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裕木奈江はいかにして国際女優になったのか

 「実は歌手だったんですよ。CDを出して、オリコンの雑誌の表紙を飾ったこともあったんですよ」。本人に言われるまでもなく、いまの40代以上ならその名を知らない人がないくらい、1990年代にアイドル的な人気を博した裕木奈江(47)。20代半ばからは女優として主戦場を映画や舞台に移し、いつの間にか米・ロサンゼルスを拠点に活躍する国際女優になっていた。

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 日本では7月からWOWOWプライムで放送されているデヴィッド・リンチ脚本・監督の海外ドラマ、新作『ツイン・ピークス』に、アジア人で唯一、デヴィッド・リンチ監督から直接キャティングされて出演している。

 裕木奈江はいかにして国際女優になったのか。

■転機はギリシャ留学

 裕木は、2004年から1年間、ギリシャで英語と演劇を学んでいる。当時、日本では海外留学ブームがピークを迎えていて、仕事を辞めて海外留学するOLも少なかった。

 「10代から30代半ばまで芸能界にいて、それしか知らない人生でしたので、世界を広げるなら、留学だと思いました。私の周りにも海外留学する人がいましたし、せっかく俳優をやらせてもらってきたので、文化庁新進芸術家海外研修制度(渡航費・滞在費を支援してくれる)を利用して、一から演劇を学ぼうと思いました。

 留学先をギリシャにしたのは、演劇の起源でもあるギリシャ劇に興味があったから。審査の時に、ギリシャ悲劇には日本の神道にも通じるものがある、といったことをアピールしたことを覚えています。審査に合格して、ギリシャに渡った頃はオリンピックも終わった後で、とても静かでした(笑)。米国からの留学生たちと同じドミトリー(宿泊施設)に入ることができて、英会話力も身に着きました。ギリシャから帰国してから、オーディションを受けにロサンゼルスに行くようになりました」。

■ハリウッドで俳優の仕事をするには?

 新作「ツイン・ピークス」ではリンチ監督から直接オファーがあったというが、どのような経緯で世界的に有名な監督から声がかかるようになったのか?

 「ハリウッドでは、映画俳優組合(スクリーン・アクターズ・ギルト/SAG)に加入していないと、オーディションが受けられないんです。組合員になるには、エキストラとして雇われた経験があればいいので、どうせエキストラで参加するなら、好きな監督の作品にしようと思って。そこでデヴィッド・リンチ監督にごあいさつすることもできました」。

 リンチ監督の作品との出合いは、カイル・マクラクランが主演した『デューン/砂の惑星』(1984年)に遡る。「中学生の時に映画館で観ました。当時の中学生が喜んで見るような作品ではなかったと思いますが、『スター・ウォーズ』よりもひかれるものがありました。ポスターもすてきだったし、カイル・マクラクランもマネキンのように美しい青年でした。『ブルーベルベット』(86年)のヒロイン、イザベラ・ロッセリーニにリンチ監督が顎クイしている写真を部屋に飾っていたこともありました。その頃2人が交際していたというバックグラウンドにも憧れていました。その後『ツイン・ピークス』(1990〜91年)にもハマりました。リンチ監督が撮る女性は皆、美しくて色っぽくて好きでした。まさか一緒に仕事する日が来るとはその頃は思ってもいませんでしたが…」。

 2006年にはクリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』に“NAE”名義で出演し、以降海外の映画に進出。2006年にはリンチ監督の『インランド・エンパイア』で日本人エキストラからせりふのある東洋人のホームレスの役を与えられた。この時のことを覚えていたリンチ監督が「この役どう?」と勧めてきたのが、新作『ツイン・ピークス』の“目を縫い閉じられた女性”の役だった。

 「私自身は覚えてなかったんですが、渡米するずっと以前に友達に、もしハリウッドの監督と仕事するなら、クリント・イーストウッドとデヴィット・リンチ、クエンティン・タランティーノと仕事がしたいと言っていたことがあったらしくて、そのうち2つはかなったんだな、と思いました」。

■趣味は写真 女優の仕事と補完し合う

 趣味で撮り始めた写真でも才能を発揮し、個展を開くこともある。「ギリシャに行った頃から、撮るようになって、いつの間にかはまってしまいました。女優は観られるのが仕事。しかも、自分の好きなようにできるところがあまりない。せりふも決まっているし、髪型や衣装は用意されているし、監督のああして、こうして、という指示に従って。でも、写真は自分の好きなものを被写体にして、好きな角度から好きなように撮ることができる。いろいろ補完し合っているんです」。

 だから、女優の仕事もやめられない。「自分で脚本を書くわけでもなく、演出がしたいわけでもない。私は作品を構成する素材の一つになれればいい。完全に受け身ですが、それが面白い。今度は、どんな役かな? 弱い女性の役が続いたと思ったら、次は殺人犯か。リンチ監督からオファー? “目を縫い閉じられた女性”っていったいどんな役? 求められることに応えていくだけ。今後もチャンスがあればオーディションを受け続けますし、日本から出演オファーがあれば帰ってきます。人生も後半、あまりギラギラせずに自分のペースでやっていきたいですね」。

 新作『ツイン・ピークス』はWOWOWプライムにて放送中(毎週土曜 後9:00【二ヶ国語版】、毎週金曜 後11:00【字幕版】、全18話)、今冬全話一挙放送。



関連写真

  • 新作『ツイン・ピークス』に出演中の裕木奈江 (C)ORICON NewS inc.
  • 日本とLAを行き来して活躍中 (C)ORICON NewS inc.
  • 新作『ツイン・ピークス』第3話より。“目を縫い閉じられた女”を演じる裕木奈江  “TWIN PEAKS”:(C)Twin Peaks Productions, Inc. All Rights Reserved.
  • 新作『ツイン・ピークス』第3話より。“目を縫い閉じられた女”を演じる裕木奈江  “TWIN PEAKS”:(C)Twin Peaks Productions, Inc. All Rights Reserved.

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