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オネエ系とは一線を画す、バラエティで高まるジェンダーレス男子の需要

 現在バラエティ番組などで、りゅうちぇるら、いわゆる“ジェンダーレス男子”と呼ばれるタレントたちの出演が目立っている。ジェンダーレス男子とは、性別の壁を超えたファッションで身を包む男性のこと。なかでもりゅうちぇるは、テレビで観ない日がないほどの活躍ぶりだ。ほかにも読者モデルのとまんや、こんどうようぢゆうたろうらも台頭。彼らが今、バラエティで求められている理由とはなんだろうか。

今やバラエティ番組に引っ張りだこなジェンダーレス男子・りゅうちぇる(写真/ウチダアキヤ)

今やバラエティ番組に引っ張りだこなジェンダーレス男子・りゅうちぇる(写真/ウチダアキヤ)

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◆日テレが“囲い込み”に成功し他局も追従 SNS発達が起用に繋がる

 りゅうちぇるが注目を浴びたのは昨年9月の『行列のできる法律相談所さんまVS怒れる美女軍団3時間SP』(日本テレビ系)に出演したことがきっかけ。カリスマ読者モデル・ぺこ(オクヒラテツコ)の恋人として紹介され、その特異なビジュアルとキャラにより、視聴者だけでなく、多くのマスコミ関係者からも注目されることとなった。りゅうちぇるの他にも、人気読者モデルのこんどうようぢは、『今夜くらべてみました』(以下、すべて日本テレビ系)、『ナカイの窓』で紹介され、ボーイズグループ・XOX(キスハグキス)メンバーとしても活躍するとまんは、『解決!ナイナイアンサー』で体重38kgと告白。ショップ店員のメガネ男子・ゆうたろうは、『マツコ会議』で一躍注目を集めることとなった。

 「日テレは、新たに起用するタレントを囲い込む手法を得意としています。主要なバラエティにどんどん起用していくことで“売れてる感”も出てくるし、タレントとして育成して実際に人気が出れば、その実績が今後はキャスティングにも有利に働く。最近の成功例だと、“行列”からバラエティに出演し始めたGENKINGでしょう」(キー局テレビ制作スタッフ)というように、きっかけは、この手法に長けた日本テレビ。「その後を追随するように、他局でもどんどん起用されるようになった」ことにより、ジェンダーレス男子は各局で活躍する売れっ子となったのである。

 そもそも、彼らのような“女性的な男性”が話題になることは、珍しいわけではない。古くは90年代、武田真治やいしだ壱成は“フェミ男”と呼ばれ、中性的な容貌で女性から人気を集めたものだ。近年では、“オトメン”などと言われ、女子力の高さが注目された千葉雄大も思い当たる。そんな下地がある中、きゃりーぱみゅぱみゅの出現によって原宿系ファッションが流行し、それが男性にも波及。さらにSNSの発達により、インスタグラムなどを利用して自ら発信、すでにファン(フォロワー)を付けている彼らを、メディア側も取り上げやすくなった。

◆もはやオネエ系タレントは飽和状態、バラエティに新たな“枠”を作れるか?

 とはいえ、“女性的な男性”といえば、バラエティではオネエ系タレントが確固たる位置を築いている。ではなぜ、彼(彼女?)らがいるにも関わらず、今、ジェンダーレス男子が必要とされているのか?

 「ここ数年、マツコ・デラックスを筆頭にオネエ系毒舌キャラがバラエティ界を席巻していますが、そろそろ飽和状態になっているようです。つまりはマツコさんが絶対的な存在となり過ぎてしまい、それ以外のオネエ系タレントが横並び状態なんですね」(キー局テレビ制作スタッフ)というように、いまだマツコ・デラックスは絶好調だが、ミッツ・マングローブやIKKO、はるな愛、KABA.ちゃん、クリス松村のようなオネエ系キャラは、すでに当たり前の存在。バラエティのひな壇でも、メインというより、にぎやかしの1人として起用されることが多くなった。「どんなにトークやツッコミは上手くても、キャラが被っていたりすると、新たな視聴者層を開拓できなくっている」と考える制作陣もいるようだ。

 オネエ系が当たり前となった今、常に目新しさを求めるテレビ業界が、「オネエの次に来る枠として、需要が高まっている」として注目したのが、ジェンダーレス男子である。オネエ系とは異なる、男性にも女性にも衝撃を与える不可思議な生態と発言。その場にいるだけでファッションやメイクが目を引き、イケメン要素も踏まえていたりする。さらに、SNSで鍛えた自己プロデュース力で、自分の“魅せ方”をある程度わかっているあたり、テレビ的にもフックになりやすい。

 だが現状では、タレントとしての実力はまだまだ未熟。りゅうちぇるはすでに一つ飛びぬけている感があるが、もともとがプロのタレント志望ではない分、トーク力はどうしても劣る。同席することの多いバレティタレントや芸人たちの中で、存在感を示すことはなかなか難しいようだ(それが多くの女子っぽい男子の特性ではあるのだが)。現在の彼らの最大の魅力は、“目新しさ”。時間が経ち、それが失われたときにバラエティ界にジェンダーレス男子の枠が残るかどうか。一過性のものとなるかどうかは、これから試されることになるだろう。
(文/今 泉)

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