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YU-A、子育てと音楽活動の両立 “時短歌手”としての生き方語る

 シンガーソングライターのYU-A(32)が5月に3年ぶりのミニアルバム『OFF』を発売した。30代に入り、妊娠、出産を経験し、作品へ込める思いも変化。また、曲作りにも「育児をして煮詰まったら、制作をする。制作をして煮詰まったら、この子がいいリフレッシュになる」とポジティブな影響があったことを明かした。

長男と笑顔で一緒に映るYU-A

長男と笑顔で一緒に映るYU-A

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■3年ぶりのアルバムで“大人”に「好きなことで食べていくって本当に大変」

 5月31日には東京・渋谷でトーク&ミニライブも開催。「久しぶりだったのに、イベント自体もアットホームで温かく迎えてくれて正直、ホッとしましたね」と笑顔で振り返った。3年ぶりのミニアルバムについては「今までは、コンセプトを決めて、それに伴ったものを1曲ずつ作っていくというスタイルだったんです。でも、今回は曲がどんどん集まってきて、気づいたら『こんなに集まったね。じゃあ、アルバムを作ろう』といういつもと逆の流れでした。新鮮でしたね。30歳前後って変わっていく時期でもあって、そういう心情をギュッと詰め込んだ1枚になりましたね」と魅力を語った。

 昨年5月に長男を出産。「どれもリアルタイムの曲でしたね。『君に詠フ』は子どもが生まれて、自分以上に大切な存在ができて書けた曲でもある。今までのアルバムも等身大だと思ってきたんですが、20代なのでどこか自分でかっこつけていたのかな。このアルバムが一番、ナチュラルなのかなって思いますね」とミニアルバムに込めた思いを口にした。

 来年はソロ活動を開始して10年という節目の年でもある。「昔は本当に怖いものが何もなかった。『やってやる、イェーイ』みたいな感じ」という。当時は怒りのパワーから曲が生まれることが多かったそう。「いろんな理不尽な出来事や『大人たちはみんな敵だ』みたいな中二病みたいな」と苦笑い。そんな時期も越え「25歳、26歳でいろんな壁にぶち当たった時期もあった。20代前半は自分という存在と現状を認めることができなかったんですけど、その壁によって認めざるを得なくなった。『私ってこういう人間なんだ』って向き合うようになった」。

 多くの経験を踏まえ、作品作りも変わった。「このアルバムではNYLONさんとのセッションもあるんですけど、せっかくなら私の意見だけじゃなくて先に提案してもらって、それを取り入れたいなと思うようになった。20代なら、ありえないことでしたね。自分のイメージが絶対だったし、そこに自信があった。それは、それで勢いがあったんですけど、合わせる楽しさも感じられるようになった。この10年で、すごく大人になったなという気はしますね」。10年という月日については「好きなことで食べていくって本当に大変。泣いても来ましたけど、その分すごく支えられていたなと思いますね」と本音を口にした。

■子育てと作品制作の両立 “時短歌手”としての生き方

 制作の現場も様変わり。子どもがいるため、以前のように時間をかけることができなくなった。「子どもがいても、手伝ってもらいながらやれている環境には、すごく感謝だなって思いますね。レコーディングはなかなかOKを出せないタイプでした。ワンフレーズを納得いくまで歌っていました。今回はOKテイクを3本なら、3本と決めて、とりあえず録る。全部、終わって、その中から選んで作っていく感じでした。集中して、そっちの方がダラダラ録るよりよかったりするんです。10テイク録っても結局、使うのは2テイク目だったりするのは“あるある”なんです。のどの負担もありますし、集中する方がよかったですね」とポジティブな変化を語った。

 そして「無駄な時間はなくなりましたね」ときっぱり。「育児をして煮詰まったら、制作をする。制作をして煮詰まったら、この子がいいリフレッシュになる。どちらかではなく、両方やることが、いいメリハリになりましたね」と自信を持って言い切っていた。

 自身の経験を踏まえ、子育てと仕事の両立の難しさを語る。「表では育休ができたり、上辺ではウェルカムですけど、実際は気を遣ってしまう。自分の現場では、すごく助けてもらっていますけど、自分の現場じゃないところでは『全然、いいよ!』みたいなところもあれば仕事場なので渋い顔をするところもある。そういうところで女性が子どもを産んで働くのは本当に本当に大変なことなんだなっていうのは感じましたね」。

 雇い主の思いも理解する。「会社側の感覚もわかります。そりゃそうだよなって。ママ友でアパレルでデザインをやっている方なんですけど、育休で一度そのポジションを抜けちゃうと、同じポジションでは働けなくなって自分の好きなデザインができなくなった。会社的には、その人がいなくなったら、その分、誰かを入れなきゃいけなくなる。その人に『戻ってくるから辞めて』とも言えないわけじゃないですか。戻れなくて困る人の気持ちも経験して、わかりましたね」。すぐに解決できる問題ではないが、改善すべきと訴えた。

■ショートフィルム出演の成田凌森川葵に感謝

 DVD付きのType-Aにはショートフィルムが含まれている。「今回は成田凌くんと森川葵ちゃんに出ていただいた。監督が私の曲を聴いた上で脚本を書いてくれた。内容的には夢を追う彼、それを支える彼女。でも彼女がどんどん大人になっちゃって、逆転しちゃってという、20代の男女にありがちな展開で、こういうのあるなぁって思いましたね。すごく共感できましたね。せりふもあってMVでは表現しきれない部分もあって、新しい挑戦になってよかったなと思いましたね。2人とも、すてきでいい俳優さんだなぁと素直に思いました」と感謝した。

 「仕事を10年やった。悪い言い方をするとマンネリ化もしていた。丸1年休ませてもらったことは初めてで、どこか初心に返らせてもらった。また、歌う楽しさや制作するときに発見を新鮮に感じられましたね」と心機一転な本作を語った。「立ち止まった瞬間に聞いてもらえたら何か刺さるものがあるんじゃないかなと思います。曲によってはつらいことも言っているんですが、グサっと刺さってもいいんじゃないかと思って私は書きました。落ちるときは泣いてもいいし、それで次へ行こうと。迷ったときに聴いてほしいですね」。

 歌手も子育てもフル回転。周囲のサポートに感謝しながら、これからもYU-Aは音楽、私生活に全力で取り組んでいく。

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