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日テレ『1周回って知らない話』の舞台裏 ゴールデンで戦うために必要な演出とは?

 お笑いタレントの東野幸治がMC、フリーアナウンサーの川田裕美がアシスタントを務める日本テレビ系トークバラエティー『1周回って知らない話』が、きょう3日に2時間スペシャルを放送する(後7:00〜8:54)。ゲストには高嶋ちさ子田中圭遠藤憲一が出演。高嶋は家族が実家に大集合した様子を密着、田中は“最強占い師たち”が「この先」をガチ占い、遠藤は俳優養成学校で殺陣を勉強するという多彩な企画が行われているが、そもそもこの番組のスタート時はMCとゲストの“トーク”がメインだった。2016年9月にレギュラー放送を開始してから、3年目を迎えた番組の「1周回って知らない話」に迫るべく、プロデューサーの原司氏に話を聞いた。

日テレ『1周回って知らない話』の舞台裏をプロデューサーの原司氏にインタビュー (C)ORICON NewS inc.

日テレ『1周回って知らない話』の舞台裏をプロデューサーの原司氏にインタビュー (C)ORICON NewS inc.

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■特番時からブレないタイトル 東野幸治のMC力の魅力とは?

 2014年の年末に特番として放送。当初から変わっていないのは、そのキャッチーなタイトルだ。「トライアル(お試し)の番組であれば、レギュラー化されるにあたってタイトルを変えることが多いのですが、この番組に関しては最初の企画書の時に出てきたタイトルから一切変わっていません。今、番組の総合演出をやっている内田(秀実)が考えたのですが、ワードのわかりやすさと内容が伴っていたので、それをどうやって形にしていこうかという具体的な部分を考えていきました」。

 「もはや当たり前になりすぎていて、今さら誰も説明してくれない1周回って知らない話」を“今どきの視聴者”にかわってMCがゲストにぶつけるというのが、番組の核。この内容ゆえに、必然的に誰もが知っているような、いわゆる“大御所”がゲストとして登場してくることになる。そこで必要となるのが、ズバズバと切り込んでいくMCの存在だ。ここも“企画書”通り、東野に決まったことが大きかったと原氏は語る。

 「大御所の方や、ちょっと下手に触ると怒られてしまうようなゲストの方に、いかに直接的なヒリヒリするような質問をぶつけられるかという時に、人の懐に入って、いつの間にか目線を同じにして、聞けない話を引き出してくれる東野さんの技術がぴったりだなと。そこで実際にやってみると、黒柳徹子さんや大竹しのぶさんといった、普通のMCだとスッと入れない可能性があるゲストの方に対しても、収録が始まって2〜3分でもう話しやすくなっている魔法みたいな感じがあって、偉そうな言い方になってしまいますが、改めて『このパッケージを回せるのは東野さんしかいない』と確信しました」。

 『ワイドナショー』(フジテレビ)をはじめとして、今ではMCとしてのポジションも確立している東野だが、そのきっかけとなったのは何だったのだろうか。原氏は本人に直接尋ねてみたという。「僕は、今田(耕司)さんと一緒にコントをやっている時代の東野さんを見ているので、破天荒でめちゃくちゃやって、台本とかゲストとかを無視してっていうイメージが強くて…。どのタイミングで、それが変わったのか気になったんです。そうしたら『40歳を超えて、子どもも大きくなってきてから自然に』とおっしゃっていました。たぶん、今でも腹黒いし、スキがあればひどいこと言ってやろうと思っていらっしゃるかもしれないですが、この番組に関しては徹底的にゲストの目線に立って、ゲストが話しやすい環境を作るという、ホストとしてのお仕事をしてくださっています」。

■番組の方向を決めた“和田アキ子”ゲスト回 長期化のカギは人気企画にあり

 原氏いわく「今の日本テレビのバラエティーの中では、一番MCとゲストとの距離が近い」というセットも特色のひとつ。「『人を深掘りする』というコンセプトを表現する意味も込めて、ちょっと動くとひざが当たるくらいの距離にしています。ものすごく近いので、もし最初の2〜3分で『この人に聞かれたくない』とゲストの方が感じたら、たぶんずっと嫌な気分のままですよね。それくらい特殊な距離感なので、それを活用できるのは東野さんしかいないんじゃないかなと。ちょっと突っ込みすぎた時には、東野さんがその場で土下座をするという展開もあったりしたのですが、この距離感だからこその説得力のようなものがありましたね(笑)」。

 数回の特番を経て、2016年9月から毎週水曜午後7時というゴールデンタイムでレギュラー放送がスタート。順調に進んでいくかと思いきや、1年間という1周回るタイミングを前にして“ある悩み”が生じてきた。「基本的には大御所を呼んで、そのヒストリーを振り返る番組だよねっていうのがあったのですが、1年経って出ていただきたい方にひと通りお声かけし終えたという状況になりました。一方で、今をときめく人気俳優さんにオファーすると100人中90人は『まだ、うちは1周回ってないので』とおっしゃっていて…。その辺の意識は僕らとしてはあまりなかったのですが、『1周回って』の使い方が一方向だけだと、来ていただけるゲストの幅が狭くなってしまうなということは考えました」。

 そんな状況を打破するきっかけとなったのが、昨年10月18日放送のスペシャル回で和田アキ子をゲストに招いた時だった。「特番時代にも出ていただいたことがあって、その時は『なんでそんなに偉そうなんだ』というのをフックに、ヒストリーを振り返ったのですが、今回は違う切り口でやらないといけない。そこで、2回目は歌手・和田アキ子をテーマにしました。密着してみると知らないことがザクザク出てきて、ご主人にも取材したいとお願いして、初めてそのなれ初めをドラマ化しました。その時に、同じゲストの方でも複数回出ていただけるということや、必ずしもその歴史をたどっていく必要はなくて、もっと純粋にその人の1周回って知らない一面ということにスポットを当てることもできるなと気付きました。そこを拠点にゲストの幅も広がりましたし、見せ方のパターンも増えました」。

 そこからは、誰もが知っている番組にスポットを当てた回、スタジオを飛び出してのロケなど、「1周回って知らない」というワードを活用して企画の幅を広げていった。「本当はトークだけでも十分面白いと思うのですが、例えば2時間スペシャルでずっとトークとなると、情報量が多すぎて、視聴者の方も疲れちゃうかなと。水曜の夜7時という時間帯の特徴を実践しながら勉強していく中で、いろんなバリエーションで見せることが必要だなと感じました。今は楽しく見てもらう、家族の中で誘い合ってもらえるような番組になってきたかなという感覚はあります。黒柳徹子さんがゲストの回と、DA PUMPさんがゲストの時を比べると、当然視聴者の層は違ってきて、前はそのギャップがすごくあったのですが、最近は若い人と年配の方のバランスも少しずつ良くなってきていますね」。

 レギュラー開始から2年が経ち、番組の骨格も固まってきた中で“3周目の課題”も明確に見えてきた。「2年目でうっすらと見えてきたオリジナリティーを、3周目では徹底して、うちにしかできないことをやるっていうこと。もうひとつの課題としては、毎週見てもらえるような企画を作ることですね。『イッテQ』でイモト(アヤコ)さんがやっている珍獣ハンターや、『鉄腕DASH』のDASH村などのような看板企画を生み出したい。ゲストに100%頼りきりという段階では、番組の4周、5周はないので、企画・切り口で勝負する段階に入ってきているなと考えています。今までは『この人だから見よう』となっていたところを『きょうもこの番組を見よう』と思ってもらえるように、頑張っていきたいです」。

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