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『M-1』に新世代の波 兄弟コンビ&上沼恵美子絶賛の“ネオ正統派漫才師”

 とろサーモンが苦節を経て優勝、上沼恵美子によるマヂカルラブリーの“公開処刑”など、今年も見どころ満載だった『M-1グランプリ2017』(ABC・テレビ朝日系)。漫才日本一を決める“祭典”らしく、実力派コンビ10組がズラリとそろったが、そんな中でも2010年代に結成された新世代の漫才師たちの活躍も光った。今回は、これからの漫才界をリードしていく存在となりうる2組を紹介したい。

『M-1グランプリ2017』で新風を吹き込んだ(左から)ミキ、さや香 (C)ORICON NewS inc.

『M-1グランプリ2017』で新風を吹き込んだ(左から)ミキ、さや香 (C)ORICON NewS inc.

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■正統派しゃべくり漫才師・ミキ サラブレッドのテンポ感を松本人志も絶賛

 1組目は、2012年結成のミキ。特徴的な声が持ち味の兄の昂生(31)がツッコミで、端正なルックスの弟の亜生(29)がボケの兄弟コンビだ。テンポの早いしゃべくり漫才で評価は高く、『第46回NHK上方漫才コンテスト』優勝を皮切りに、漫才、コント、ピン芸、音ネタ、全てのジャンルが集い、その日最も面白い芸人を決める『笑わせたもん勝ちトーナメント KYO-ICHI』(フジテレビ)でも優勝するなど、昨年から頭角を現し始めていた。

 勢いそのままに、『M-1』初ファイナリスト入りを果たした今年、初代王者の中川家以来となる“兄弟コンビ”での優勝を目指して決勝の舞台に臨んだ。ファーストラウンドでは、亜生が「鈴木」という漢字が書けず、その書き方を昂生が教えるというネタで勝負。笑いの量が増えていくにつれ、かけあいのスピードも上がっていき、オチに向けて猛スピードで駆け抜けていった。10組中2位となる650点で、上位3組によるファイナルラウンドへと駒を進めた。

 審査員の松本人志は1本目のネタの寸評で「ところどころ、すごいベタも入れてくるんですけど、このテンポでこれだけやられたら圧巻かなと思いますね」と絶賛。優勝への期待も高まる中で臨んだ最終決戦では、今月15日に最新作が公開される『スターウォーズ』をテーマに、ミキらしさを全面に出したネタで勝負。惜しくも7人の審査員から1票も入らず、3位という結果に終わったが「ほんとうに3組が接戦していて、どこに投票すればいいか、かなり悩んだ」との声が相次いで寄せられるほど、優勝にあと一歩というところまで近づいた。

 正統派のしゃべくり漫才でまくし立てるスタイルで、視聴者にも強烈なインパクトを残したミキ。伯父である上岡龍太郎さんを彷彿とさせるような圧倒的な“しゃべりの強さ”と、兄弟ならではのあうんの呼吸がかもし出す“テンポ”などがさらに進化していくと、来年の『M-1』では優勝の大本命に躍り出てくる可能性は大だろう。

■平成生まれのボケ・新山のキャラ光るさや香 「強い気持ち」で、いざブレイク間近

 2組目は、2014年結成のさや香。決勝進出の会見でミキが「あんまり、こんなことを言うのもなんですけど、僕らのおじさんが上岡龍太郎さんなので、血の強さだけはスゴい」と身内ネタを披露する中、対抗して「お父さんの親友のお姉ちゃんの旦那さんが(Eテレ『つくってあそぼ』の)ワクワクさん(久保田雅人)です」とかなり遠い関係のネタをかぶせて笑わせた、平成生まれのボケ・新山士彦(26)とツッコミの石井誠一(29)からなるコンビだ。

 1980年から始まり、歴代大賞には大木こだま・ひびきダウンタウンレイザーラモンといったそうそうたる顔ぶれが並ぶ『今宮子供えびすマンザイ新人コンクール』で、今年の「福笑い大賞」を受賞。「お笑い8年周期説=お笑い界のビックスターは8年ごとに誕生する」という仮説に基づいて8年おき、過去3度にわたり放送されてきた“若手芸人発掘番組”『新しい波』(フジテレビ系)の新シリーズ『新しい波24』にメンバー入りするなど、メディア露出も増えてきた中で、初となる『M-1』決勝の舞台に上がった。

 ちびっこたちのスターである「歌のお兄さん」を知らない新山のために、石井が手遊び歌の「グーチョキパーで何作ろう」などを実演しながら紹介していくという設定のネタで勝負。628点で10組中7位という成績だったものの、新山のハイテンションと石井の冷静なツッコミが光り、会場のウケは抜群。審査員たちからも好評で「いやー笑いました。新しい風を吹き込みましたね」(上沼恵美子)、「勢いがあって新鮮でいいですね。新しいキャラのボケで、シュッとしていている感じなのに、あそこまでボケられるとは、なかなかいい感じですね」(渡辺正行)といった高評価コメントが寄せられた。

 決勝前は、ほかの出場者たちと比べて「完全なダークホース」と自虐気味だったさや香だが、新山の決めフレーズ「強い気持ち」を貫いて、結成3年ながら『M-1』の舞台で堂々と結果を残した。上沼が「彼たちは、漫才から離れてもスターになる気がする」と“予言”していたが、これからの漫才界に新たな息吹を吹かせ続けてくれることを期待したい。

 お笑いコンビ・とろサーモンが、結成15年のラストイヤーにして初決勝進出、そして優勝というドラマチックな展開で幕を閉じた今回の『M-1』だが、ミキやさや香といった新時代の正統派漫才師たちの躍動も目立ち、改めて層の分厚さを感じることができた。清潔感があり、女性からの支持もしっかりと集めている2組が、これからどんな活躍を見せてくれるか楽しみだ。

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