三谷幸喜監督、初のSF映画『ギャラクシー街道』にヒロイン役で登板した綾瀬はるか。三谷監督とは『ザ・マジックアワー』以来の顔合わせだ。主演の香取慎吾いわく「三谷監督のセクシャルさが全開」という本作で、「女っぽさを出してほしい」というリクエストに応えて、気持ちが入った生々しい感じを表現した。女優・綾瀬はるかの新境地!?
◆女っぽさを出してほしいと言われた
綾瀬の役どころは、クォーターの宇宙人・ノエ。彼女は夫のノア(香取慎吾)と、さびれたハンバーガーショップを切り盛りしている。映画はほぼワンシチュエーションで展開。奇想天外な設定やユニークなキャラクターは目白押しだが、実は中心になるのは男女の色恋。元カノ・レイ(優香)が突然来店し、うろたえるノアを見つめる妻の目線がまず印象的だ。
「ノエは素直なひと。ノア君のことがすごく好きなんだなと感じるところもいいですね。ノア君はちょっと気難しいし、最初は『え、こんなキャラなんだ』と思ったんですけど、でも見ていると、けっこうこういう男性って多いんじゃないかと。過去の恋愛に対して『オレは平気』とか言いながら、自分がいちばん気にしている(笑)。でも、あの気難しさが『なんとかしてあげたい』とか思うのかなって。頼りないけど、男らしい人なのかなとも感じられて。(私も)けっこう好きだなと思いました」
一方でノエは、リフォーム業者のメンデス(遠藤憲一)から愛の告白をされ、迫られる。
「三谷監督からは『女っぽさを出してほしい』と言われました。『女っぽく』と言われるとドキッとしますよね。ちょっと恥ずかしい。迫られて『ダメ』って言うときも、『もっと、いやらしく』って(笑)。ああ私、あまりこういうのやったことないなって気がつきました。(完成した映画に)その女っぽさが出せていたかは自分では分からなかったです。ただ、生々しい感じはあったかもしれません(笑)。このひとのことが好きになりそう……もっていかれそう……でも、ダメ……みたいな感じで(笑)。すごく気持ちを入れました」
母性を感じさせるしっかり者のノエは、綾瀬ならではのキャラクター。ひょっとしたら押しに弱いのかも? と思わせる危ういノエは、この女優の新境地と言えそうだ。とはいえ、気負いは一切なし。綾瀬はるか独自の「マイペース」は、本作でも健在だった。
「三谷監督のなかでハッキリした画があるんだなといつも思うんです。監督自身が迷うことってないんですよ。基本的にワンテイクだし、しかも長回しでOKを出す。あそこまで潔い監督を私は見たことがない。監督のなかで見えていらっしゃる画を迷わず撮って、毎日予定通りに(撮影は)終わる。しかも、穏やかに、淡々と。あっという間に終わったというイメージがあります。3日間ぐらいの感覚で終わっていきました。『あれ? もう終わっちゃったの?』って(笑)」
◆変身願望ですか? ありますよ
某SF映画の有名キャラクターを思わせるウィグをつけたビジュアルも新鮮。「新しい自分を引き出してもらったかも」と満足げだ。
「変身願望ですか? ありますよ。普段とは違うことをしてみる。それは気分も変わるし、すごく楽しいです。演技もそうですよね。役によって、メイクも髪型も着るものも喋り方も違うから。これまでとは違う作品に進んでいくというのは楽しいです」
自身の役の可能性が、どんどん広がってきているという。
「むしろ、いまのほうが感じるかもしれない。自分としては、こんなにたくさん役をやってきていても、まだこんなにいろいろな可能性があるんだなあ、こんなふうな新しい自分に出逢えたなあとか、そういうふうに思います。まだやっていない役に、いまたくさん出逢えているような気がします」
持ち前の大らかな性格で、さまざまなものを真摯に受けとめているように思える彼女。最後に、演技の達成感をいつ感じるか訊いてみた。
「現場で、それぞれの部署の人が集まると、そこではいろいろなことがあるじゃないですか。天候とか、みんなのタイミングとか、すべてが合わないとOKが出ないわけです。それを妥協なくやって、いいものが撮れたときは、すごく達成感があります」
それは、俳優同士の芝居に留まらないことだ。
「そう、全部ですね。なので、毎シーン、毎カット、そのつどそのつど達成感はあります」
