フジテレビが5日、4月期の番組改編説明会を都内の同局内で行った。キャッチコピーは『変わる、フジ。変える、テレビ』。イメージキャラクターにボクシングWBA世界ミドル級王者の村田諒太選手を起用し、苦戦が続く状況からの脱却を図ったシンプルなメッセージとなった。昨年10月期の改編説明会で『非常事態』宣言をした立本洋之編成部長は「危機感に関してはずっと全社員が持っている。常にその意識を持って取り組まないとどうしようもないというところではないか」と覚悟を持って大改革に踏み込む。

　「キャッチコピーをシンプルでストレートなものにしたのは、飾ったり四の五の言っても仕方ない。外に向けての決意表明、中に向けて当然『後はない』というのを再認識しようと。ストレートすぎてざわついたりしましたが、あえて普通のキャッチコピーにした。今のフジテレビへのイメージを変えることは本当に難しい。視聴者のみなさまに見ていただけるようになるには、時間がかかると思う。一つひとつ真摯（しんし）に思い上がることなく、見ていただける番組をつくるしかない」。

　その言葉通り、春からの改編率は全日（前6：00〜深0：00）28.2％、プライム帯（後7：00〜後11：00）は29.5％、ゴールデン帯（後7：00〜後10：00）は29.8％。ゴールデン帯は3割に迫る勢いで、なかでもバラエティーの刷新が目を引く。『めちゃ×2イケてるッ！』（毎週土曜　後7：57）、『おじゃMAP!!』（毎週水曜　後7：00）、『ウチくる!?』（毎週日曜　正午）、『とんねるずのみなさんのおかげでした』（毎週木曜　後9：00）などの長寿番組が、看板を下ろす。

　特に『めちゃイケ』『みなおか』について改めて思いを聞かれた立本氏は「感謝の念しかない」とコメント。「元々バラエティー志望でしたので、目標というか自分のベースになっている番組」と熱い思い入れを語りつつ「二つの番組が生まれたときも、新しい何かが生まれるとして出てきただろうし、若手ディレクターやプロデューサーが次の番組を作っていかなければいかない。時代に合わせて新しいことをやっていく。幅広い視聴者のみなさまに見ていただける番組を作らなればならない」と新番組の育成をイチから目指す。

　一方で『梅沢富美男のズバッと聞きます！』（毎週水曜　後10：00）や坂上忍がMC『直撃！シンソウ坂上』（毎週木曜　後9：00）、林修がMCの『林修のニッポンドリル』（毎週水曜　後7：57）などベテランによるバラエティーがスタートする。

　その勝算について「梅沢さんはレギュラーMCというのが新しく、幅広い層に人気がある。坂上さんも林先生も他の局さんでMCをやられていますが、我々として高年齢層だけをとりにいく不得意なことはしたくない。若年層を中心に幅広い層に広げていくことを第一にしたい」と掲げる。親しみのある番組の“終わり”は寂しいものだが、またここから長年愛される番組を目指して撒かれた種が、花開く時を期待したい。