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バラエティ番組までもリメイク過多 良質なコンテンツは受け継がれていくべき?

 かつての高視聴率長寿番組『なるほど!ザ・ワールド』(1981年〜1996年、フジテレビ系)が7年半ぶりに(2008年、爆笑問題司会SP番組以来)、有吉弘行滝川クリステル司会で復活したことが話題になっている。さらに、V6が出演する『学校へ行こう!』(TBS系、11月3日放送)も、この秋に一夜限りの復活をすることが報じられた。過去の人気ドラマのリメイクが多い中、ついにバラエティ番組までがリメイク過多になっている印象を受ける視聴者も多いはずだ。

『なるほど!ザ・ワールド2015秋』に出演する有吉弘行と滝川クリステル (C)ORICON NewS inc.

『なるほど!ザ・ワールド2015秋』に出演する有吉弘行と滝川クリステル (C)ORICON NewS inc.

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◆制作側の自主規制から挑戦的な新番組が生まれにくい

 バラエティ番組のリメイクということで言えば、過去の実績を見てもあまり芳しくない。2012年秋、『料理の鉄人』(フジテレビ系)のリメイク版として『アイアンシェフ』、『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ系)の進化版として『快脳!マジかるハテナ』が放送されたが、両者とも早期打ち切りとなった。『料理の鉄人』の“高級グルメ志向”自体、ここ数年の“B級グルメ”全盛の世で視聴者の心を掴むとは思えないし、『快脳!マジかるハテナ』にしても、今や高学歴芸能人がハイレベルな問題で競い合ってるなか、ちょっと呑気すぎたとも言えるだろう。

 要するに、番組制作側に新しいものを創り上げる能力・予算が不足している場合、安易に過去にヒットしたバラエティ番組の“冠”に頼ってしまうと、失敗する可能性が高いということだ。バラエティ番組はある種、ドラマ以上に“時代を映す鏡”であるとも言えるし、リアルタイムな世情に通じた内容でないと視聴者には届きにくいのである。

 先述した今回の『なるほど〜』や『学校へ〜』はレギュラー番組ではなく、単発の特別番組。仮にレギュラー化した場合、『なるほど〜』ならば若い世代には、同じように“レポーターが面白い世界事情を紹介する”『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)とどう違うのだと思われるかもしれない。むしろ『学校へ〜』のほうは、若い層の素人いじりが中心の番組だけに、今では返って新鮮に映るかもしれない。ただし、“芸人が芸人をいじる”ことが主流の今、放送倫理的にどこまで許されるかは未知数だ。実際、昨今のBPO(放送倫理・番組向上機構)による規制が厳しく、制作側があらかじめ番組内容を自主規制してしまうため、どの局もありきたりな内容になり面白みに欠けるといった意見もある。そうした現状から挑戦的な新番組が生まれにくくなっているように感じる。

◆時代にマッチした内容の番組を制作すれば、いくらでも“ヒットする可能性”はある

 また、同様に素人が織りなす恋愛模様を追った『テラスハウス』(フジテレビ系)は、中高年には、かつての人気バラエティ番組『あいのり』(フジテレビ系)の男女関係をシェアハウスに引き籠りさせ、“リアリティ”というおしゃれな味付けをしたものだが、うまく時代の流れに乗ったリメイクバラエティ番組の成功例とも言えるかもしれない(賛否はあれども)。つまり、時代にマッチした内容のバラエティ番組を制作すれば、いくらでも“ヒットする可能性”はあるわけで、わざわざ昔の人気バラエティ番組の冠に頼る意味がわからなくなってくる。

 一方、かつての大ヒットバラエティ番組に出演した大物芸人たちはどうだろうか。“お化け番組”だった『8時だョ!全員集合』(TBS系)は、ドリフターズのリーダー・いかりや長介さん亡き今、リメイク実現は不可能だが、ライバルだった『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)などは、一度“現代版”を観てみたいという声も多い。実現こそ可能だろうが、常に時代の流れに乗って“お笑い”が移り変わっていくことを、一番理解している明石家さんまビートたけしが、『ひょうきん族』をリメイクするとは思えない。『ひょうきん族』同様、“もう一回観たいバラエティ番組”のランキング上位の常連である『夢で逢えたら』(フジテレビ系)のダウンタウンウッチャンナンチャンにしても、同様だろう。

 実際これらの番組は、今リメイクしてもかなり“ウケる”番組になるだろうが、現役のビッグネームたちの矜持もあるだろうし、実現は難しいだろう。となれば、かつてのヒット番組をもう一度引っ張り出すことにもなるのだろうが、やはり安易な感じは否めないし、リスクを考えれば、先述した『なるほど〜』や『学校へ〜』のように、単発番組がやっとだと思われる。

 バラエティにしろドラマにしろ、いつまでも過去の作品に頼ってばかりもいられないだろう。今後のテレビ界の将来は、時代を見据えた優秀なクリエイターたちがアイディアを磨き合ったり、新しいエンターテインメントの潮流を創出する覚悟で、局全体の威信をかけた番組制作ができる環境を作り出せるかどうかにかかっているのだ。

(文:五目舎)
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