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新ルール、審査員7人制復活…13回目『M-1』で見えた“進化”

 「M-1は素晴らしい大会です。あんなに漫才のやりやすい環境を作ったお客さんとスタッフにも感謝やな〜。こんな素敵な大会がオレ等の頃にもあったらなぁ〜。少し羨ましいです」。審査員を務めたダウンタウン松本人志が、自身のツイッターでこうつぶやくほど、『M-1グランプリ2017』は充実していた。さまざまなマイナーチェンジが行われ、出場者・審査員・MCにも少なからず影響があるのではと思われた13回目の『M-1』を改めて振り返ってみたい。

『M-1グランプリ2017』王者に輝いたとろサーモン(左から)村田秀亮、久保田和靖  (C)ORICON NewS inc.

『M-1グランプリ2017』王者に輝いたとろサーモン(左から)村田秀亮、久保田和靖 (C)ORICON NewS inc.

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 今大会からネタ披露の順番が「笑神籤(えみくじ)」による抽選で直前まで決まらない新ルールが採用され、出場者たちは常に舞台裏で待機することに。さらに、前回は審査員が大会史上初の“5人体制”が採用されたが、今年は従来の“7人体制”に戻り、敗者復活組を除いた決勝進出者もこれまでの8組から9組に増えるなど、さまざまなリニューアルが行われた。

 審査員たちも口をそろえて「これは厳しい」と新ルールに同情する中、MCの今田耕司が「笑神籤」で引き当てたトップバッターはゆにばーす。会場もどのように受け止めたらよいかわからない状況の中、堂々とネタをやり切り、流れを自分たちのものにした。審査員たちからの評価も高く「面白かったんですけど、お客さんの反応がいいのかまだわからない。終わりが斬新で面白かった。スゴい」(松本人志)、「トップバッターでつけられる最高は92点だと思う」(博多大吉)といった声が相次いだ。

 くじが引かれてからすぐに、映像が出番の芸人の紹介映像に切り替わるなど、技術的な問題は難なくクリアされ、それに呼応するように芸人たちもいきなり呼び込まれても本来の力を十分に発揮してネタを披露。ファイナリスト9組と敗者復活のスーパーマラドーナの即興力の高さが際立つ結果となり、長年ささやかれてきた「最後にネタを披露する敗者復活の有利説」への解消にもつながった。残念ながら「トップバッター不利説」については従来通りの結果となったが、大会にダイナミックな流れを作った「笑御籤」は来年の継続も期待したい。

 ここで、下の得点表を参考にファーストラウンドで3位だったとろサーモンが、ファイナルラウンドでトップの和牛に1票差で優勝するにいたった背景を考えてみたい。とろサーモンに投票した渡辺正行中川家礼二春風亭小朝、博多大吉の4人のうち、ファーストラウンドで和牛よりとろサーモンに高得点を付けたのは渡辺のみで、礼二はどちらも同じ得点だった。最終決戦では小朝と大吉が一転してとろサーモンに投票したが、この2人のどちらかがファーストラウンド同様に和牛に投票していれば、優勝の結果は変わっていた。結果的にこの2人の評価を変えさせたことが、とろサーモンの勝因といえるだろう。

 ラストイヤーで『M-1』決勝に初出場し、優勝を果たすというドラマチックな勝ち方をしたとろサーモンだが、実はもうひとつトリビアが生まれていた。昨年は『キングオブコント』(KOC)でライスが優勝し、その後に行われた『M-1』では銀シャリが優勝したことから「米つながり」が話題となったが、今年は『M-1』で「とろサーモン」がチャンピオンに輝いたことから、昨年の銀シャリから続いて「寿司ネタ」が完成。2組の今後の共演に期待がかかる結果になった。

 2年連続で『M-1』決勝の舞台に進んだカミナリに「去年、私は低い点数をつけたんですけど、きょうのはネタがとっても好きだったので(いい点数をつけた)。ただ、どつきはいるんやろうか? 叩いてからツッコミを言うのはいらないと思う」と斬新な提案をしたり、マヂカルラブリーを「こっちも本気でやってる。一生懸命頑張っているのはわかるけど、好みではない。よう、決勝残ったなと思った」とバッサリ切り捨てるなど、今大会は上沼節も例年以上にさえ渡った。

 新たな局面に入ってきた印象を受けた今回の『M-1』。来年に向けての戦いは、もう今から始まっている。

■『M-1グランプリ2017』ファーストラウンドのネタ順と得点
1ゆにばーす:626点(巨人89 渡辺87 礼二90 小朝91 大吉92 松本87 上沼90)
2カミナリ:618点(巨人87 渡辺86 礼二89 小朝90 大吉91 松本85 上沼90)
3とろサーモン:645点(巨人88 渡辺93 礼二93 小朝93 大吉93 松本92 上沼93)
4スーパーマラドーナ:640点(巨人94 渡辺91 礼二92 小朝91 大吉93 松本90 上沼89)
5かまいたち:640点(巨人95 渡辺89 礼二94 小朝90 大吉92 松本91 上沼89)
6マヂカルラブリー:607点(巨人86 渡辺89 礼二88 小朝89 大吉88 松本84 上沼83)
7さや香:628点(巨人87 渡辺91 礼二90 小朝90 大吉90 松本90 上沼90)
8ミキ:650点(巨人93 渡辺94 礼二91 小朝92 大吉91 松本94 上沼95)
9和牛:653点(巨人92 渡辺92 礼二93 小朝94 大吉94 松本93 上沼95)
10ジャルジャル:636点(巨人93 渡辺88 礼二89 小朝90 大吉91 松本95 上沼90)

■『M-1グランプリ2017』ファイナルラウンド得票数
とろサーモン:4票(渡辺、礼二、小朝、大吉)
和牛:3票(巨人、松本、上沼)
ミキ:0票

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