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花田優一、背水の陣おたくの素顔 理想の父親像は貴乃花「圧倒的な何かを持った男」

 大相撲・貴乃花親方と元フジテレビアナウンサー・河野景子さんの長男で靴職人の花田優一(22)。生まれたときから肩書付きの人生を歩んできた男は何不自由ない生活から飢えを求めて米国へ行き、そしてイタリアに渡り、靴職人というオリジナリティーを得た。その歩んできた道を『生粋』(主婦と生活社)、『夢でなく、使命で生きる。根拠なき自信で壁を乗り越える68の言葉』(ポプラ社)という2冊の本にまとめた。「あの両親の元に生まれてきたことが誇り。いつまでもこの家族の一員でよかったと思うために一生懸命、うそをつかずに頑張るしかない」と思うに至った経緯を改めて聞いた。

理想の父親像を語った花田優一 (C)ORICON NewS inc.

理想の父親像を語った花田優一 (C)ORICON NewS inc.

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■何不自由ない生活から離れる決断 家族であるため「行かなきゃいけなかった」

 2冊を発売し、出来栄えについて聞くと「完成したときは、なんて天才的なんだろうって思ったんです。でも、次の日ぐらいから『あそこを、ああするべきだったな』とか書きたいことがたくさん出てきてしまった。靴作りと一緒ですね。うれしかったのはサンプルをいただいた当日だけでした」と喜びの表情と同時に不満点も語った。それでも「これを書いているのは1ヶ月前の僕。そう思えたのは、1ヶ月の間に成長できたのかなと思えて、すごくうれしい。元気のないときに読むと勇気づけられる感じがしますね」と満足感も語った。

 当初は自伝的な本の出版を依頼された。しかし、花田自身が「僕の伝記を読むんだったら父親の伝記の方が面白いと思う」と判断。そこで「恥ずかしいと思うぐらい、心の中にあるドロドロしたものからキレイなものまであるものを入れたいと思った」。『生粋』は約束された将来ではなく、靴職人という人生を選んだ“超異端児”が何を考えていたのかを知ることができる一冊。『夢でなく、使命で生きる。』は花田の生き方から生まれた“勇気をくれる68の言葉”が収められた一冊となっている。

 大横綱の息子として生まれ、周囲にはいつも大勢の人がいた。いつから自身が特殊な環境だと気づいたのかを問うと「生まれた時からですね。それが当たり前の世界。冷静に、いつからか考えてみたんですが気づいたときから、そういう環境でした」と振り返る。

 そんな何不自由ない生活から離れるという決断を下す。15歳から米国・ボストンに留学したのだ。「別に逃げたわけじゃない。生まれ育った家庭が大好き。両親も妹も大好き。その家族の一員として家族にも、そう思ってもらえるような息子であり、お兄ちゃんであるためには自分の人生を生きるしかない。逃げたわけじゃなくて、行かなきゃいけなかった」と説明した。

■渡米時に飛行機で抱いた思い「俺って一人だったら、こんな扱いなんだ」

 『生粋』には米国へと旅立つ飛行機のシーンがある。父の横でファーストクラスに座ることが当たり前だった花田がエコノミークラスの小さな席で自身の立ち位置を再認識する印象的な場面だ。「僕は食べるのにも困ったことがない。買いたいものも買ってもらった。そうなるとハングリー精神が生まれない。自分のハングリー精神を養うために、小さいころに体験していたことが、どれだけ大変なことなのかを気付かされた。俺って一人だったら、こんな扱いなんだな、と。一回、どん底の落とされた気分でしたね」。

 ボストンでは考え方に大きな変化があった。「日本人なんだって、あらためて思ったんです。海外の方を否定するわけでもないですし、日本人が世界で一番の民族だとも考えているわけでもない。でも、日本人として何かできるんじゃないか、何かしないといけないと思った」。そして「自分の身の振り方の基盤になるものは米国で得ました」と口にする。

