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『笑点』データ放送が好評 番組Pが明かす狙い「時代の流れも見ながら…」

 桂歌丸(80)の勇退から始まり、春風亭昇太(57)の新司会就任、林家三平(46)の加入、林家たい平(52)の『24時間テレビ』チャリティーランナーと、50周年の節目にふさわしく、昨年は数多くの目玉企画が相次いだ日本テレビの長寿番組『笑点』(毎週日曜 後5時30分〜6時)。さすがに今年は、大きな動きはないだろうと思っていると、年始から「データ放送」をスタート。司会の昇太のように各メンバーに座布団を与えたり、取り上げたりできる仕組みがたちまち話題となり、ネット上でも「座布団あげるのが楽しい」や「こういう機能を待っていた」との声が相次いでいる。半世紀に渡って君臨してきた演芸番組の雄が、なぜ今データ放送に踏み切ったのか、仕掛け人にその意図に迫った。

『笑点』データ放送の画面(C)日本テレビ

『笑点』データ放送の画面(C)日本テレビ

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■データ放送は長寿化への布石 想像以上の反響に「ありがたい」

 同番組のプロデューサーを務める福田一寛氏(42)は、データ放送を始めた経緯を次のように明かす。「昨年5月に50周年迎えた時に、今まで観ていただいていたけれども、より幅広い世代にもっと刺さるものはないかと考えた時に、今の若い人たちはSNSとかいったものもやられているので、10年、20年、30年とさらに続く何かができればいいなと思って、そこでひとつ出てきたのがデータ放送でした。単に観ていただくだけでもありがたいんですけど『自分たちがこの時に座布団をあげていた』とか、それが司会の(春風亭)昇太師匠と感覚が一緒かもしれないし、違うかもしれない。そういったものを、家にいながら体験できるようなものにしたいなというのはありました」。

 ルールはいたってシンプル。番組放送中にリモコンのdボタンを押すと、各メンバーの名前と座布団の枚数が記された画面が出現。視聴者は大喜利コーナーの放送中、リモコンの「→」「←」ボタンを使って、座布団運びの山田隆夫(60)を動かし、面白いと思ったメンバーには「赤ボタン」で座布団を与えて、面白くないと思ったら「青ボタン」で座布団を取り上げることができるという仕組みだ。

 1月1日のお正月SPで告知VTRを2回、同月8日の大喜利の一問目で「きょうからデータ放送を始めます」と紹介した程度だったが、想像以上の反響があったという。「それほど大々的に告知をしていた訳ではなくて、正直どれくらいの人がやってくれるのか心配もあったんですけど、ありがたいことに反響はいいです。実質、大喜利コーナーのみの十数分くらいしかデータ放送がないんですけど、ほかの番組と比べてもけっこう良い数字になっているというのは、インターネット事業部からも聞きますし、友人・知人も『子どもと会話しながらやっている』と言っていますね」。

■視聴者の“三平イジり” 緻密な戦略から見えた日テレ好調の秘けつ

 そんな中、ひときわ注目を集めているのが昨年5月末より新レギュラーとして加入した林家三平だ。記者も参加してみた1月29日放送分では、ほかのメンバーが数万枚の座布団を獲得する中、たびたび「0(ゼロ)」を行ったり来たり。手荒い洗礼にネット上でも「三平イジりw」「三平師匠の座布団が極端すぎる」などの声で盛り上がっているが、それも期待されているからこそ。福田氏は「SNSでの反応を見ていると、やっぱり三平師匠が目立っています。あえて三平師匠をゼロにしてやろうっていう方も、中にはいらっしゃるかもしれないです」。その上で、こう付け加えた。

「ゼロというのは確かに衝撃的な数字かもしれないですけど、毎回の放送で赤と青のボタンが押された(合計)数が多いのは、三平師匠なんですよ。だから、座布団を取っている人も多いけど、あげる人も多い。実際に三平師匠が面白い回答をした時は、数千枚単位でバッと上がっていますので、やはりそれだけ新メンバーとして注目されているのだと思いますね」。

 現在はデータ放送のみだが、将来的にはスマートフォンからも参加できるようにする予定。スマホならではのスピード感を武器に、新たな視聴者の開拓に期待を寄せる。「スマホも、ゆくゆくはやりたいです。何歳の女性なり男性がこの回答を面白いと思った、みたいなサンプルも取れるんじゃないかというところも期待していて、それがより良い放送に反映できるのではないかと」。「笑点×ビックデータ」という意外な組み合わせに、面白みを感じる反面、これまでの伝統がデータの前に一気に変わっていくのではという不安もあるが、福田氏はこれからも番組の軸はブレないと強調した。

「メンバーの皆さんの雰囲気は相変わらずスゴくいいですし、その良い雰囲気を皆さんに観ていただけるために、僕らがどのように作業をしていくのかを考えていくしかない。やっぱり大喜利が面白くないといけないので、そこの根幹の部分は大事にしつつ、時代の流れも見ながら作っていけたらなって思います」。新たな技術を駆使しながら、貪欲に視聴者を獲得していく“攻め”の姿勢と、先人たちが築いてきた伝統を受け継ぐ“守り”の部分の絶妙なバランス。王座にあぐらをかかない『笑点』の番組作りから、日テレ好調の要因が浮かび上がってきた。

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