今や日本のみならず、世界を舞台に活躍中のお笑いタレント・渡辺直美。芸の面白さだけでなく、キャッチーでポップな見た目も人気の理由のひとつだが、そのスタイルを渡辺と一緒に作り上げているのが、スタイリストの大瀧彩乃さん。先月には、ほっそり見える服選びやコーデ術など、ぽっちゃり体系のままかわいくなれるメソッドを集めた『ぽっちゃり女子のファッションbook』（主婦と生活社）を発売した。注目を集める大瀧さんに、これまでの道のりや仕事へのこだわりを聞いた。

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■表舞台のアイドルから裏方のスタイリストに転身　修行時代は極貧生活も…

「幼稚園の頃から洋服にブローチをつけてアレンジしたり、おしゃれするのが大好きでした」

小さいときからファッションに興味を持っていた大瀧さん。まっすぐスタイリストへの道を目指したかと思いきや、実は高校時代、アイドルグループ『チェキッ娘』としてデビューした過去を持つ。何がきっかけだったのだろう？

「芸能事務所に入っている先輩に誘われて、遊びで写真を送ったのがきっかけです。まさか受かるとは思ってなかったので、びっくりしました。そんな感じでデビューしたので、絶対に売れたい！って気持ちはなくて、私はノビノビやっていました（笑）。アイドル時代は女子校のサークルみたいで、すっごく楽しかったです」

　そこから心機一転、スタイリストを目指すことに。

「アイドル時代から私服撮影のときに、メンバーの衣装選びを手伝ったりするのが好きだったんです。グループが解散することになって、一人で表に立ってタレントを続けるよりも、ファッションかメイクをサポートする形で、大好きなメンバーやスタッフさんと関われたらいいなと思って、スタイリストを目指すことにしました」

　1年間の古着屋勤務を経て、21歳でタレント向けのスタイリング事務所にアシスタントとして入社。念願の職業のスタートラインに立つも、厳しい修行時代だったと振り返る。

「バスタブのない、小さなシャワースペースがあるだけの狭い部屋に住んでいました。なのに、お給料のほとんどは家賃で消えてしまって。テレビ局の余ったお弁当は必ず持ち帰っていました（笑）。周りのアシスタント仲間もみんな同じ状況だったので、それぞれ家にあるわずかな食材を持ち寄って、少ないながらもいろいろな味を楽しめる“持ち寄りパーティー”をよくしていました（笑）」

■運命を変えた渡辺直美との出会い　二人三脚で新しいイメージを次々開拓

　3年半のアシスタント期間を経て、お笑いタレントの柳原可奈子を担当することに。今や、“ぽっちゃりさんの気持ちがわかるスタイリスト”と呼ばれる大瀧さんだが、当初はこんな苦労があったという。

「今みたいに大きいサイズを取り扱う店が少なかったので、どこで洋服を借りたらいいかわかりませんでした。とにかくサイズ表とメジャーを持って、いろんなお店でサイズを測って調べる、を繰り返す日々。手探りしながらスタイリングを考えていきました」

　そこで生み出したのが、“太めの部分はカバーしつつも、出すところは出す”という、体にメリハリをつけたスタイリング法。それを基本に、旬のアイテムを使った女性らしいコーディネートを心がけていたところ、「大瀧さんにスタイリングしてほしい」と、あるオファーが届いた。

「『柳原さんみたく派手にキュートにしてほしい』と、直美ちゃんからスタイリングを申し込まれたんです。当時の直美ちゃんですか？　今みたいにファッションに敏感ではなかったですね。ラクなのがいちばんといった感じでした」

　今ではインスタグラムで675万人のフォロワーを持つ渡辺だが、かつては大瀧さんの提案する服をそのまま着るだけだった。いったい、いつ頃からおしゃれになったのだろう？

「転換期になったのは、2013年くらいだと思います。金髪から黒髪のヘアスタイルにイメチェンしたのをきっかけに“かっこいい系”の服が着たいというようになりました。ニューヨークに留学してからは海外のセンスも取り入れるようになり、今では私に『こういう海外ブランドがあるよ』って教えてくれて、一緒にイメージを考えています。直美ちゃんのリスクエストの幅が広いので、いろんな挑戦をさせてもらえてうれしいですね」

　お互いに刺激し合いながら、二人三脚で“ファッショニスタ・渡辺直美”を作り上げているのだ。この7月からはTBS系ドラマ『カンナさーん！』で、主役を演じる渡辺の衣装を担当することも決定した。

「直美ちゃんが演じるカンナさんは、直美ちゃんと同じくポップな見た目の役なので、ファッションがいつもの渡辺直美になることを避けたいなと思っています。直美ちゃんが普段しないような小物使いをしたりして、差をつけられたら。あと、カンナさんはデザイナーでありながら主婦でもあるので、あえて同じトップスを着回しさせるなど、見ている方が参考になるようなスタイルも提案中です。ぜひ、楽しみにしていてくださいね！」

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