、1ヶ月前に左ひざの半月板損傷の手術をされて、ヨガやっているのに、どれだけ弱いんだと言いたいですね(笑)。ただ、談志師匠が昔『鶴太郎の落語はいいよ』と褒めていて、タイタンライブの落語もすごく良かったので、楽しみです。落語は羽織を脱いでいって、本題に入っていくのですが、鶴太郎さんにはどんどん脱いでいってヨガを始めてほしいですね(笑)」。

 もちろん、自身も落語を披露する。「二つ目ということなので、30分くらいの長尺の人情噺を初めてやろうかと。前座だと滑稽噺しかできなくて、二つ目になったら人情噺もできるので、挑戦してみようと思っています」。これからの目標も明確だ。「基本的には、落語は(時間が)長くておじいちゃんの話というイメージがあると思うので、幅広い人に親しみやすいものにしていきたいですね。講談師の(神田)松之丞兄さんも、若い子でも聞けるような環境を作ったように、7〜8分の尺で、テレビでも通用するような落語をやっていきたい。うまい描写とかで比べたら、太刀打ちできない人がいっぱいいるので、5分なのに古典落語の世界観に触れられるような噺ができる落語家になりたいです」。12月8日には、東京・スペース銀座での独演会も決定。立川只四楼の快進撃が、これから始まる。

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