 その後、靴職人を目指し、イタリアへ渡り、そこで靴職人のアンジェロと出会う。職人には頂点と呼べる場所がなく、道をどこまでも追い求めることができる。「職業は一つの道具でしかない。人として自分で自分を誇れるような人になるために生きていく。何かを追い求めるのが人生だと思っている」と魅力を語り「でも、それは当たり前じゃない。それをやっている師匠に出会えたことが、すごく幸せ」と運命に感謝した。

 その行動原理は精神的な飢えを追い求めるようにも見える。「15歳では精神的な飢えが苦痛だった。でも、それを達成するしか、あのころの自分には生きる道がなかった。そうすると精神的な飢えが快感になっていった。精神的な飢えはトラウマで嫌なんですけど、その先に達成感があるから手を伸ばしてしまう。中毒みたいなもんですよ」と自嘲気味に語った。そして「“背水の陣おたく”なんでね」と『68の言葉』を使いつつ、笑顔になっていた。

■父・貴乃花のような父親を目指す「いつかできる子どもたちのために」

 靴職人として靴作りが主軸。一方で、今年は芸能事務所に所属し、ラジオの仕事を始めた。そこで大きな出会いがあったという。世界的な碁盤職人の熊須健司さんだ。靴職人として表舞台に出ることの重要性について「公の場に出ることで、今どこかでテレビを見ている子どもたちが、サッカー選手に憧れるように靴職人になりたいなという子がなるべく多く増えれば」と説明する。批判の声もあるが熊須さんからは「もう職人が黙って作業するだけじゃダメなんです。発信していかなきゃ、伝統が途絶えてしまう」と激励の言葉をもたった。花田は「同業者の人に認められるのは一番うれしい評価。同業者の中でも嫌な評価を聞くことも多い。その中で世界一の職人さんに声をかけてもらえたのは生きがい。もっともっとやっていかなきゃなって思いました」と決意を新たにした。

 父・貴乃花とは「『妹は元気ですよ』などのやり取りはありますよ」と明かす。一方で「ただの親子ですよ。普通、父親と連絡しないじゃないですか」と何かと取り沙汰されることに苦笑。偉大な父と母を持つことに苦痛はなかった。「あの両親の元に生まれてきたことが誇り。僕が怠けたら、それが苦しみでしかなくなる。いつまでも、この家族の一員でよかったと思うために一生懸命、うそをつかずに頑張るしかない」と前のめりに語った。

 今年は生涯の伴侶も得た。偉大な父の元に生を受けた花田に理想の父親像を問うと「父親像には葛藤があるんです。すごくエネルギーにあふれている父親なので息子としての苦労はあります」と正直に告白。それでも「そのおかげで僕がある」と断言。「結果として自分が好きな父親の像を追い求めてしまうのかな。何も語らずサラッと行って、すごいことを成し遂げて、サラッと帰ってくる父親が一番、かっこいい。追い求める男の姿。圧倒的な何かを持ち合わせた一人の男でいることが、いつかできる子どもたちのために、できることだと思う」。

 靴職人といて生きる男が登る山の頂は、はるか先。険しい道でも一歩ずつ踏みしめるように登っていく。

関連写真

  • 理想の父親像を語った花田優一 (C)ORICON NewS inc.
  • 花田優一 (C)ORICON NewS inc.
  • 靴を製作する花田優一(C)主婦と生活社/大橋 仁
  • 花田優一=『生粋』『夢でなく、使命で生きる。根拠なき自信で壁を乗り越える68の言葉』インタビュー (C)ORICON NewS inc.
  • 花田優一=『生粋』『夢でなく、使命で生きる。根拠なき自信で壁を乗り越える68の言葉』インタビュー (C)ORICON NewS inc.
  • 靴を製作する花田優一(C)主婦と生活社/大橋 仁
  • 靴を製作する花田優一(C)主婦と生活社/大橋 仁
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