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『シン・ゴジラ』予想上回る大ヒット 興収50億円超え確実で年間邦画実写1位も視野

 庵野秀明が脚本、総監督を務めた『シン・ゴジラ』が社会現象と言っても差支えないほどの大ヒット中だ。7月29日の公開から先週末8月14日までの3週間(17日間)で、動員230万人、興収33億8200万円を突破。東宝では当初、最終40億円見込みとしていたが、現状で公式発表はないが50億円超えは確実とみられる。2016年上半期の邦画実写興収では『信長協奏曲』(46億円)がトップだったが、年間では『シン・ゴジラ』が1位になる可能性も俄然高くなってきた。

社会現象になった?東宝単独で制作された『シン・ゴジラ』(C)TOHO CO.,LTD.

社会現象になった?東宝単独で制作された『シン・ゴジラ』(C)TOHO CO.,LTD.

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◆事前の情報ゼロから爆発的な拡散、社会現象へ

 同作は、庵野秀明総監督の意向による宣伝方針で、徹底した情報統制が敷かれ、通常は行われるマスコミ関係者の試写もほとんど行われなかった(一部取材者向けの試写は行われた)。そのため、メディア掲載も含めたネットの情報といえば、庵野総監督自ら編集した90秒の予告映像くらい。事前の作品情報がほとんどなく、『エヴァ』ほど積極的に情報を求めるファンも多くはないなか、それほど話題が盛り上がっている感もなく、初日が近づくに連れて興行の行方を不安視する向きもあった。しかし、フタをあけてみれば公開直後から大きなうねりを巻き起こした。

 SNSなどネットを通じて、瞬く間に著名人をはじめ、映画を観た人たちの評判が口コミで伝わったほか、各メディアもいっせいにレビューを掲載。そのほとんどが庵野総監督が描き出したゴジラと日本の物語を賞賛するものだった。この爆発的な情報拡散には、事前の情報統制により作品情報が少ないことへの飢餓感があおられていたなかで、それについていち早く語りたいというファンのモチベーションを高めていたことがうかがえる。しかし、そのもとになる作品パワーが予想を上回る強烈なものであり、語らずにはいられないほどの衝撃を観た人たちに与えたことが大きな要因になっている。

 その後は、ほぼ毎日のようにネットニュースにさまざまな角度から『シン・ゴジラ』を考察する関連記事があふれ、それにユーザーもリアクション。社会現象を巻き起こした。東宝では「公開直後から、監督やプロデューサーほかスタッフへのメディア取材依頼が殺到しています」という。作品のよさを信じていたスタッフは、公開前から当然ヒットの確信はあったものの、あまりの反響の大きさに驚きを隠せない様子。作品内容的に大人向けかと思われていたが、こうした社会的な盛り上がりから、性別世代を超えて幅広く響いているようで、「渋谷の若者たちへの街頭アンケートでも社会を賑わせているテーマとして取り上げていただきました。若者世代やファミリー層にも広がっている手応えはあります」(東宝スタッフ)という。

◆製作委員会ではなかった、東宝単独制作による利点

 そんな同作の大ヒットの最大の要因は、言うまでもなく作品のよさだろう。東宝は、庵野総監督にすべてを託し、庵野総監督はこれまでにも伝えられている通り、不退転の決意をもって魂を削って作品に打ち込み、自ら全スタッフを牽引して渾身の一作を作り上げた。それは制作者として当たり前のことなのだが、メジャー大作をはじめとした昨今の邦画シーンに少なくなっているものが、ここにはあったのではないだろうか。

 監督が自ら脚本を書き、伝えるべきメッセージを思うままに形にしていく。プロデューサーは監督を信じてすべてを一任することで作家性の高い作品が生まれる。そこには、製作費を出資する製作委員会(数人ものプロデューサーが名を連ねる)からの、若手の旬の俳優をメインキャストに入れる、恋愛要素を入れるといった“ヒットさせるための要素”への意向を汲むこともなく、映像描写についてのよこやりもない。『シン・ゴジラ』は、製作委員会方式をとらずに東宝が単独で制作したからこそ生まれた名作ともいえるかもしれない。はじめから万人向けに作られた作品と、メッセージ性を強く出した監督の作家性がにじむ作品。どちらがおもしろいのか、結果的に多くの人に観られるのかはどういう作品かを、改めて示してくれた。

 『シン・ゴジラ』は、公開4週目に入り引き続き好調。3週目の時点で『GODZILLA ゴジラ』(2014年公開:日本最終興行収入32億円)と比較して約160%だったが、IMAXや4DXなどの特別興行もとくに夏休み中の映画館では人気が集まっおり、さらなる動員も期待できる。最終興収50億円超えも確実とみられ、今年の邦画実写トップの座が見えてきている。

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