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高橋一生が考える理想の俳優像 “何もしないこと”の大切さ「余計なものを捨てたい」

 TBS系連続ドラマ『カルテット』の家森諭高役や、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の小野政次役など、ブレイク中の俳優・高橋一生(36)。そんな彼の最新出演作『3月のライオン』後編が、22日に公開を迎える。もともと実力派俳優として評価の高かった高橋だが、俳優としての理想の形があるという。NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)、映画『るろうに剣心』シリーズなどで知られ、同作でメガホンをとった大友啓史監督(50)と共に“映画俳優・高橋一生”に迫った。

映画『3月のライオン』に出演する高橋一生、メガホンをとった大友啓史監督 (C)ORICON NewS inc.

映画『3月のライオン』に出演する高橋一生、メガホンをとった大友啓史監督 (C)ORICON NewS inc.

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 同作で高橋が演じた林田は、神木隆之介(23)演じる主人公・桐山零の担任の教師として、彼の進む道にやんわりと光を照らす。大友監督は「彼の役どころは、緩急でいうところの緩い部分。教育者として無責任なことはいえないが、零の救いの部分でもあり、的確な距離感が必要。意外と難しい役なんだけれど、程よい距離感をとってくれた」と高橋の演技を評価する。

 大友監督とは初タッグとなったが、高橋は「僕は映画の現場に数多くあまり接したことはないのですが、撮影中、的確に監督が『もう一回』ってニコニコしながらおっしゃってくれるんです。OKが出るまで何度もシーンを繰り返すのがとても楽しいんです。大友監督の時間のかけ方が映画的でワクワクしていました」と撮影を振り返る。

 大友監督は「僕が将棋を題材した映画を撮るという話をしたとき、これまでアクションとか動きの多い作品を撮っている印象を持つ人は不安だったと思うんです。でも棋譜に向き合って戦っている人の佇まい、目の奥には感情が映る。それが映れば映画になる」と持論を展開。さらに「僕はテレビをやめて映画にきたのは、俳優が背負っているものすら引き受けていく容量が映画のスクリーンにはあると思ったから。それを撮りたいと思ったんです。極論でいえば、俳優はいかに何もしないかがテーマなんです」と付け加える。

 こうした前提で大友監督は「高橋さんには今回、分かりやすい掛け合いの芝居をしてもらったのですが、次に機会があるなら、何もしないでいる彼を撮ってみたいですね。今回一緒にやってみて、ポエティックな佇まいを持っている俳優さんだなと思ったんです。孤独をまとっている人みたいな…」と、本作で高橋の持つ魅力を感じとったという。

 そんな大友監督の発言に高橋は「背筋がゾワっとしました」と破顔すると「大友監督がおっしゃったことを考えながら、『カルテット』や大河ドラマに臨んでいたんです」と胸の内を明かす。続けて「30歳を過ぎたあたりから、どれだけ演技を捨てられるかを考えるようになったんです。それこそ『カルテット』も、外面上はガイドがたくさん入っているのですが、坂元裕二さんの脚本の魅力で、観ている人に想像させる余地がたくさんあったと思うんです。何かをしようとしない俳優たちがそこにいただけだから、余白をいろいろと想像できて面白いと思っていただけたのかなと思うんです」と分析した。

 「僕は演技という言葉が嫌いで、何とか演技をせずに芝の上に居るだけが理想なんです。こうした感覚は、なかなか分かっていただけることが少ないのですが、大友監督に『孤独を背負っているだけの高橋一生を見たい』と言っていただけたことがすごくうれしいんです」とはにかんだ高橋。

 現在、俳優としてブレイクしているが「今まではテクニカルなことを考えてきたのですが、いまは自分の素体として、余計なものを捨てたくてしょうがないんです。大きな賭けかもしれませんが…」と自身の俳優としての理想形を語った高橋。そうした高橋の思いを受け入れ、シーンを繰り返し撮影させてくれた大友監督――。「本当に楽しい時間だったんです」と撮影を振り返った高橋の表情が、この現場がいかに充実していたかを物語っているようだった。(取材・文・写真:磯部正和)

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  • 映画『3月のライオン』に出演する高橋一生、メガホンをとった大友啓史監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 『3月のライオン』に出演する高橋一生、メガホンをとった大友啓史監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 理想の俳優像を語った高橋一生 (C)ORICON NewS inc.
  • インタビューに応じた大友啓史監督 (C)ORICON NewS inc.

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