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【連載】記者が見たSMAPの素顔 中居&木村編

 様々な角度からSMAPに迫る連載企画。3回目の『記者が見た5人の真実』に続き、番外編としてメンバーそれぞれの“素顔”を取り上げる。長年SMAPを取材してきたライターが目撃した、5人の姿、その人間性とは? まずは、デビュー以来グループを引っ張ってきたSMAPのツートップ、中居正広木村拓哉に迫る。

9月9日には、多くのファンが新聞やSNSを通じて各地でSMAP25周年を祝った

9月9日には、多くのファンが新聞やSNSを通じて各地でSMAP25周年を祝った

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◆尊敬すべき人間性であり、かつクレイジーである5人

 憶測や伝聞ではなく、取材現場で見たSMAPの姿を伝えたい。その一心で、グループとしての彼らの現場での印象と、私自身が強く心が動かされたエピソードをまとめた記事を、9月9日のデビュー記念日にアップした。次は、メンバー5人の取材時や収録現場での様子について描写してみようと思う。

 ここに挙げたのは、たいせつな思い出のほんの一部だけれど、SMAPのメンバーをインタビューしたり、現場での様子をレポートする中で、いつも、彼らの中にある優しさと深い人間性に触れられたような気がしたものである。5人が5人とも、人として尊敬できる。でも、小さくまとまらず、それぞれがはみ出したクレイジーな部分も内包している。まさにFIVE RESPECTで、CRAZYで、True Loveを感じさせてくれる彼らなのだということを。

◆中居正広 解散騒動の渦中にも関わらず、他人を思いやれる心根

 今年1月、SMAPには何度も表紙に登場してもらったエンタメ誌『オリスタ』(オリコン発行)の休刊が決まった。3月に入ると、最終号になんとかSMAPのメンバーに登場してもらおうと、編集担当が取材スケジュールを調整していた。校了ギリギリのタイミングで特番の収録現場に潜入できることになったものの、取材時間は収録後に様子を見ながらの短い時間、他誌との合同取材だった。通常のインタビューに加え、最終号ということで一言だけでも休刊についての言葉をもらわねばならず、それについて正直私は気が重かった。「お疲れ様」とか「お世話になりました」「残念です」といった、ありきたりなコメントになることが予測できたからだ。

 しかも収録は長引き、セット裏で彼の取材ができたときは、夜中の2時をまわっていた。番組に絡めた質問が一巡したあと、思い切って、「あの、3月末をもって休刊することになりまして……」と切り出してみた。すると、それまでは冷静なトーンで淡々と質問に答えていた彼が、「うん? なに、どうしたの?」と、目を丸くしてこちらを見た。まるで大人が泣いている子供をなだめるような柔らかくてあたたかい声だった。話題を突然切り替えることに対するためらいも、瞬時に察してくれたようだった。自分たちだって大変なのに、この人は本当に他人のことを思いやれる人なんだ。優しいなぁ。大きいなぁ。そんな風に感じて、胸がいっぱいになった。

◆“正解がわからないから学びがある”“終わったわけじゃない”

 時代の変化についてどう思うか、という質問には、「正解がわからないから学びがある。正解がわからないから面白い」と語り、休刊についても「終わったわけじゃないと思うので、またいつか帰ってくることがあるかもしれないし。そのときはまたお話を聞いてもらえたらなと思います」と、目を見ながら丁寧にコメントしてくれた。

 その3ヵ月前、12月に表紙で登場してもらったときは、「どんな番組も、中居正広個人としてではなく、“SMAPの中居正広”としてやっている」という発言もあった。彼の発する“SMAP”とか“SMAPさん”という言葉の響きが好きだ。それがどんなきっかけでも、どんなタイミングでも、まるで最愛の人を呼ぶような、慈しみが感じられるから。

 “正解がわからないからこそ学びがある”“まだ終わったわけじゃない”という言葉には、彼の生き様そのものが表れている気がする。

◆木村拓哉 自分自身が表現者なのに、つねに周囲をたいせつにする姿勢

 『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の歌収録に初めて入ったとき、担当編集と一緒に、木村のところにまず挨拶に行った。現場にいる人間が何者なのか、彼はすべて把握しておきたいのだという。雑誌名と名前を言って、「取材で入ります、よろしくお願いします」と軽く頭を下げると、「おぅ」とでもいうように軽く口を尖らせて、コクリと頷いた。何気ない仕草なのに、そのかっこ良さに痺れた。自分自身が表現者なのに、その空間を快適に整えるべきスタッフが、“今ここにいる目的”までを、一通り把握しようとする。それは、かなりエネルギーがいることだ。収録現場にも一番に現われ、様々なスタッフと積極的にコミュニケーションをとる。その、周囲をたいせつにする姿を初めて目にしたときは、感動的ですらあった。

 ゲスの極み乙女。がゲストの回では、歌収録の後のトークが印象的だった。木村は、休日課長に興味津々で、ゲストがスタジオを出る段になるとおもむろに課長の肩を抱き、スタジオの出口まで親しげに談笑していた。かと思うと、出口付近でパッと肩から腕を外して、今度はドアマンのごとき慇懃な仕草で、さっと右手を出口に向かって差し出し、4人の退場をエスコートした。ゲスの4人は、「そんなそんな、木村さん先に出てください」というようなジェスチャーで恐縮しまくりだったけれど、木村は「ゲストなんだから、最後まで見送らせてください!」と言って譲らなかった。

◆チームで進むことのたいせつさを、誰よりも痛感しているのではないか

 結局のところ、現場をとことんまで楽しむ才能がすごいのだろう。KinKi Kidsがゲストだった際も、トークのとき率先して「今日はありがとう」と言って(マットの敷かれていた)床に突っ伏した。人間にできるマックスの平身低頭ポーズ。それを見て慌てるKinKiの2人。SMAP5人では、仲の良さよりもチーム感の方が際立つが、そこにKinKiが加わったときは、空間は突如、兄弟愛とか師弟愛のような人間愛に満たされていく。

 芝居の現場でも、バラエティでも、SMAPとしても、チームで進むことのたいせつさを誰よりも痛感しているのは、実は彼なのではないか。1999年、SMAPの『BIRDMAN』ツアーのオーラスで、木村は、「この会場に来てくれた人は名前も知らない人もいますが、この時間を一緒に過ごしたってことで、いくらでも自分のことを友達だと思ってください」と挨拶した。この言葉がすごく好きだ。チームを愛する、彼らしい発言だと思う。
(文/菊地陽子)

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