綾瀬はるかというひとの根源的なポテンシャルは、ここにあるのかもしれない。
(文:相田冬二)
◆女っぽさを出してほしいと言われた
綾瀬の役どころは、クォーターの宇宙人・ノエ。彼女は夫のノア(香取慎吾)と、さびれたハンバーガーショップを切り盛りしている。映画はほぼワンシチュエーションで展開。奇想天外な設定やユニークなキャラクターは目白押しだが、実は中心になるのは男女の色恋。元カノ・レイ(優香)が突然来店し、うろたえるノアを見つめる妻の目線がまず印象的だ。
「ノエは素直なひと。ノア君のことがすごく好きなんだなと感じるところもいいですね。ノア君はちょっと気難しいし、最初は『え、こんなキャラなんだ』と思ったんですけど、でも見ていると、けっこうこういう男性って多いんじゃないかと。過去の恋愛に対して『オレは平気』とか言いながら、自分がいちばん気にしている(笑)。でも、あの気難しさが『なんとかしてあげたい』とか思うのかなって。頼りないけど、男らしい人なのかなとも感じられて。(私も)けっこう好きだなと思いました」
一方でノエは、リフォーム業者のメンデス(遠藤憲一)から愛の告白をされ、迫られる。
「三谷監督からは『女っぽさを出してほしい』と言われました。『女っぽく』と言われるとドキッとしますよね。ちょっと恥ずかしい。迫られて『ダメ』って言うときも、『もっと、いやらしく』って(笑)。ああ私、あまりこういうのやったことないなって気がつきました。(完成した映画に)その女っぽさが出せていたかは自分では分からなかったです。ただ、生々しい感じはあったかもしれません(笑)。このひとのことが好きになりそう……もっていかれそう……でも、ダメ……みたいな感じで(笑)。すごく気持ちを入れました」
母性を感じさせるしっかり者のノエは、綾瀬ならではのキャラクター。ひょっとしたら押しに弱いのかも? と思わせる危ういノエは、この女優の新境地と言えそうだ。とはいえ、気負いは一切なし。綾瀬はるか独自の「マイペース」は、本作でも健在だった。
「三谷監督のなかでハッキリした画があるんだなといつも思うんです。監督自身が迷うことってないんですよ。基本的にワンテイクだし、しかも長回しでOKを出す。あそこまで潔い監督を私は見たことがない。監督のなかで見えていらっしゃる画を迷わず撮って、毎日予定通りに(撮影は)終わる。しかも、穏やかに、淡々と。あっという間に終わったというイメージがあります。3日間ぐらいの感覚で終わっていきました。『あれ? もう終わっちゃったの?』って(笑)」
◆変身願望ですか? ありますよ
某SF映画の有名キャラクターを思わせるウィグをつけたビジュアルも新鮮。「新しい自分を引き出してもらったかも」と満足げだ。
「変身願望ですか? ありますよ。普段とは違うことをしてみる。それは気分も変わるし、すごく楽しいです。演技もそうですよね。役によって、メイクも髪型も着るものも喋り方も違うから。これまでとは違う作品に進んでいくというのは楽しいです」
自身の役の可能性が、どんどん広がってきているという。
「むしろ、いまのほうが感じるかもしれない。自分としては、こんなにたくさん役をやってきていても、まだこんなにいろいろな可能性があるんだなあ、こんなふうな新しい自分に出逢えたなあとか、そういうふうに思います。まだやっていない役に、いまたくさん出逢えているような気がします」
持ち前の大らかな性格で、さまざまなものを真摯に受けとめているように思える彼女。最後に、演技の達成感をいつ感じるか訊いてみた。
「現場で、それぞれの部署の人が集まると、そこではいろいろなことがあるじゃないですか。天候とか、みんなのタイミングとか、すべてが合わないとOKが出ないわけです。それを妥協なくやって、いいものが撮れたときは、すごく達成感があります」
それは、俳優同士の芝居に留まらないことだ。
「そう、全部ですね。なので、毎シーン、毎カット、そのつどそのつど達成感はあります」
綾瀬はるかというひとの根源的なポテンシャルは、ここにあるのかもしれない。
(文:相田冬二)
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2015/10/30