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真瀬樹里、母・野際陽子さん亡くし1年 思い出すのは「楽しくて陽気で三枚目」な姿

 昨年6月に亡くなった野際陽子さん(享年81)の長女で、女優の真瀬樹里(43)が、5月21日に著書『母、野際陽子 81年のシナリオ』(朝日新聞出版)を出版した。知られざる一面など盛りだくさんの内容で真瀬は「楽しい母を紹介できたかな」とアピールした。

母・野際陽子さんを語った真瀬樹里 (C)ORICON NewS inc.

母・野際陽子さんを語った真瀬樹里 (C)ORICON NewS inc.

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■厳格さのあった母としての野際陽子さん それでも「思い出すのは面白いこと」

 死去から1年という月日が経った、このタイミングでの出版。きっかけは、とあるひと言だったという。「『野際さんの人生を綴った本を出しませんか』と。最初は絶対にありえないと思ったんですけど、いろんな人に相談すると、ほとんどの人が『ステキだと思う』という意見でした」。野際さんは生前に数多くの作品に出演した。「母がいなくなったという実感はあまりなかったんです。いろんな作品の中で母は生きているような気がして…」。

 一方で、「母が生きた証は、この職業だといっぱい残っていると思っていたんですけど、それは一部でしかないなと思った。母そのものの人生をまとめたものはないと思って、1つのかたちにできたら喜んでくださる方も多いかなと思ったし、私自身の宝物にもなるかなって」という。その思いは次第に強くなり「考えれば考えるほど作りたいという意思に変わりましたね」と経緯を明かした。

 本の中では、一人っ子である真瀬へは厳しい接し方をするときがあったことも告白した。「キツかったですけど、世の母は怒るもの。ただ、猫可愛がりするときと怒るときは両極端だったと思いますね。ほかのお母さんと比べても、怖さのレベルはうちは結構なものだったのではないかと思います」と回想する。30歳で真瀬が重圧に耐えきれず、野際へ思いを隠さずに打ち明けるシーンが印象的に描かれている。「あのときに親子の関係が完全に変わりましたね。それまでは母親でした。20代になって友達みないなときも多かったですけど、遠慮しているところもあったし、いい子でいなきゃという意識があった。そこからは母、友達という部分もありながら、お姉ちゃんや親友みたいで恋人みたいな部分もありましたね。今までの分を取り戻すように甘えたい放題に甘えたので」と懐かしんだ。

 そして、紆余曲折ありながらも愛した母が亡くなり、1年。今、あらためて野際さんについて聞くと、こう返ってきた。「いろんなことを本では書きましたけど思い起こすのは、やっぱり面白い人だったなということ。楽しくて、陽気で三枚目でしたね。そういうことばかりが残りますね。子供の頃から厳しかったし、怖かった。でも、24時間、怒っているわけではない。こうやってお話させていただいている度に、もっともっといろんなことあったな〜、と思い出すのは面白いことですね」。

■野際陽子役に込めた思い「ホントの母を表現できたら」

 昨年放送の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』(テレビ朝日)に、野際さん役で出演した真瀬。その姿は「野際さんの生き写しのよう」「そっくりすぎる」と話題となった。「外見は、ずいぶん前から似てると言われた。私自身は似てると思ったことはないんですね。母も同じように『どこが似てるのかな』って」と苦笑い。それでも「年齢を重ねれば重ねるほど、ふと鏡を見た瞬間とかに今の目つきが似てるなってときはありましたね」。役者として誰よりも知っている母を演じるため、できるベストを尽くした。

 口に手を当てる動きや、首の傾け方など細かな部分までこだわったという。「外見だけ似せるだけではつまらない。たぶん素の野際陽子は私が1番、知っていると思ったので私にしかできないホントの母を表現できたらなって思いました。外見だけでなく仕草や雰囲気は意識しないと似ないところ。外見じゃなくて、そういったところを褒められたときはうれしかったですね」と満足げな笑顔を見せた。

 一方、苦労したのは「声質ですね。私は低音でハスキー。母はピンって通る高音なので」という。「役者として声のダメ出しが1番多かったです。『ハスキーでも低くてもマイクに乗りやすい声があるんだ』と。どうやってやるのか聞いたら具体的には教えてくれなかったですけど(笑)」。

■アニメにハマり声の大切さを思い返す 声優業は「チャンスがあれば」

 そんな母の教えを、あらためて実感することもあるそう。「今、私がアニメや声優さんに興味が出てきて、声優さんのラジオを聞いたりしていると、『マイクに乗る声』というフレーズが出てくる。声のプロはやっぱりそうなんだと思った。私が難しいこと言われていると思ったことを声のプロフェッショナルの方は当たり前のこととしてやっているんだなと思って、まだまだだなって思いましたね」と明かした。

 アニメにハマったきっかけは幼少期に見た『ドラゴンボール』を再視聴したことだ。「子どものときは『悟空がかわいい』とか『ドラゴンボール集めが楽しい』って感じで見てましたけど、大人になってちゃんと見たらこんなに深い物語なのかと思って(笑)。何回も泣いて感動しました」。

 そこから得たものも多い。「何を見るにしても、お芝居を見てしまうので声優さんたちのお芝居が本当にすごいと思った。特にドラゴンボールの声優さんたちは大御所の方ばかりで、なんて達者な人たちなんだろうと思った。あらためて見て衝撃でした」と今だからこそ思うことを口にした。「母に声のことを言われていたこともあって、声にコンプレックスがあるんです。なので、声で表現することに興味がある。コンプレックスを乗り越えて個性にしたいという思いもあります。やっと『あなたの声は個性』と言われるようにもなってきたので1つ、モノにしたいなと思っていた」と話し、声優業について「挑戦はしてみたいです。低音なので絶対に自分の姿ではできない少年とかをやってみたい」と夢を語った。

 ただ、大好きな業界なだけにリスペクトもする。「(今の)声優業界は映像より厳しいと言われている。ものすごい競争率。声優の勉強を専門にしてない人が入っていいのかなとも思う」と謙遜し「チャンスがあれば」と話すに留めた。

 芸能界で生きる厳しさ、そして楽しさを教えてくれた母・野際陽子という存在。「生き生きとした素顔のままの野際陽子を伝えたいと思った。母も、それを1番喜んでくれると思う。だから、気取ったり、作ったり、盛ったりしていない楽しい母を紹介できたかな。書いてる途中に私自身が何回も吹き出しちゃったエピソードがいっぱいあるので、楽しく読めると思います」。野際さんが残したものは真瀬を介し、色褪せることなく輝き続ける。

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  • 母・野際陽子さんを語った真瀬樹里 (C)ORICON NewS inc.
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