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NHK復興支援ソング『花は咲く』 アニメが持つ力とは?

 東日本大震災から5年を迎えた翌日、3月12日の夜にNHKで初放送された『花は咲く〜アニメスター・バージョン〜』。アニメ声優・歌手としても活躍する山寺宏一(宮城県塩竈市出身)&水樹奈々が歌う復興支援ソング「花は咲く」に乗せて、『鉄腕アトム』から『妖怪ウォッチ』まで、日本の古今の人気アニメ38作品をつなげた5分番組だ。誰もが知るキャラクターたちが放送局の垣根を越え、ありえないと思っていた夢の共演が実現した。放送後、「泣けた」といったツイートや、50代以上の人からも「感激しました」と同局に手紙が届くなど、幅広い世代から大きな反響があったという。本作のプロデューサーらに制作意図を聞いた。

アトム、ガンダム、ドラゴンボール、ワンピース、ドラえもん、ポケモン、妖怪ウォッチ…歴代アニメスターが登場するNHK『花は咲く〜アニメスター・バージョン〜』随時放送中(C)NHK

アトム、ガンダム、ドラゴンボール、ワンピース、ドラえもん、ポケモン、妖怪ウォッチ…歴代アニメスターが登場するNHK『花は咲く〜アニメスター・バージョン〜』随時放送中(C)NHK

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 もともと「花は咲く」は2012年、震災から1年のタイミングで制作されたチャリティーソング。宮城県仙台市出身の岩井俊二が作詞、同じく菅野よう子が作曲・編曲を担当した。当初、岩手県・宮城県・福島県の出身者とゆかりのある歌手・タレントなど34人が参加し、その後、放送中の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で主演を務める高畑充希が歌うアニメバージョンや、フィギュアスケートの羽生結弦選手とコラボレーションしたバージョンが制作されるなど、さまざまな形で展開されてきた。

■復興支援につなげたいという思い 各社が賛同

 東日本大震災プロジェクトの讃岐好伸チーフプロデューサーは「震災から5年の節目に向けて、風化させないためにも新しいバージョンを作ることを決めました。さまざまに模索する中、菅野さんの『アニメのキャラクターが総登場するのはどうかしら?』という一言がきっかけでした。どの世代も、とりわけテレビでおなじみのアニメに影響を受けている。アニメの持つ力が被災地の励ましや元気、勇気につながるのではないかと。1年前から準備をしてきました」と経緯を説明する。

 アニメは原版の種類が多様で権利関係も複雑だが、一つひとつクリアして今回の「アニメスター・バージョン」の完成にこぎつけた。アニメ部門を統括する編成局展開推進部の土橋圭介チーフプロデューサーは「復興支援につなげたいという思いに多くの方が賛同してくださいました。それぞれの立場で復興に役立ちたい、協力したいという思いがあるのを強く感じましたし、東北出身の方で調整を頑張ってくれた方もいます。38タイトルの各社さんには本当に感謝しています」。

 アニメファンに対しても「有名なアニメキャラクターをただたくさん集めたNHKの悪ふざけと、視聴者に受け止められたら…という不安もありましたが、思いの外、皆さん、好意的に受け止めてくれてくだ下さってよかった」と安堵の表情を浮かべた。「なんで、このタイトルが入っていないの?という意見はありましたけど(笑)、歌詞の内容に合うシーンを選んでいることをわかってくれた人が多かったのは、うれしかったですね」。

■創造する力は、復興を推し進める力に通じる

 制作された年代によって画質も違うし、画面サイズも4:3になったり、16:9になったりするが、不思議とそれが気にならないのは、歌詞の力、歌っている山寺や水樹の歌唱力によるところも大きい。

 音楽制作に携わった編成局編成センター・有田康雄副部長は「2万人もの犠牲にどう向き合うのか。山寺さんも水樹さんも考え抜かれた上でご参加いただきました。当初、鎮魂歌として生まれた『花は咲く』も、月日の経過とともに意味合いが少しずつ変わってきて、菅野さんが新たにアレンジした今回は、鎮魂歌であるとともに、いまを生きる人たちにもっと前進しよう、ともに頑張ろうという応援歌でもある。難しかったと思いますが、お二人は見事に表現してくれました」。

 同局に寄せられた意見やSNSの書き込みを見ると、「ここで泣けた」というポイントが人とそれぞれなところがまた興味深い。始まって早々にレオ(『ジャングル大帝』)が駆けているところでもう泣けたという人もいれば、『ちびまる子ちゃん』に切り替わった瞬間に涙が出たという人も。世代によっても琴線にふれる何かが違うのだろう。

 「テレビアニメの草創期から今の子どもたちまで、タイトルを見ただけでわかる作品ばかり。こうして観てみると、日本の戦後復興から現在に至るまで、アニメの影響力ってすごかったんだな、と改めて思い知りました。クリエイターたちの創造する力は、復興を推し進める力にも通じるのではないかと思っています」(讃岐CP)。

 有田副部長は「今後も、随時、放送していきます。『花は咲く〜アニメスター・バージョン〜』を観て、いろんなことを思い浮かべたその先で、被災した地域に改めて思いを寄せてほしい。地震はまたどこかで必ず起きます。いつかやってくる悲劇を繰り返さないためにも、自分たちの未来にも思いを至らせる時間になれば幸いです」。

 直近では、13日深夜(2:35〜2:40)、16日午後(5:00〜5:05)に放送される。

■参加アニメーション作品
「赤毛のアン」「AKIRA」「あしたのジョー2」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「宇宙戦艦ヤマト」 「うる星やつら」「科学忍者隊ガッチャマン」「機動戦士ガンダム」「巨人の星」「クレヨンしんちゃん」 「けいおん!」「劇場版ポケットモンスター」「劇場版マクロスFF〜サヨナラノツバサ〜」 「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 2.0」「サスケ」「ジャングル大帝」「進撃の巨人」「新世紀エヴァンゲリオン」 「009 RE:CYBORG」「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」「ちびまる子ちゃん」「鉄腕アトム」「ドラえもん」 「ドラゴンボール Z」「NARUTO -ナルト- 疾風伝」「忍たま乱太郎」「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」 「火の鳥」「ふしぎの海のナディア」「ふたりはプリキュア」「フランダースの犬」「魔法の天使 クリィミーマミ」 「未来少年コナン」「名探偵コナン」「妖怪ウォッチ」「ラブライブ!」「ルパン三世 カリオストロの城」「ONE PIECE」 (50音順、全38作品)

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  • アトム、ガンダム、ドラゴンボール、ワンピース、ドラえもん、ポケモン、妖怪ウォッチ…歴代アニメスターが登場するNHK『花は咲く〜アニメスター・バージョン〜』随時放送中(C)NHK
  • 「花は咲く〜アニメスター・バージョン〜」を歌う山寺宏一&水樹奈々

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